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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第二章 新しい土地で知ろう

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縫合、警告

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします


【赤の十字軍】拠点前 - AM


さて、先日内心カッコつけて脱退したサバトの拠点前で人を待つ、というのはかなり恥ずかしいもので。

さすがに知り合いが少ないため、会う確率も低いからね。


「おっ!おーいクロエさん!!」

「あ、どうもガビーロールさ、ん……?」


いつもの大きな声とともに、こちらへ駆け寄ってくる足音が聞こえてきたため、そちらへと振り返る。

すると、そこにはガビーロールとともに、顔に満面の笑みを浮かべた赤ずきんが居た。

赤ずきんが居た。


「赤、ずきんさん……?」

「やーあクロエちゃん!またあったねぇ!!」

「ど、どうも……えっと、ガビーロールさん?」

「おいおいそんな睨まないでくれ!私も呼ぶかは迷ったんだけどね!?流石に彼女の能力はこういうのにも便利かなって思ったんだ!」


一つ、大きなため息を吐く。

確かに、彼女の固有魔術を使うならば何が出てくるかはよく分からないが、多様性があるために私の左腕の替えを作るのに便利だろう。


「いや、うん。いいんですけどね…。さてガビーロールさん、とりあえず腕の代わりを作ってはきたので、それを縫い付けてほしいんですが、大丈夫です?」

「問題ないけど!いやうん、もう腕作ってたんだね!」

「はい……というか、赤ずきんさんに任せると、変な腕を作りそうじゃないですか。やばそうなの」

「おいおいクロエちゃん、それはさすがに言い過ぎだぜ?私はキチンと振られた仕事はやり切る女だ」

「そのセリフは、さっきから拠点の窓からこっちを恨めしそうにみているジーニー相手に言ってあげてください。」


と、このまま喋っていてもしかたがないため、場所を移動する。



-----------------------



そろそろ私もこの街、この国を出るということでそのまま宿に案内し、中に入ってもらう。

一応腕を出せるように、私は上着を脱いだ。


「では!始めようか!」

「はい。あ、赤ずきんさんはその辺に座っててください」

「やっぱりクロエちゃん、私に対してアタリ強くない??」


強くはない。適切な対処だ。

椅子を二組持ってきて、ガビーロールと私はそれに座る。


「さて!では縫合していこうか!一応聞くけど糸はこれがいい!とかそういうのはあるのかい!?」

「いえ、特にないんでガビーロールさんが何かしら糸を持っているのならそれで問題ないですよ」

「ふむ!ではこれで!!」


ガビーロールはインベントリ内からある糸を取り出す。

それは、どこか見たことのあるような靄を放っており、そう【憤怒】で変容させたようなアイテムだった。


「すいません、それは?」

「知り合いに【変容】してもらった、元々市販の糸だよ!!一応私も何度か【鑑定】をかけているから、呪いとかそういうものじゃあない!!」

「ん、それもしかしてレンちゃん作成?」


ここで珍しく黙っていた赤ずきんが反応する。

はて、レンといえばどこかで聞いたことのある名前だ。


「そうだよ!彼女は様々な魔術に精通しているからね!!さて、では始めようか!」

「はーい」


ガビーロールは私が【異次元錬成】にて作り上げたぬいぐるみのような腕を受け取る。

-------------

人型ぬいぐるみの腕【怠惰】 レア:Normal

 大罪魔術によって変容した素材を使い作成したもの。

-------------


「ふむ!これがそうなのか!」

「はい、ちょっとアイテムが変容しているものしかなかったんでこうなりました」

「では麻酔からだね。【魔毒-麻酔】発動」


そして縫合が始まる。

左腕の断面と、ぬいぐるみを縫い付けるために明らかに【憤怒】によって変容されている糸で縫合する。


実際、縫合されている間私がやることと言われれば特になく。

しかし、一応HPとデバフ欄に出ている【麻酔】の残り時間を見ていなければならない。

一応身体を傷つける、という行為をしているためHPは削れていくためHPポーションもその場に用意している。


ただ、私は少し怖い。

いや、というかだ。【怠惰】に変容させたアイテムを使って作ったものを、腕として使おうとしている時点で私もあれなのだが、ここでガビーロールが持ち出した【憤怒】のような何かによって変容させられているものが身体にそのまま縫い付けられていっているのだ。


最悪、このアバターに何かしらの永続的なデバフがかかる可能性もある。


まぁそれも今更言っても何言ってるんだっていう状態なのだけど。

元々私自身が言い出したことなのだから。


「さて、これであらかた終わったかな!抜糸に関しては、一週間後くらいになるからまた連絡してくれ!」

「いえ、助かりました。ありがとうございます」


ガビーロールは私に掛けていた【麻酔】を解除しながらそう言う。

少なくとも一週間はこの状態。

ダメ元だが、一応動くかは確かめてみる。


やはり動かない。


「そういえばクロエちゃんはこの国を出ていくんだっけ?」

「あぁ、そうですよ。次はドミネに行こうかなって」

「ほう!コロッセウム目当てかな!?」

「そうですね、少しあそこで戦ってみたいんで」


そういうと、赤ずきんは少しだけ嫌そうな顔をしながらこう言う。


「あー……クロエちゃん。魔女には気を付けてね。特に一本足の人食い婆さんにはね。」

「……?はい分かりました。気を付けます」


何かのモンスターの名前だろうか?

一本足の人食い婆さん。見た目でいろいろ分かりやすそうだが。


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