戦いの後、反省すべき点
良かったら、感想や指摘などよろしくお願いします
始まりの森 - PM
アースラビットを狩ったあと、少し休憩してからアースラビットの解体作業をすることにした。
WOAでは、基本的にモンスターは狩った後解体しアイテム化するか、1時間ほど経つことによって自然消滅する。
そのため、モンスターハウスなんかの罠に当たったとかじゃない限りは、狩ったモンスターは解体するのがマナーとなっている。そのため、解体技術を自然と身に着けていくものなのだ。
「そうだ。【変異】って変化させる魔術なんだよね」
それなら【変異】って解体の代わりとして使えるんじゃない?
先ほどからやっているように、イメージを…とは思ったけども一旦このまま何も考えず、普通に【変異】を使ってみよう。
そもそもイメージするのに対して、解体という作業に対する知識が足りていない。
「【錬成-初期変異】発動。兎だから耳とかそっちになるのかなー…?」
ピカッと一瞬アースラビットの死体が光ったあと、生肉に変化する。
謎肉と表示されてもアレなので、すぐに【鑑定】をかけておこう。
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アースラビットの肉 レア:Normal
アースラビットから採れる生肉。
きちんと処理しないと、じゃりじゃりとした触感がする。
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「まぁそうだよね、肉だよね」
少しの間だけど、【変異】を使っていてある程度この魔術の特徴が分かってきた気がする。
結局この魔術は、行使側のイメージによってかなり効果が左右されてしまう魔術なんだ。
薬草の時は、若干種になるかそれ以外になるか程度には考えていたし、先ほどの戦闘の時は言わずもがな。
解体の代用として使った時は、偏った知識だが解体というのは肉塊に変えることだと思っていた。
初期魔術とはいうが、その効果は初期には留まらない…ということなんだろうか。
「まぁ考察とかに関しては後でもいっか。とりあえずここから離れないと」
休憩していたのもあって、一か所に長くとどまりすぎた。流石に離れておかないと他のプレイヤーと鉢合わせする可能性があるだろう。
プレイヤーと会うのは始まりの街以外ではしたくはない。
「あとで【チャック】の中の石礫も調べないとだからね…」
今いた場所から、始まりの街の方へ移動しておく。
街の方の探索なんかを全くせずに森に出てきたので、もしかしなくても新しい発見もあるだろうし、口に出した通り先ほどの戦闘で咄嗟に【チャック】内に入れた石礫をちょっと調べてみたいというのもある。
移動途中、アースラビットを見かけたが、見つからないように移動した。
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始まりの街 - PM
朝に部屋をとった宿に移動し、部屋に入ったあと【チャック】の中から石礫を取り出す。
【鑑定】を使い、アイテム詳細を確かめておこう。
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アースショットの弾
土魔術・初期レベルのアースショットにて発射される石礫。
石礫といっても、大きさは拳大。
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やはりあのアースラビットが使った魔術は初期魔術だったようだ。
…初期魔術であそこまでの威力が出ると考えると、他種族ではかなり序盤が楽なんじゃないだろうか。
「しかし、土壇場だったけど【チャック】がきちんと発動してくれて助かったなぁ…」
朝、宿にて薬草の種を入れた時に「アイテムをいれますか?」とかの承認ログがなかったので、使えるとは思っていたのだが。
あの戦闘で、【チャック】がただの便利系固有魔術ではなく、戦闘にも使える魔術だということがよく分かった。
「ただ、反省点が多い初戦闘だったことには変わりないなぁ…」
まず、戦闘に対しての心構えが全く足りていなかったことが第一だ。
どこか、初心者向けというところで嘗めていたところがあった。自分が警戒すべきはPKのみと思いあがっていた。
何も成していないのに、話題のゲームを開始したという高揚感で周りが見えていなかったというところだろう。
また、咄嗟に武器にした石だけど、もう少し【変異】を使って鋭くしておけばアースラビットに刺さっていたのではないかと思う。
そこもまだ反省するポイントだった。
「はぁー……」
次からは頑張ろう。
とりあえず【変異】を使って、石礫をナイフのように鋭い短剣のようにする。
一度でならないのはわかりきっているが、何度も何度もかけていく。露店に売っている短剣を買えばいい話だが、【変異】を使い魔術の感覚を覚えるという意味もある。
WOAは魔術の行使回数や様々な使い方によって、魔術の習熟度が上がっていく。
習熟度が上がるとどうなるか?システム的に魔術を覚えることが可能になる。
今の私の習熟度はこんな感じ。
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習熟度
錬成魔術:150 (1000)
鑑定魔術:100 (500)
固有魔術【チャック】:230 (500)
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括弧内の数字が次の魔術習得に必要な習熟度数だろう。
さて、魔術を覚えるにはこれ以外にも方法がある。
元々使える魔術を組み合わせたりするため新しい魔術を覚える…というわけではないのだが。
例えば、アースラビットの死体を解体と称して【変異】させた時の事。
あの時は【変異】に対する理解や、習熟度、解体に対しての理解度などが低いため生肉だけという結果になったが、使い方を工夫しこちら側で制御してやれば他の素材を取得できるようになるかもしれない。
言うなれば【変異-解体特化】みたいなものだろう。そのままだが。
使い方を変え、アレンジしただけだがこのWOAというゲームではそれをきちんと新しい魔術として設定できる。
一度生み出してしまえば、その後は発声行使も思考行使もできるというわけだ。
今私がやっているのもそれと同じ。
石礫を自らの武器となるように【変異】で何度も加工する。
他のゲームでいうウェポンクリエイトのようなものだ。それを【変異】によって作ろうとしているだけの話。
ただし、これが出来て自らそれを反復練習すれば錬成魔術の習熟度も上がるし、そのうち【変異】の新しいバージョン…言うなれば【変異-武器創造】が使えるようになるのだろう。
「がんばらないとね…」
その日、ゲーム外が日付が変わるか否かあたりの時間まで、石礫に【変異】をかけ続けた。