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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第一章 霧の中歩いていこう

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移り変わり、砕き崩し

もしよかったら感想、ご指摘などよろしくおねがいします


「……静かになったな、逃げたか?」


私は自分で撒いた【過ぎた薬は猛毒に】の所為で、視界が塞がれていた。

私自身少し焦っていたこともあり、まだ距離がある段階で起爆してしまったため、正直クロエ達が毒の餌食にかかったかどうかを確かめる術は、ほぼ無い。


「【俯瞰視】使おうにも、館の支配者が生きてたらなぁ…」


別に私が【俯瞰視】を持っていない、とは一言も言っていない。

使ってもらって、などとは言ったが。


「うーん、やっぱ邪魔だし散らすか。おいでホーク」


フラスコを二種類取り出し、地面に向かって叩きつける。

すると、中の試薬が混ざり合いホムンクルス……鷹によく似た鳥型が出来上がった。


「じゃ、あの毒散らしちゃって。出来るだけ空に向かって」


ホークと呼ばれた鳥型は、そのまま大きく翼を使い風を起こし始める。

その間にやることと言ったら、そう。

新しいホムンクルスを作成することだ。


さっきのクロエとの戦闘で三体消費するとは思っていなかった為に、持ってきたホムンクルスが心もとないのだ。

インベントリから空のフラスコを何個か取り出す。


「【錬金-生命作製】装填(チャージ)


錬金魔術。

錬成魔術の上位に位置付けられるもので、基本的には錬金術師など限られたクラスでしか習得出来ない魔術だ。


【生命作製】はその名の通り、生命を作製する……ホムンクルスを作製するための魔術。

取り出した空のフラスコ内に、ホムンクルスの元となる色とりどりの試薬が溜まっていく。


「----ィ!!」

「おっと、終わったかな」


ホークの鳴き、毒が散ったことを教えてくれた。

見れば、目の前には特に何も無いただのグズグズに溶けただけの広場があった。


「やーっぱり逃げてたか。まぁ仕方ないよね。……ホーク、捜索お願い」


そう命令すると、ホークは一鳴きした後飛び立った。

私もこのままボーッと立っているだけなのはアレなので、そのまま街とは反対方向…森の奥へと歩いていく。

彼女が向かうとするなら、こちらだろう。


「楽しくなってきちゃったなぁ、いけないいけないふふっ…」



-----------------------



「よーし、これで距離は取れたかな」


後ろから館の支配者が物凄いスピードでついてきているが、それはもう気にしない方向で行こう。

先程、というよりもこの第二部始まってからの付き人の様なものなので、気にしていても仕方がないのだ。


現在、私は森の奥……ではなく街の方向へと逃げていた。

実際、リセットボタンから逃げるのならこちらへ逃げた方が良い気がしたのだ。

プレイヤーが多くなるのは仕方ないにしても、ある程度の安全は確保できる。


「さ、また始めようか。館の支配者」


と、言っても先程からずっと攻撃され続けているわけだが。

【霧海】のお陰で、あまり動きを見ていなくても感知できるため避けることは出来るが。


改めてバフをかけ直し、戦闘用に改めて構え直す。

館の支配者に【怠惰】をかけ直し、ついでに軽く【憤怒】もかける。


「色々と邪魔は入ったけど、仕切り直しだね」


【武器創造】を発動させ、ハンマーを作る。

先程のリセットボタンとの戦闘中に考えていたのだ。

やはり行動力は削らないといけないだろう。


未だ彼の足には魔術耐性のある表面が全体を覆っている為に、【怠惰】で動きを遅くしたり【怒煙】を使い行動制限をしたりできないのだ。


館の支配者が殴りかかってきたのを余裕を持って避け、作ったハンマーで足を叩く。

叩き叩き叩きまくる。


「んん、やっぱりこれハンマーよりも……」


蹴りを避け、軸足をハンマーで叩きバランスを崩そうとする。

が、倒れない。


「ツルハシみたいな形状にしたほうがいいかもねッ!」


どうせ作り直すなら最初から、という事で。

持っているハンマーを館の支配者へ投げつけ、インベントリ内から石材を取り出し、巨大なツルハシのような形にする。

これならば、採掘のような形で表面を砕くことができるだろう。


ガン、ガン、ガンと良い音を立てながら表面を砕いていく。

蹴り、殴り、近くの樹を使い巻き込もうとしてきたりと、館の支配者もバリエーション豊かに攻撃をしてくるが、ある程度感知できる為にあまり脅威ではない。


「あるゲームで炭鉱夫になっていたのを思い出すなぁ!」


ガキン!と大きな音を立て、片足の表面が崩れ落ちる。

見た目がどんどん人形のようになっていくために、若干貧相に見えるが力はそのままのため、注意は必要だ。


【怠惰】を発動させ片足の速度を落としつつ、更にもう片方の足の表面を砕きにかかる。

館の支配者は流石に片足の速度が合わないためか、勝手にすっ転んでくれる。


「ガンガンガンガン、癖になりそうだ」


事実、癖になったからこそ昔炭鉱夫になっていたわけだが。

砕き、砕き、全ての対魔術装甲が無くなるまで砕き続ける。


「これで終わりっ!」


ガキン!と一際大きな音を立てながら、最後の装甲が崩れ落ちる。

此処からが本番、だろう。


「今までも気合入れてたけど……こっから更に気合入れなきゃね」


後半戦、開始。


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