戦闘、されど
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館の支配者が近づいてきて殴るの肉弾戦に対し、こちらが取れるのは回避または、突っ込んでくるのを予測して、また穴を作るなどどうしても攻撃を加えるのにワンテンポ遅れる行動しか取ることができない。
足を【チャック】で引っ掛けようにも、穴にハメ続けていたために彼の足には、対魔術の付いている装甲が残っているのだ。
それに触れた瞬間に、【チャック】は消え合わせて走り出していた私は殴り飛ばされてそのまま死ぬだろう。
しかし、全く攻撃行動が取れないわけじゃない。
彼が攻撃してきたタイミングで回避、その時に切りつける。その後距離を取り、上半身に向け【怠惰】を使用する。
ただの攻撃魔術の場合、火炎や氷が飛んでいき相手にあたることでダメージを与えるというモノが多い。
但し、補助魔術に関してはその限りではなく。
発動した瞬間に狙った場所へ効果が発動するモノが多い。
一応補助魔術にあたる【怠惰】も例外ではない。
攻撃を避け、カウンターを入れつつデバフをかける。
これが私の現在取れる戦術の一つだった。
攻撃を避け、樹薬種の短剣で切りつける。
そのままの状態で【怠惰】を館の支配者の腕にかけ、距離をとる。
また懲りずに攻撃をしてくるので、避けて切りつける。
今回は【怠惰】を掛けるが、距離を取らずそのまま切りつけ続ける。
ざざん、と切りつけつつも背後を取り蹴られないように意識する。
彼が振り返りかけたから、その動きに合わせて顔を切りつける。片目にあたる部分にヒット。
彼はイラついたのか、叫びながら無茶苦茶にうでを振り回し始める。
それに対し、距離を取りながら【怠惰】をかけ、更に上半身の動きを鈍くさせる。
【霧海】で感知し易いレベルまで速度が下がったために、暴れている館の支配者に近づき両手の短剣で切りつける。
避けて、切る。
避けて、切る。
避けて、切ル。
避けテ、きル。
避けテ、キル。
サケテ、キル。
その行動を繰り返していると、【霧海】に何か引っかかった。今はそれがなにかを確認するより、館の支配者の動きを感知し避けて切りつけ続ける方が優先だ。
彼の攻撃は恐らく掠っただけでも私は大ダメージを食うだろう。
但し私の方はかすり傷程度しか与えられない。
塵も積もれば山となる、とは言うもののどうにか大きいダメージを与えたいとは思う。
避けて、切る。
【変異】を私の足元に使い土の槍を作り出し攻撃する。
避けて、切る。
【憤怒】を更にかけ、視界の代わりにバフを得る。
避けて、切る。
【身体強化】で強化した足で腹辺りを蹴りつける。
避けて、切る。
4本ある腕の右側の1本を狙い、更に【怠惰】を掛ける。
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「ハァ…ハァ……」
繰り返し続ける。攻撃を避け、切りつけ、また避ける。
その合間に【変異】やらなんやらを使い、更に攻撃の手数を増やす。
MPポーションを飲み、MP補給も忘れずにしておく。
館の支配者の方は、右腕の片方が千切れかけている以外は軽傷で、まだまだ元気のようだ。
レイドボスなのだから当然だが。
しかし、ゴーレムだというのに、彼の何処を切りつけてもemethの文字どころか、リセットボタンの言っていた術者すら見当たらない。
心臓部分にある可能性が高いため、今は仕方ないといえば仕方ないのだが。
一旦距離を取り、バフ関係を掛け直す。
館の支配者はまだ暴れてはいるが、重ねがけした【怠惰】のせいか、その攻撃速度は遅い。
駄目押しとばかりに、【怠惰】をかけ続けてはおく。
『大罪魔術の習熟度が1000になりました。新たに【怒煙】を習得しました』
よく分からない魔術を取得した。
名前からおそらく【憤怒】関係の魔術だろう。
軽く【鑑定】を掛けてみる。
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【大罪-怒煙】
【憤怒】によって生じた靄を武器に付与し、相手に対し影響を与えるものとする。
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これ、恐らく夫人が使っていたアレだろう。
拳に靄纏わせて殴ってくるやつ。
あの時は食らわないように気をつけていたが、丁度いい。
「【大罪-怒煙】発動」
両手の短剣に対し、靄を付与する。
これで切りつければ、恐らく特有のデバフをかけることができるのだろう。
【霧海】の制御をし直すために、再度こちらも掛け直す。
「アレ?」
「あっ、やっと気付いた。やっほークロエさん」
いつの間にやら近くにリセットボタンが立っていた。
手を振りながら、こちらに近づいてくる。
「いや、作戦決まったから通話で伝えようと思ったんだけど。クロエさん全くもって出てくれないから」
「エっ」
ログを確認する。
かなりの数の着信通知が溜まっている。
「じゃ、あとは私らが作戦実行するからクロエさん下がっててもいいよ。よく頑張ったねクロエさん」
「……は?」




