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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第一章 霧の中歩いていこう

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42/242

その言葉の意味するものは

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします


「イーエムイーティーエイチ?」


それを読み上げた瞬間、館の支配者の動きが一変した。

今までは優雅に…それこそ紳士のように街へ向かい歩いていたのだが、突如立ち止まりぐるん!と私を見た。

【五里霧】を発動しているはずの私を、だ。


「まずいっ!」


咄嗟の判断で【影化】を発動し、影へ逃れる。

嫌な予感がするため、入ってきた影から離れておき様子を見ておく。


バシュッ!バシュッ!という音と共に、影からこちら側の世界へ根っこから引き抜かれた樹が飛んでくる。


「うわぁ…これもしかしなくても、なんか変なトリガー踏んじゃった…?」


emeth。

確かまだこのゲームを始める前…魔法やオカルト的なものをネットで調べていた時に出てきた単語だったはずだ。


「色々調べてたからなぁー頭んなかでごっちゃになってるなぁ……」


単語の意味は、確か真理だっただろうか。

思い出しかかっているのだが、ハッキリとこれだ!というのが分からない。

……こういう時は他の人の意見も聞いてみるべきだろう。


イベント攻略板@2


1.運営

イベント攻略板です。今後イベントに関する情報共有に関するスレッドはこちらへ統合されます。


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354.セイメイ

こちら現場!突然館の支配者が暴れ出したんだが!!


355.LoseRose

視えてます。何かしらの特殊行動か何かですかね?誰か思い当たる節は?


356.蒸気機関車テスラ

現場組は基本的に魔術撃ってただけだぞ

途中から霧が出てきてくらいしか思いつかない、魔力で出来てたしな


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うん、混乱してるっぽい。

音声入力も出来るから攻略板開きながら回避行動とってるんだろうなぁ、お疲れ様です。

と、書き込まないとダメだね。私のせいだし。

名前に関しては諦めよう。呪われたら考えるくらいで。


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359.クロエ

あー、申し訳ないです

館の支配者に近づいて、腰辺りにあった文字読んだらこうなりました


360.LoseRose

霧………?

>359 ってちょっとまって、えっ。文字?近付けたの?


361.ダストキラー

>359 文字にはなんて書いてあった?


362.リセットボタン

>359 よーやるねぇ君はw


363.クロエ

えーと、文字は「emeth」です。

意味は真理だったかな?


364.信濃

emeth?なんか聞いたことあるね。

こういうのに詳しいのは誰だったっけ。……えーっと。


365.ガビーロール

呼ばれた気がしたから出てきたよ!

emethと言ったら簡単さ!ゴーレムを起動させる時にemethって書いた羊皮紙を貼っつけるのさ!

>359 羊皮紙はあったかい!?


367.赤ずきん

おや、Loseちゃんから呼ばれたから来てみたが既に専門家が来ていたようだ。帰るよ。


と、思ったが情報元はクロエちゃんか!なら良し!居る居る!


368.クロエ

>366 いえ、羊皮紙は無かったです。

ただ、すぐに攻撃されかけたんで、今退避中なんですよね。確かめます?


>367 帰ってくださいませ


369.ガビーロール

ふむ羊皮紙無しか!

なら少し気をつけたまえよ諸君!……そいつ巨大化するぞ


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「は?」


ガビーロールという人の言葉と共に上……影の外から悲鳴が上がる。

よくよく聞いてみれば、それは『マジで巨大化しやがった!!』『あのクソゴーレム使いスレ見てねぇで駆けつけやがれ!!!』など、色々と大変そうだ。


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381.ガビーロール

はっはっはっ!!私も【俯瞰視】を持ってるから君達がどれくらい慌てているかよく視えているよ!

でもそうだな…ここから診ている限り、標準的なゴーレムのような核が見当たらないな……


382.カラマ

くっそ、ホントはこのゴーレムてめぇが作った紛い物とかそんなじゃねぇよな!!


383.化猫車

とりあえずアレゴーレムなんですね?!

そうなんですね?!


384.ガビーロール

あぁゴーレムさ!恐らく>359 の見た文字はemethではあるのだろうけど、ホンモノの起動符ではないのだろう!!どこかにそれっぽいのがあるはずだから探そう諸君!


ちなみに外側には無いのは私が宣言しよう!

だってさっきから【俯瞰視】使って舐め回すようにみているけど全く見当たらないからね!


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「探せって言われても……影の外、今思いっきり戦闘中だよねぇ」


出たら巻き込まれる、それが分かる。

私の作った影の入り口は元々は巨大化前の館の支配者の近くにあったのだ。

どれくらい巨大化しているかは知らないが、すくなくとも、人型よりも数倍大きいはずだろう。


「【五里霧】全力で使って外に出てみよう…」


影の入り口辺りへ泳ぐように移動し、戦闘音…爆発などが一瞬静まるタイミングを狙う。

既に【五里霧】を発動しているため、魔力はガンガン減っていくが、仕方のないことだろう。


「今だっ!」


一瞬、何も聞こえなくなったその瞬間。

私は【影化】を解除し、影の水たまりから飛び出るようにして帰還する。

【五里霧】を全力で発動させているため、周りにいたプレイヤーは、巨大化した館の支配者の足元から飛び出る何かには気がつかなかったようだ。


しかし、館の支配者は別だった。

私が出てくると共に、彼は叫びながらこちらへ攻撃を加えてくる。


「うぉ、あぶなっ!」


私の顔の真横をさっきまで地面から生えていた樹が矢の如く飛んでいく。

掠るだけでも即死、直撃なんてもってのほか。


私は自分に【憤怒】を使い、視界制限が起こらない程度にステータス強化を行っておく。

背後をみると、いつの間にか腕を4本に増やし周囲の環境を破壊しながらこちらへと襲いかかってくる。


まるで、私以外見えていないかのように。


全力で街とは反対方向へ走りつつ、意味のない【五里霧】を解き、再び広範囲へと【霧海】を発生させ直す。

逃げる先が行き止まりだったりしたら最悪だからだ。


「絶対あれ読み上げるの罠だったんじゃないか!!」


走り、そして考える。

この状況から打開するための策を。


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