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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第一章 霧の中歩いていこう

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戦闘は既に始まっている

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします


リーン森林 - PM


夜の森を走る。

現在、リーン森林はある種お祭りのようになっていた。


飛び交う色とりどりの炎や、あちこちで起きる爆発、時折地上から空へ落ちる雷もあれば、局地的に豪雨になっていたりもする。

というのも、レイドボスである館の支配者がここに出現したためだ。それを【俯瞰視】持ちの誰かが情報を流したのだろう。

一種の地獄のようになっている。


「あー、うん。こりゃ予想以上だね」


これから私もこの地獄の中に入っていかねばならないのだ。流れ弾で死なないよう気をつけなければならない。

全力で【霧海】を発生させつつ、手には樹薬種の短剣と、【異次元錬成】の中に入れすっかり忘れていた護身石の短剣を取り出す。


-------------

護身石の短剣 レア:unique

状態:Growing

護りの力を持った短剣は、精霊の造りし金属と混ざり合い、さらにその力を強くした。


使用中身体的ダメージを軽減する結界を周囲に展開する

CT:100秒

-------------


元々は石を削り出して作ったような短剣だったが、現在は精霊鉱で出来た刃に石が引っ付いているような形となっている。

以前よりも結界が強くなっているようで、無衣屠蝕にて発生する結界と合わせて二重の防御ができるようになっていた。


と、ここで索敵用に薄く広く発生させていた【霧海】に1番戦闘が激しい場所が引っかかる。


「見つかったかな」


戦闘の中心には、館の支配者と思われる人型の何かが周囲のプレイヤーを吹き飛ばしながら歩いている。

もちろん街の方向に。


「襲撃イベント、ラスト付近だとボスが出てきて今までなんだったんだ…みたいなのはよくあるけど」


クラスチェンジを行なったため、最大量が増えた魔力を使い【五里霧】を使う。

これが初参加のイベントだからまだよくは知らないが、やはりこういう時に漁夫の利を狙ってPKしてきそうな連中もいそうだし。


しかし、普通のサバトのプレイヤーが多いのに対し、何故本拠地が近いはずの【赤の十字軍】のプレイヤーが一向に見当たらないのだろうか。

それだけ少し気になったが、頭を振り今は集中すべきことに集中する。


そのまま少し走ると、戦場が見えてきた。

館の支配者もプレイヤーに取り囲まれる形で何処にいるかはっきり分かった。

彼はタキシードを着て、まるでこれから何処かの発表会か何かに行くかのようだ。


-------------

館の支配者:レイドボス

【鑑定】が弾かれました

-------------


「ははっ、弾かれちゃうほど格上なのね」


正直、プレイヤーが数十集まっているのにまだ倒せていない現状、格上なのは分かりきっている。

私は取り敢えず、ある程度被害が出なさそうな位置に移動しどういう状況かを整理する。


現在、館の支配者に挑んでいるプレイヤーは約15人。

それぞれがそれぞれ、別個の動きをしている為サバトメンバーとかそういうのではないのだろう。

ソロプレイヤー15人だ。


彼らが館の支配者へ攻撃系の魔術を当てようと放つが、館の支配者自体は全く避けようともしない。

進路を塞ごうと、儀礼剣のような物で斬りかかろうとしたプレイヤーもいたが、軽くいなされるだけだった。

背後から斬りかかろうとしたプレイヤーもいたが、気づかれていたようで裏拳で頭を潰され消えていった。


やはり、というかなんというか。

レイドボス…協力が必要なボスなだけあって、各個人で殺すにも力不足感が否めない。


個人で軍勢を呼び出せるようなプレイヤーならまだしも、そんな固有魔術は私は一度しか見たことがない。


「なんでこういう時に限って赤ずきんさんはここに居ないんだ……!」


彼女のトランプ兵を召喚するあの固有魔術ならば軍勢とまではいかないとしても、簡単に倍以上の戦力を確保できるだろう。

しかし、居ないものは居ない。無い物ねだりをしても仕方がない。


まずは私が現状何が出来るかを考える。

彼、館の支配者は基本的にこちらへは攻撃をしてこない。してきたとしても、それは迎撃行動であり主導的な攻撃ではない。


では攻撃してきた時と、それ以外は何が違うのか。


「……んー?」


時間はないが考えなければいけない。

如何にどう攻撃するかは、手数の少ない私にとってかなり重要な事だ。


……そういえば。何故彼は前から来たプレイヤーはいなすだけだったのに、後ろから来たプレイヤーには裏拳をいれ頭を潰すまでしたのだろうか。


現在私は【五里霧】により、ステルス状態にある。

追加でM-51:レイジーのおかげで、さらに発見されにくくなっている。

近づきすぎないにしても、背後側に回るくらいは出来るだろう。


周りのプレイヤーの攻撃魔術に当たらないように気を付けながら移動する。

イメージはアクション映画の弾幕の中避けながら移動する主人公のように。…魔術じゃないのだから、イメージしたところで私はアクション映画の主人公のようにはなれないのだが。


プレイヤーにも、館の支配者にも気付かれず背後にたどり着くことが出来た。

いや、館の支配者には気付かれているかもしれないが、何もしていない為に何もしてこないのかもしれない。


自分で発生させておいてなんだが、【霧海】の中は視界が悪い。自分の目で見ようとするのはかなり厳しいものがある。

そのための感知能力なのだろうが。


目を凝らし、よく観察する。

すると、腰の辺り…尾骶骨辺りが淡く光っているのに気付く。

文字、のようだ。


「イーエムイーティーエイチ?」


それを読み上げた瞬間、館の支配者の動きが一変した。


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