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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第一章 霧の中歩いていこう

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禁書を読もう、得たものは?

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします。


ヴェールズ首都 シスイ - AM


グリルクロスに依頼した翌日。

すっかり忘れていた禁書【第四章】の研究が終わったようなので、読んでいこうかと思う。

前回と同じように、どす黒いオーラを垂れ流し明らかに危険物然としている。


「今回もデバフかかるかなー…前回手に入った耐性って確か【第一章】限定だったよねアレ」


どんなデバフになるかはわからないし、そもそもわかったとしても防ぎようがないのだ。

ぺら、と1ページ目を読んでみる。


【汝、我を求め、我を行使する者也】


やはりというかなんというか。この一文を読んだ瞬間に、私の身体に黒い靄のようなものが巻き付いて身体が重くなった。

ステータスを開くと【憤怒Lv1】というデバフに新しくかかっているのがわかる。


「【怠惰】みたいに徐々に動けなくなるってわけじゃなさそうだけど…」


身体は重くなっているが、どちらかというと身体強化をしたときのような力が沸いてくる感覚がある。

恐らくデバフのレベルが上がってくればもっと分かりやすい形で出てくるのだろう。


一応現在の禁書カテゴリの習熟度を確認する。


-------------

習熟度

 禁書:610(750)

-------------


ある程度【第四章】を読んでいれば上がるだろう。

今日一日このまま宿に籠って読むことにする。……というか【怠惰】ならともかく、よくわからない【憤怒】にかかった状態で外に出て、他のことを同時に進行するとかやりたくもない。

一応PKフィールドだし、ここ。



-----------------------



「あー…コうィウ事かァ…」


読み進めて一時間程経っただろうか。

【憤怒】はレベルが3になっており、身体にまとわりつく靄はその量が増している。

身体の重さはあまり感じなくなったが、逆に【異常強化】した時みたいに身体が軽い。


しかし、視界が極端に制限され現在は通常時の半分以下しか見えていない。

靄が邪魔で、というわけではなく視界が赤く染まって見えなくなっていっている感じ…といえばいいだろうか。

プラスで、喋るのも少し辛い。なぜか口を開くたびに、冬の時に出てくる白い息のように黒い靄が出てくるし。


習熟度自体はもう少しで上がりきるため、この状態からは解放されるのだろうが、戦闘中の扱い方は考えなければならないだろう。

相手に対して使うと、半端にかけたら意味のないしある程度重ね掛けたら強化もされてしまう。少なくとも初見の敵に使うようなものではないだろう。


そんなことを考えながらページを捲っていくと、ようやく待っていたログが出てくる。


『禁書の習熟度が750になりました。新たに【禁書耐性:第四章】、【禁書喚起】を取得しました』


身体にまとわりつく靄が全て消え、視界もクリアになる。デバフは全部消えたようだ。


「ん、また新しい魔術かぁ。とりあえず最後まで読んだ後に確かめるけども」


【第四章】は残り200ページほど残っている。

【第一章】と同じならば、最後まで読めば【禁書行使】で使えるものが増えるだろうし少しだけ内容的に読むのが辛くなってきているが頑張ろう。



-----------------------



ヴェールズ首都 シスイ - PM


「あー…つっら…」


最後のページまで読み終わった。

予想以上に時間がかかってしまったが、それも仕方のないことだろう。


内容は【第一章】の続き、高校生時代のものだった。

恐らく【第二章】、【第三章】を飛ばしているため分からなかった部分もあったが、中二病から抜け出していないのはよくわかった。


「これ内容読むのだけが本当につらい…禁書の理由って内容じゃなくてこの読む辛さからじゃないの……?」


禁書に指定される理由は、現実では宗教や文化のタブーに触れたものがそれにあたる…はずだ。

ゲーム内でもそうなのかはわからないが、他人の中二病日記は書いた本人も読者側も発禁にしたいものだろう。


-------------

【禁書行使】

 所持している禁書の魔術を行使する。

  使用可能禁書:第一章、第四章

  使用可能魔術:【怠惰】、【痛覚軽減】、【召喚-棚】、【憤怒】、【狂化】

-------------


「あれ、増えてるのは二つなんだ」


前回と同じように文字化けしている魔術がないことから、【第四章】にて使えるようになる魔術はこれが全てなのだろう。

【憤怒】、そして【狂化】。ある程度予想は出来るのだが、それよりも気になることが一つ。


「【召喚-棚】、短くなってる…?」


前は【召喚-棚-第一章一節】とかいう長ったるい名称だったはずだが、現在は棚までしか表示されていない。

考えられることとしたら、今まで【第一章】のみの本棚しか召喚させられなかったのが【第四章】を読んだことによって、【第四章】含めた本棚を召喚できるようになった…って感じだろうか。


まぁ次回使うときに確かめればいいだろう。

その辺のモンスターに使うのはもったいないかもしれないが、前回の巨大ゾンビの時のようにぶっつけ本番だと色々と問題があるのも確かなのだ。


「問題は、わかりやすい【狂化】の方かな?」


先ほどから何回か【鑑定】をかけているのに、その全てが弾かれている。

前回の時の【召喚-棚】に弾かれたように、何かしら禁書内に記述があるかと思いパラパラと読み返してみるも、わかりやすい記述も見当たらない。


分類的にはバフに当たるようだが、名前的に使おうとは思えない。


「これもモンスター相手に使うしかないかなぁ…」


どこかで丁度いいサンドバックを見つける必要がありそうだった。


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