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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第一章 霧の中歩いていこう

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首都到着、新しいもの

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします


冒頭の部分をすこし修正しました。


ヴェールズ首都 シスイ - PM


道中少しだけ襲撃にあったりしたが、特に問題はなかった。【霧海】のレベリングは禁止されてしまったが。

PK達から手に入れた固有魔術に関しては、お願いを聞いてもらったお礼として私が倒した分全てを渡しておいた。


本来、固有魔術の譲渡というものはプレイヤー間ではシステム的にできないのだが、一つだけ例外がある。

『同じ戦闘』に参加した『サバトメンバーのみ』。

同じ戦闘に参加する…というのはこのWOAではあまり現実的ではない。同じサバトのメンバーにはPKはされないが、FF…フレンドリーファイヤはされてしまう。

そのため、戦闘に関しては基本的に集団戦は山賊ロールなどをしているプレイヤーくらいしかいないのだ。それ以外は基本的にFFを恐れて単独行動をするものが多い。


固有魔術を受け取ってしまっても、まだ二つある固有魔術を使いこなせているとはいえそうになく、私はそのまま赤ずきんに投げ渡してしまったのだ。

その時赤ずきんには、『今よりもっと強くなったらこの固有魔術は返してあげよう。それまでは預かっとくよ』と言われてしまったが。


「で、本拠点ってどこにあるんです?灰被りさん」

「首都の中心のほうにあるので、このまま色々見ながらゆっくり行きましょうか」

「はーい」


現在、かぼちゃの馬車は使わず徒歩でヴェールズの首都であるシスイを歩いていた。

というのも、かぼちゃの馬車を出していた赤ずきんが拠点のほうで仕事があるとかなんとかで、私達二人を置いて先に行ってしまったからだ。

個人的には、色々と見ながら向かいたかったために丁度いいといえば丁度いいのだが。


映画で見るような煉瓦造りの建物をチラ見しつつ、灰被りに案内をしてもらう。

首都ということもあり、始まりの街にはなかったようなお店や、人の数というのもあり、私だけではすぐに迷ってしまいそうだった。


「あ、そうだ。少しアイテム買いたいんで雑貨屋か何かって近くにあったりします?」

「それじゃあ丁度行きつけのお店があるので、そこに行きましょうか。こっちです」


灰被りはそういうと、私の手を引き路地裏の方へ入っていく。


「えっえっ、大通りのほうにはないんです?」

「ないんですよー彼少し恥ずかしがり屋なので」

「彼?恥ずかし…?」


よく分からないが、手を取られてしまっているためそのままついていくしかない。

首都といってもPK可能エリアのため、あまり路地裏という明らかに危なそうな路地裏には行きたくはないのだが。

そして進むこと約五分。ポツンとドアが存在する行き止まりへたどり着いた。


「さぁ着きました。行きましょうか」

「は、はぁ…」


着いてしまったらしい。

カランコロン、とドアを開けつつ灰被りが中に入ってしまったために、路地裏に取り残されるのもアレなので、私もついていく。


中は薄暗く、フラスコや何かの触媒になりそうなアイテム、棚には多くの本など、本当に様々なものが置いてある。


「おや、お客さんかな。いらっしゃい」

「どうもテセウスさん。灰被りです」

「ん…おやおや、この時期に君が来るとは。イベント前だろう?」

「今回は少し事情がありまして…あ、こちら新規メンバーのクロエさんです」


紹介されたため、一礼する。

テセウス、と呼ばれた男性はこちらを見ると「やぁ」と短く声をかけてくれる。これが恥ずかしがり屋なのだろうか。


「クロエさん初めまして。僕はテセウス。この店の店主だ。一応プレイヤーでもある」

「あ、プレイヤーだったんですか…ということはここに店を出しているってのは」

「一種のPKからの対処のためかな。奴ら大通りでも関係なく襲ってくるから」

「ふむ……いやでも路地裏ってのもあんまり変わらないのでは…?」


そう聞いてみると、彼はハハハと誤魔化すように笑った。


「まぁそれは置いておいて。今日は何が必要なんだい?今朝結構良い触媒が手に入ったんだ」

「えーっと、とりあえず鉄か何かがほしいんですけど…安いのってあります?」

「安いのか、少し待ってね……」


テセウスはそのまま店の裏の方へ入っていく。

今回鉄が欲しい理由は、いつも【変異】にて作る短剣が木材や石材だと殺傷力があまり高くないためだ。

【異次元錬成】を使えば、護身石の短剣に鉄を混ぜ込むことも可能かもしれないし。


一応石に関しては、研磨すれば殺傷能力は上がっていくわけだが、それにしても最終的には強度に関して鉄に劣る。

ドルイドなどの自然物を使い奇跡を起こすような魔術師でない限り、武器や何かのために使うのは鉄がいいだろう。


「というか灰被りさんよくこんな路地裏のお店知ってましたね」

「私がこのゲーム始めた頃からの知り合いなんです、彼。色々よくしてもらってるんですよ、アイテムとかね」

「へぇ…いいですねぇ、そういうの」


VR世界だが、このネット社会で長い間付き合いがあるというのはいいものだ。

私もそういう知り合いができるといいが、今のような立ち回りをしていたら出来るものも出来ないんだろうなぁ。


「お待たせ、色々種類があるけど全部安いかな。これがリストだね」


と、ここで店の奥からテセウスが紙を持って帰ってきた。

アレが彼の言うリストだろう。礼を言いつつ、それを受けとる。


-------------

在庫リスト

鉄鉱石

銅鉱石

銀鉱石

金鉱石

精霊鉱

-------------


「数に関しては、在庫はあるから心配しなくていい。ただリストの下に行けば行くほど市場価格が上がってるから、そこに関しては注意が必要だね」

「へぇ…この精霊鉱ってのはなんです?」

「それはモンスターのコボルトから手に入るものだね。魔力への適正が高いから、プレイヤーに人気なんだよね」


モンスターからドロップとして鉱石が手に入るのか。それは興味深い。

それにコボルトといえば、ゲームではよく鉱石を作ったりなんやかんやしている種族…だったか?それらが居るのなら、ほかにも妖精系のモンスターから得られるものが多いかもしれない。

一度も目にしたことがない、という点は置いといて。


「精霊鉱はいくらくらいなんです?」

「ざっと一個500くらいかな、それ以下だとうちの経営が回らなくなっちゃう」


このWOAという世界で使われている通貨は、セン…まぁ大体の相場でいえば、紙なんかは一枚10セン、先ほどのリストにあった鉄鉱石に関して言えば一個50センのため、それの十倍と考えると、それなりに高いというのがわかる。

手持ちは1000と200程度のため、買うとなると手持ちをほぼ放出することとなる。


「んー…わかりました。二個買います」

「毎度あり。イベント終わるまでこの路地裏にいると思うから、お金貯まったらまた来るといいよ」

「その時はまたお世話になりますね。……私の方はもう大丈夫ですけど、灰被りさんは何かあります?」

「私は特にないですかね。ではテセウスさん、また」

「はーい、またね」


私達はテセウスの店を後にすると、そのまま【赤の十字軍】の本拠点を目指し始めた。

本拠点についたら【異次元錬成】で精霊鉱を使っていこうかと思う。


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