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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
235/242

試合間の休憩時間 3


■リセットボタン視点


「んー……?あー……」


気が付くと、コロッセウムだった。

……固有外したかぁ……。


負けてしまった。

創り出したホムンクルスたちが相手にすらされず、他の攻撃もまともに通じないのだから……正直どうしようもなかったのだろう。

相性差というのはその場で咄嗟に対応しようとしても何とかできないものであり。

だからどこかしょうがないと思う気持ちもありながら、悔しいという気持ちも湧いてきていた。


「あとで闇討ちしよう……」


相手だった青年の能力を考え、イベントが終わった後どう闇討ちしてスッキリするかをコロッセウムの隅の方に移動しながら考えていると。

私のローブが後ろに引かれた。

見れば、一番会話したくない人物がそこにはいて。


「リセットボタンさんどうも」

「……はて、私の名前はRTBNですが」

「私に見せたことあるホムンクルス使っておいて、そんな言い訳が通じるとでも?」

「はぁ……いやまぁ、えぇ。リセットボタンですよーえぇ。なに?笑いにでも?」


クロエだった。

一度裏切り、殺され、そして共闘らしきものまでした彼女だ。

気付かれるかなぁとは思ってはいたものの、ここまでしっかりと干渉してくるとは思ってなかったために少しだけ驚いてしまう。

最悪、ここで無視されて終わった後に闇討ち紛いのお話でもするくらいの子だと思っていたからだ。


「?笑うわけないじゃないですか。単純に労いに来ただけですよ」

「は?」

「だから、労いです。戦ったから、一緒に戦ったから分かりますけど貴女割と真正面からの戦闘ってのは得意じゃあないでしょう?なのに頑張ってたなぁって思って」

「……いやいや、どこをどう見て頑張ってたと思うんだい?結構惨敗っていうか、やりたいことすら出来なかったから馬鹿にされても仕方ない内容だったけど?」


事実、やりたいことは全部真正面から潰されていた。

通常のホムンクルスを使っての攪乱も、お遊びとは言え対集団戦を強いることの出来る『軍団』も。

ドラグも、全く利点を生かせなかった合成ホムンクルス2体も、それから自身の持つ固有魔術も。


何もかもが潰され、その上で殺された。

手も足も出来なかったというべきか……いや、それは言い訳だろう。

単純に私の実力が足りずにあんな情けない試合になってしまった。

それだけの事なのだ。


「頑張ってた、っていうのは内容とは関係ないんですよ。こういうゲーム以外でも言えることですけど、『頑張ってた』は周りで見てた人、当事者以外の第三者からしか言えない言葉なんです」

「何を……」

「だってそうでしょう?頑張る!なんて言っても、その結果が奮わなければ第三者からは何も評価されない。そういうものなんです。だから私は言いましょう。貴女は自分の苦手な事を頑張ってなんとかしようとしていたように見えた。だから私は労いに来た。それだけなんですよ」


正直、ついていけない。

目の前の女は突然何を言い出しているのか。よくわからないし、意味が分からない。

なんで私は説教されているのだろうか。

……というか、キャラ違くない?


「でも」

「でもじゃない。ほら、こっち来てください。みんな待ってるんで」

「いやいやいや、どんな顔していけばいいの!?というかいつもより強引だな!?」


手を引かれ、隅から中央へと連れていかれそうになるのを何とか踏ん張って耐えつつ。

クロエの後ろから来ているハロウの姿を見て、どうしようもないことを知った。


「あら、クロエちゃん。何してるの?」

「あ、ハロウさん。リセットボタンを皆で労おうかと思ったらこんな風になってまして」

「……嫌がってるのならやめた方がいいんじゃない?」

「私もそれくらいは分かりますよ。ただ、顔にやけてますし……力入れてるように見えてこうやって簡単に引き擦れるんですよ」

「あら……まぁ、彼女にも色々整理が必要なんでしょう。少し待ってあげてもいいんじゃない?それにもう少しで私の試合も始まるから」


見れば、ハロウの体から光が溢れ始めている。

第五試合……私が負けたことによってイーブンとなってしまった試合結果に決着をつける最終戦。

それが今始まろうとしていた。


「あ、あの、ハロウさん――」

「ふふ、それ以上は言わなくても大丈夫よ。いいのいいの。戦いたかったしね」

「でも、私、負けて。それで」

「いいって言ったでしょう?それに、アレはもう仕方ないわ。過ぎたことを悔やんでも仕方ないし、次を考えていきましょう。……とりあえず、応援よろしくね?」


そういって、彼女は転送されていった。

手元には観戦用のウィンドウが展開される。

見れば、クロエもこの場で見るようで。

遠目からこちらを見つめる彼女の友人らは、一つ笑うと各々で手元のウィンドウを見始めた。


私は一つため息を吐いたあと、座り込み。その場で観戦ウィンドウを見始める。

第五試合の始まりだった。


興が乗ってこっちの完結済みの新作の続編、プロット書き始めてるのでもし読んでなかったらよろしくお願いします。

Festival in Crime -犯罪の祭典-(https://ncode.syosetu.com/n6993fp/)

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