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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
234/242

第四試合 Ⅳ

お久しぶりです。短めです。

こっちを更新していない間、こんな作品を更新してました↓

https://ncode.syosetu.com/n6993fp/


もしよかったら読んでみてください。


■ユースティティア視点


放たれたその火は、そこまで脅威ではなかった。

というのも、咄嗟に【変異】によって創り出した土の壁によって防ぐことが出来てしまうレベルのものだったからだ。


……これは本命ってよりは時間稼ぎか?

火を防ぎつつ、考える。

相手にそこまで消費をさせないものの、足止めにはなる攻撃だ。

それに加え、この森の中。火というのは見えやすいだろう。


「きちんとした索敵持ってねぇな?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



■リセットボタン視点


「やべ、バレちった」


ドラグに火を吐かせることによって、ホムンクルスの目以外の索敵を持っていない私は相手が今現在どこにいるのかを詳細に知ろうとしていた。

しかし、それもバレてしまえば意味がない。

一度足を止め、ドラグの視界から相手がどうしているのかを探ろうとして。

近くで聞こえてきたガキンという音にドッと冷や汗をかいた。


見れば、ゴーレムに向けて。

剣を振るっている学生服の青年がそこにいた。


「A,B迎撃。ドラグは……やられてるのか」

「はッはッは!こっちから来てやったぞ!!」


ゴーレムから飛び降りつつ、私は【過ぎた薬は猛毒に】を使い猛毒の霧を周囲に作り出す。

但し、直接HPに作用するようなモノではなく。

魔力を徐々に減らしていくモノだ。

きちんと【操風】を使って霧がこちらへとこないように気を付けておく。


「なんだこの霧……」


未だ青年は霧の中。

このまま気付かれないように遅延戦闘を行っていれば、いずれ魔力切れによって気絶するだろう。

しかし、それは上手くいった場合のみだ。


……【札の王は希望か絶望か】のタイミング合わせられれば一番なんだけど。

以前使ったのはハンスとの戦いの時だっただろうか。

元は都市伝説から来ていると考えられるこの固有魔術は、未だ派生を覚えていない。

効果としても、強力なものかといわれれば固有魔術の中ではそこまで珍しくもない効果しか持っていない。


カウンター型の攻撃魔術、とでもいえばいいのだろうか。

【札の王は希望か絶望か】の発動と同時に出現するトランプのキング達を相手の攻撃に合わせて破損させることで、その破損範囲と同じ部位にダメージを与えるというもの。

元の話は柄によって示すものが違ってくるはずだったのだが……私の使うこれは特にそんな区別のようなものは現状ない。

恐らくは派生さえ覚えれば変わってくるのだろうが……如何せん使う機会が少ない。


「全ての王よ、我に害成す彼の者に粛清を」


そういった瞬間、私の周囲に飛んでいたトランプ4枚が正面へと集まってくる。

いつ攻撃されてもいいようにだ。

私の目には見えない速度で移動してくる可能性のあるこの青年に、私がタイミングを合わせて【札の王は希望か絶望か】を配置するよりかは、ある程度システムに任せてしまった方がいい。


そんなことを考えた瞬間、風が吹き荒れる。


「呪いの聖剣持ちと戦うのは初めてか?やるなら即効性のある毒じゃねぇと止まらねぇぞ?」

「うわぁ。どこのなろう小説の主人公ですかね」


剣を上へ突き上げ。

自身の魔力を使い、風を起こしその場の霧を霧散させている。

合成ホムンクルスA、Bもその風の勢いに近づけずにいるらしく。


自然に舌打ちが漏れてしまう。

私の戦い方はホムンクルスによる所が大きい。

そのため、こうやってホムンクルス達を無視或いは無力化されてしまうような手合いには滅法弱い。

……やっぱ受けるんじゃなかった!


私は逃げる鳥の羽型のホムンクルスを背中に作り出し、自分の意志である程度自由に動かせるようにする。

【操風】も使い、ジャンプするように空へと跳べば。

ふわっとした一瞬の無重力感の後、私は森の上へと飛び上がる。


【札の王は希望か絶望か】が私を自動で追尾して追ってくるが、それはまぁいいだろう。

問題は、


「なっ……どんだけ無茶なことをしてるんだ……!!」

「おう、空に逃げるのはずるいだろ!」


その下から、自身の作った風を使ってこちらへと飛んできている青年の方だろう。

剣を構え、近づかれたらそのまま切られると確信する。

……速さの正体はこれか!

何か移動用の魔術を使うのではなく、単純に風を起こしての高速移動。


「面倒すぎるッ!」


何とか青年がこちらの近くへとたどり着く前に、【札の王は希望か絶望か】を私の正面へと引き寄せることに成功した。

但し、その後ろから青年が物凄い速さで迫ってきているため余裕はない。

私はそのままに、彼はそのまま空を駆ける。

瞬間。私と彼の影は交差した。



空から墜ちるものは一人。

それも途中で光となって消えていき、空に残る者も一人。


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