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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
209/242

第二試合 弐

お待たせしました


■クロエ視点


【影槍】、【変異】を使った【分裂】、【爆裂】、キング達の物理攻撃、リックの物理、魔術攻撃……etc.

ある程度余力を残した上で行った、考え付く限りの攻撃は全てホーネットにダメージを与える前に爆発に呑まれてしまった。

チートかよ、と愚痴を吐きそうになるがこれも固有魔術の多様性の産物なのだろう。


分かったことといえば、魔力の有無に関係なくダメージ判定のあるものを全てホーネット自身に触れる前に強制的に爆発させるという効果。

ダメージ判定のあるという条件はある程度推測だが、今もホーネットの動きを感知している【霧海】が爆発していないことを考えるにその可能性は高いだろう。


「そろそろ無駄だってわかったんじゃないですかぁ?僕には!一切!攻撃は通用しない!!」

「あは、らしいですねぇ……ここまで手を打った全てが全てダメージになっていないんですもの。羨ましい、私の【魔力装】と取り替えません?」

『冗談言ってる場合かっての……』


冗談を言いたくなるような効果なのだ、これくらい許してほしい。

それに、私もただただバカみたいに話しているだけじゃあないのだ。


ホーネットの派生魔術。それは言った通り、ダメージ判定(・・・・・・)が発生している攻撃にしか反応はしない。

だからこそ厄介なのだろうが、私はその上を行く厄介さの塊のような相手とこれまで2回ほど戦ってきた。

……勝機は、あるかな。

ここからは、前回(・・)と同じだ。


「まぁいいじゃないですか。時間がないならアレですが……生憎、時間制限はないですしね。この試合」

「……随分と余裕そうじゃないですか、元ギルマス」

「そう見えます?」


そう聞くと、ホーネットは首を縦に振った。

そのタイミングで、私は【霧海】伝いに彼の両膝の裏辺りにある魔術(・・・・)を発動させていく。

爆発は、起こらない。


「本当にそう見えるだけですよ。こちらとしては、ここまで厄介な防御系の派生魔術を持ってるとは思ってなかったんですから。焦りに焦りまくってます」

『……あぁ、俺達がもしお前をどうにか出来たとしても、この後に控えてるグリムも相手にしないといけないわけだ。掛るコスト的にもこいつは焦りまくってるよ』


ホーネットはまだ気づいていないようだが、リックは気づいてくれたようで話に乗っかるように加わってくれた。

やはり、普通にかけるには抵抗(レジスト)される確率が高いようで、前回のように出来たら一番楽だったかなと思いつつ。

それは成功した。


その瞬間、ホーネットはがくんと膝を折る。

まるでそのまま立つのが困難になったかのように。

前回と同じように【怠惰(・・)】に掛り、身動きが取れなくなった彼の前まで移動する。当然、彼の【魔力装】による攻撃が一応届かないであろう距離をとって、だ。


「なっ……!?」

「掛るかどうかって不安だったんですけど……まぁ問題なくて良かったですよ」

『何してるのかと思ったが結果オーライみたいだな?』

「えぇ、でも油断はしないでください。彼の固有だと身体さえあれば、そこから剣出せるんで」

『了解』


彼に【魔力視】のような技術があったらどうなっていたかは分からないが、現に気付かれずホーネットは地面に手を付けこちらを見ている。

その顔自体は、まだ不敵に笑っていたが。


「は、ははっ!これくらいで勝ったとでも!?元ギルマスの言った通り、僕はやろうと思えば手を動かさずに攻撃ができるんだ!それにどうやったって僕の護りは崩せないんだろう!?」

「えぇ。崩せないですよ。ダメージ判定のある攻撃に反応して爆発、打ち消されるんじゃどうやっても攻撃が通らないです」

「よく分かってるじゃないか……!こんな小細工しても、僕には傷一つ付けられないんだ!!」

「えぇ。だから……」


彼の足元、その下20メートルほどを指定し【範囲変異】を発動する。

ここから先はかつてダンジョンで……【妖光の館】にて使った戦法と同じだ。


「落ちてください、落とし穴に」

「はぁあぁあああああああぁぁあ……?!」


彼は私の言葉に呆けたような顔をしたまま、穴の底へと落ちていった。

そのまま下の地面に激突したのか、大きな音がした後に何やらうめき声も聞こえてくる。

痛みはないはずだが、恐らく気分的に呻いてしまっているのだろう。


「こっこれだけで僕をなんがぼぼぼぼ!?」

「あっ、やっぱりダメージ判定が無ければその派生、効果発揮しないんですね?」


何やら叫ぼうとしていたようだが、その上から【過ぎた薬は猛毒に】を流し込み強制的に黙らせる。

今回作っているのは毒を期待して、というよりも窒息、溺死を期待しているために効果の低い液体の毒だ。

触れた程度ではダメージが発生しない、そのレベルの毒。


当然、ホーネットのように飲み込んでしまえば、毒の効果は出てくるだろうが……まぁそれも副次的な意味合いでしかない。

今の彼は、【怠惰】に掛り満足に足が動かせない。

その上で【範囲変異】によるおよそ20メートルの落とし穴の底に居て。

上からは水が……【過ぎた薬は猛毒に】が大量に流し込まれている状況だ。


そのままグリンゴッツに指示を出し、もしも【怠惰】が切れて出てこれそうになったとしても止められるよう、【魔力装】で蓋をさせる。


「終わりですね」

『あ、あぁ……』


何故かリックがこちらと目を合わせずに明後日の方向を向いているがどうしたのだろうか。

……リックさんも何かしらやりたかったのかな。そうだったらすまないことをしてしまったなぁ……。


こうして、詳細の分からないまま。

グリンゴッツに蓋を任せ私達は奥へと進む。

私達の対戦相手の片割れであるグリムが待つ広場へと。


事前に読んでもらった友人からの質問


Q1.なんでホーネットくん、前に使ってた風魔術?みたいなの使ってないの?

A1.それ想定してた戦闘も書いてみたんだけど、結果的にこの形に落ち着いちゃった。そっちの方が読みたかったならごめんね


Q2.なんでホーネットくん【魔力視】できへんの?

A2.完全に技術の域なんで、出来ない人も当然いるよ。クロエ側で言えば、テセウスができないよ。


Q3.この文量でなんでこんな期間空いたん?

A3.すまん、TRPGやっとった。

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