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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
207/242

第二試合 開始

身内に「続きまだぁ!?」と急かされたので急いで書きました。

短めです。ご了承を。


■クロエ視点


「そういえば」

「どうしました?」

「クロエさんは何か作戦とかあるのか?作戦会議でもあんまり戦術についてはどうこう言ってなかった記憶があるし」


第一試合が終わった後。

次の試合……私達が出場する試合まで少しの時間が空くそうで。

少し離れた位置に居たリックと集合し、ブリーフィングのようなものを行っていた。


「いえ……あるといえばありますけど、少し博打に近い形にはなりますね」

「俺らが勝たないとこの後が厳しいのは変わらないんだ。何でも言ってくれ」

「そうですか?じゃあ……」


リックに私の考えを話す。


「成程。でもそれだと、相手の……グリムだったか?の固有はどうする?教えてもらったことをまとめると黒い霧に触れた瞬間にアウトだろう?」

「そこは……まぁ、こっちにも隠し玉はあるので。なんとかしますよ」

「……一時的な共闘だもんな。敵になるかもしれないから手の内は全部教えてくれないのは仕方ない、か。わかった」


彼は一人納得してくれたようで首を縦に振っている。

実際彼が言った通り、今は仲間として共闘してはいるがこれから敵として戦う可能性もあるのだ。

いくら信用しないといけないとはいえ、全ての手札を教えるわけにはいかない。


……実際、リックさん側も私に何か隠している素振りは見えるしね。

私の【チャック】の派生は知っていたとしてもあまり対応できるようなものでもないが、それ以外のものに関しては知られていれば対応できてしまう程度のものなのだ。

それをコンボのようにつなげているからこそ、私のいつものスタイルは完成する。

それこそ、【異次元連結】と【遠隔装作】を組み合わせた疑似的な『王の〇宝』だったり。


「ではそういうことで……すいません」

「いや、こっちもだから謝らなくていい。こんなゲームじゃ仕方ないことだからな」


忘れがちだが、このゲームは最悪仲間割れが起きるようなもの。

固有魔術のためなら、と仲間を殺しいつも組んでいたグループから逃げるように旅立ったという話はよく目にするものだった。

だからこそ、こういうタッグ戦を組む場合であっても味方を絶対的に信用できない。


WOAというゲームだからこその話だろう。

味方が絶対的に信用できないなんて、ネット小説の主人公が追放されたものだったり手酷く裏切られた系のものでしかないだろうに。


「そろそろ時間ですね……よろしくお願いします」

「こっちこそ。絶対に前衛は通さないから安心して魔術を使うといい」


そう言葉を交わした後、私とリックさんはどこかへと飛ばされた。





「……ここは、神殿?」

「の、ようだな。コロッセウムだけで戦うわけじゃないらしい。離れないでくれ」

「分かってます。とりあえず索敵だけはしておきますね」


私とリックさんが飛ばされた先は、何処かの神を祭っているであろう神殿だった。

しかし、そこは作られてからある程度経っているのか、所々崩れていたりしている。

強い衝撃を加えてしまえば崩壊してしまいそうだ。

私は即座に【霧海】を発動し、周囲を探っておく。今回前衛をリックさんに任せるため、こういった部分である程度活躍しないと居る意味がないのだ。


「周囲に敵影なし……恐らく反対側に飛ばされているんじゃないかと」

「……まぁ予想は出来てたけど、そうだろうな……。どうする?神殿の中に行くか?」

「私の固有的には建物内のほうが効果は高いですけど……それはグリムも同じですからね。任せますよ」

「じゃあ、進もう。どっちにしたって、相手よりもこっちのが奇襲能力は高いのは間違いないし」


リックの言う事は尤もだ。

こちらには【魔臭捜犬】や、出来る限り薄くすれば【霧海】も相手を位置探る程度には使えないわけではない。


その意見に同意し、近くの霧は濃く、遠くの霧に関しては出来る限り薄くして視認しにくして範囲を広げていくことにする。

薄くした【霧海】を使って魔術を指定座標発動などは出来なくなるが、それでも相手との距離をある程度把握できるのはこういう屋内戦では大きなメリットとなり得る。


「……限界まで範囲を広げました。ここからは移動しないと索敵は難しいですね」

「了解」


私が【霧海】を広げるのを待っていてくれたリックは、その言葉に頷きつつ前へ……神殿の中へと進んで行く。

その後ろをついていきながら、私はある考えが頭の中に浮かんでいた。


『もしも、ホーネットが専守防衛に向いた固有を持っていたらどうしようか』


という、ある種こちら側が詰みかねない予想を。


専守防衛に特化した固有を持っていた場合、何が悪いか。

単純に私とリックが得意とする奇襲や正面突破が効果的な手ではなくなってしまう。

それこそ、【チャック】の中に居る傀儡達を使って物量作戦を仕掛ければその限りではないかもしれないが、それでも確証はない。


全方位に対する結界なんてものを持っていたら最悪だ。

その場合、恐らくは【霧海】すら内部に入り込めず、私の【異次元連結】による攻撃がそもそもできないだろう。

それだけで、私の手札がかなり減ってしまう。

奇襲が封じられた私なんて、ほとんどいる意味がない只の雑魚と変わらないのだから。


第二試合は、始まったばかりだ。

その予想が的中するかどうかは、まだわからない。

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