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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
206/242

第一試合 急

タイトル付けてておもったんですが、エヴァの映画って次いつなんですかねあれ


■クロエ視点


一連の試合の流れを観戦ウィンドウで見ていた私は、自分だったらどう殺るかをずっと考えていた。

特殊な処理がされているのか、声以外の爆発音などしか観戦者には流れてこないが……それでも。

分かる事や勉強になった事がいくつかあった。


「……ん?どうしたんクロエちゃん」

「あぁ、いや。自分だったらシステさんをどう殺すかなって。どうしても【霧海】を消されたら不利になりそうだなぁ……」

「あは、それを言ったら私の【童話語り】を使えなくされたら、私そこらへんのプレイヤーより弱いからすぐに死ぬぜ?」

「またまた戯言を」


嘘じゃないんだけどねー、と赤ずきんは笑う。

正確な性能は分からないとはいえ、あのダメージすらも魔術の発生すらも消してしまえるシステの固有魔術らしきものは厄介だろう。

私の戦闘スタイルで考えれば、かなり面倒なことにはなる。


【霧海】を使用不可にされた場合で考えてみる。

まず、【霧海】による座標攻撃に見せかけた魔術発動ができなくなる。

モンスター相手に使っている戦術ではあるが、たまに相手の足元を突然落とし穴にしたり等、対人戦でも使える技術が使えなくなる。


次に、恐らく派生魔術も使えなくなる。

これによって【白霧結界】などの相手の妨害、認識阻害など良く使うモノが使えなくなってしまうのは普通に痛い。相手によっては【白霧結界】だけで完封する事も可能なため、それが使えなくなるのは痛い。


最後に、【霧海】に隠して【次元連結】などの【チャック】による奇襲が行えなくなる。

これは普通に相手に手の内がバレてしまい、避けられる可能性が高くなってしまうためダメージソースが減ってしまう所が厄介な所だ。


ただ、ここまでは面倒なだけだ。

私には他にも固有魔術はあるし、そもあった方が楽というだけでそれらをメインにしているわけじゃない。

恐らく死ぬと言っていた赤ずきんもそうだろう。彼女の場合、【童話語り】で呼ぶことの出来る登場人物達が強力だからこそそう考えてしまう可能性はあるのだが。


「……というか、これクリスさんの最後の攻撃から少し経ったのに煙晴れませんね」

「そうだねぇ……多分まだ動きそうだ。恐らく乱風魔術使って煙起こしてるっぽいしアレ」

「システさん側が……?大規模魔術用の準備でも?」


その問いを発した瞬間に、観戦ウィンドウからこの試合中一番大きな爆発音が聞こえてきた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



■クリス視点


突然の爆発に何とか受け身をとれたものの、私は呆気にとられてしまっていた。

何が、というよりもどうして、という意味で。

爆発が起きる直前に私はあるものが煙の中から飛び出してくるのを見た。

今この場では私しか使える人間がいないはずの《連鎖する立方爆弾》を、だ。


「……一体どうし――」

「おや、まだ動けますか。では、追加で」

「――ッ」


煙を纏いながら、悠々とこちらへ歩いてくる彼の姿、声を聞きながら。

咄嗟に距離を取るために【操風】を使うが、それは相手も同じ。

いや、受け身ができたとはいえ体勢を崩している私の方が少しばかりその行動に移るのが遅かった。


「……前回の時は、本気じゃなかったの?」

「いえ、本気でしたよ。あの時は正直な話……油断していましたので。あのまま削り切られるとは思ってなかったのですよ」

「そう……」


徐々に追いつかれ、肩を掴まれ地面に叩きつけられる。

この距離ではどうやっても攻撃を避けることは出来ないだろう。

それに今の私の手札の中には、不意打ちの【頭上の林檎は撃ち抜かれる】すら防いだ何か(・・)を持つシステを殺すことが出来そうな魔術はない。


完全なる詰みだった。


「クッソー……悔しいな。これで一勝一敗か」

「ふふ、良い相手でしたよ。私も久々に自分の固有魔術の弱点を見直す良い機会になりました」

「あは、こっちも色々考えさせてもらったよ。次は絶対に殺すから」

「受けて立ちましょう……と、言っても。この催しの結果次第にはなりそうですけどね」

「それもそうかー……まぁ、その時はその時で」


私とシステは笑い、そして私は首を飛ばされた。



第一試合、決着。

勝者――システ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



■クロエ視点


「赤ずきんさん、アレどう思います?」

「アレっていうのはどれのことかな?」

「システさんがクリスさんの固有魔術を真似た?というか、映像ではほぼほぼ同じものを使っていたように見えたので。実際相手の魔術を模倣するような固有があるとして……あんな咄嗟に使うことができるのかなと思って」


成程……と顎に手を添え赤ずきんは少しだけ考えるそぶりをした後に、


「実際、出来るだろうさ。事実私達は彼が使うのを見たわけだからね。……まぁ『彼と同じ魔術構成ならば』っていう但し書きは必要だろうけど」


と言った。


「それは、システさんの固有魔術以外にも汎用魔術も関わってるってことです?」

「うん、そうだね。例えば彼の反応速度を見てみると、確実にアレは何かしらの身体強化系の魔術を使っているだろうし……それ以外にもバフを複数乗っけててもおかしくはないだろう。固有魔術のバフなんて見てみると特殊なモノ多すぎて……もし再現しろって言われても私には無理だなぁ」

「まぁ確かに相手の魔術をある程度模倣するってだけでも、大きなアドバンテージになりますもんね……」


ゲーム的には、可能。

しかし現実的には不可能。

それが彼の見せた技術だった。


これから戦う相手には、彼のような業を持った歴戦のプレイヤーが多く出てくるのだろう。

そう思うと、今しがた味方のクリスが負けたというのに少しだけ……そう、ほんの少しだけ笑みがこぼれてしまった。


次の戦いは、私とリックさんのタッグ戦だ。

多分あとで第一試合に関しては大幅に書き直すと思います。

結末自体は変わりませんが、展開は変わるかも。


あと、短編投稿しました。

「遺言屋」(https://ncode.syosetu.com/n8922ff/)

よろしくおねがいします。

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