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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
203/242

第一試合 開始

本日六本目~~!!

と、同時に!!

累計PV1,000,000突破しました~~~!!!!

ありがとうございます!これからも頑張ります!

そんな風に会話をしていると、どうやら運営側の準備が整ったのかもう一度アナウンスが流れ、クリスが転送されていった。

そして私達の前にはそれぞれウィンドウが出現し、戦闘映像がそこに流れる仕組みだと説明された。視点変更も出来るようで、戦闘中のプレイヤーの視点から見た光景も映し出せるとのこと。

運営が関わっているからこそできる芸当なのだろう。地味に便利なものだ。


そんな風に観戦ウィンドウの仕様を確かめていると、クリスの試合の開始を告げる鐘が鳴った。

試合開始だ。



-----------------------



クリス視点


決闘場に転送されたと思ったら、またすぐに私は転送された。

さっきまでいた控室代わりの決闘場と見た目自体は似ているが、目の前には薄い赤色をした半透明の壁と、その向こう側にはどこかでみた顔があった。

以前、白い部屋の中で私が殺した相手であるシステの姿だ。


しかし以前と違うのは杖を持っている事と、シルクハットを被っている事だろう。

あの姿が彼の本気の装備、ということだろうか?

……といっても、私も私で本気装備ではあるんだけど。

当然だ。ここで手を抜くのはファルシ側のプレイヤーに失礼だろうし……こちら側の味方にも失礼だ。それこそ相手側に寝返ったプレイヤーでもない限り。


「久しぶり……って言ってもこれ聞こえてるのかしら?」

「えぇ、聞こえていますよ。お久しぶりです……今回こそは勝たせていただきますよ」

「いやね、今回も私の勝ちで終わるに決まってるじゃない」


一言二言、笑いながらも言葉を交わす。

まだ運営側の準備が終わっていないのか、私達を隔てる壁は消える事がない。

私の【頭上の林檎は(チャーマ)撃ち抜かれる(ミット)】は座標攻撃のため、この状態でも攻撃できるのだが……何故か発動しない。

恐らくはこの空間自体に何かしら戦闘開始前に魔術発動を阻害するシステムなんかが走っているのだろう。


それならば、と自分の弓だけでも起動しておくことにする。

これでいつでも戦闘可能となった。

……といっても、システの固有魔術への対策何も考え付かなかったのよね。


はっきり言ってしまえば、彼の『嘘』を操る固有魔術の攻略法は全くもって思いついていない。

そもそも、あの白い部屋で使われていたあの固有魔術だって、本来の魔術ではなく派生かもしれないのだ。

こういう時、固有魔術が千差万別というのは面倒だと心から思う。

前回の苦し紛れの攻略だって、あの状況だったから効いただけかもしれないし……私の場合、相手に持っている固有魔術を2種類も見られてしまっている。

対策を取られているのは当然だろう。


……先手必勝しかないか。でも外したら外したで……かなり不利になるなぁ。

相手に魔術を使わせる前に殺す。結局はこれしかないのだ。


『大変お待たせいたしました。これよりクリス選手対システ選手による代表戦第一試合を開始します。鐘の音と共に壁の消去、魔術行使阻害効果が解除されます。……では、ご武運を』


アナウンスと共に、鐘が鳴り壁が消えた。試合開始だ。

それと共に私は固有魔術を発動する。狙うは相手の胸の中心。機動力を奪うわけではなく、直接相手の急所である心臓を狙いに行く。


「【頭上の林檎は撃ち抜かれる】ッ!」

「……!」


私の手の中の魔力で編まれた矢は以前のように霧散することはなく、射られそして虚空へと消える。

次に出現するのは彼の身体の中心のほんの手前の空間だ。

しかし彼もそれくらいは予想していたのか、私が固有魔術を使った瞬間に後ろへと大きく飛び退いていた。


【頭上の林檎は撃ち抜かれる】は結局は座標攻撃をできるようにするだけの弓矢を放つ固有魔術。矢を飛ばした先が壁でもない限りは矢は飛んでいく。

それくらいわかっているのか、彼も彼で手に持つ杖で高速で己に迫る矢を払い口を開こうとした、がそれを許す私ではない。


「追加ッ!いくわよ」

「……チッ」


追加で私が固有魔術ではなく普通に矢をつがえ彼に向かって射ると、舌打ちしつつも冷静に回避していく。

逃げてもそこに矢を、たまに固有魔術を使い座標攻撃を。

一見すれば私が有利な戦況にも見える。だが戦いは始まったばかりで……それでいてこれまでにないくらい私は焦っていた。


初撃を防がれた、それはいい。こちらも予想していたことだ。

だが、その後の追撃をまだ一度も当てられていないというのはかなり不味い。

何故か彼が固有魔術を発動せず逃げ回ってくれているため、こちらの攻勢は崩れていないものの……これが続けばこちらが危ない。


「何か焦っているようですね、お嬢さんッ!」

「分かり切ってることを聞かないでくれる!?」

「失敬。ではこういうのはどうでしょうか?【(メンダシウム)】」


瞬間、私の持つ弓が霧散した。


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