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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
200/242

部屋へと戻り

本日三本目です

「ただいまー。進捗どうだい?」

『ん、ご主人か。割と出来たぞ……といっても、途中で大量に素材を追加されたからまだ在庫自体は残ってるが』

「あは、それはまぁ仕方ないってことで。これから私も手伝うから」


グリンゴッツに挨拶しつつ、私は宿の自分の部屋に戻ってきた。

ここからは私は精霊鉱に魔術をかけつつ、手元で石材や木材を削って杭を作るという作業をしていかないといけない。

一見大変そうに見えるが、【霧海】で精霊鉱がどこにあるか感覚で把握しつつ魔術をかけるためそこまで変異の方は大変じゃない。


大変なのはむしろ杭を作るほうだ。

力、というか精度というか。力を込めすぎれば折れてしまうし、込めなければ全く削れない。

表面だけ削ったとしてもそこまで意味がないし、塵も積もれば……とはいうが今は時間がないため急ぎたい。


そうやって考えてみると、この杭を作るという作業はかなり難しいものだ。

普通錬成魔術を使えば手を使う必要がないため、こういったことをする必要もないのだが……ある意味で体験しておいてよかったかもしれない。


「はぁ……でもアレだよね。傀儡って命令された事を素直にやるから、こういった作業とか機械みたいに正確そうなんだけど……そこんとこどうよ、グリンゴッツ」

『私は思考する力を得てしまったからな、例外だろう。ただ……そうだな。キング達は確かに正確に機械的にこなしてくれている』


そういって彼はキング達を指さす。

そこには私の買ってきた大半の素材を凄まじい速度で加工していくキング達傀儡の姿があった。

まさに機械。手元は狂う事なく、話に反応することなく、ただただ命令されたことだけをそのままこなし続けているのだ。


……これ、傀儡沢山集めたら工場とか作れそうだなぁ。それこそ深影魔術とか使えば場所も取らないし。

もしかしたら既にやっている魔術師もいるかもしれない。私が思いつく程度のことだ。その可能性は十分にある。

それに、コレだけの性能だ。誰も攻略掲示板なんかに上げないだろう。

命令された事に関しては、機械のように正確に。そして速度は生前の限界を超えて。


「一儲けできそうだね。加工系のアイテムを大量に売りさばくとかそんな感じで」

『確かにな。ただ一気に市場に物を出してしまえばすぐに価値は下がってしまうから……できたとしても最初の一回が限度だろうな』

「だねー。……まぁやる気はないけど。大量に加工するってことは今以上に傀儡作る必要あるだろうし。流石にそれは面倒だし、何より素材が足りないからねー」


傀儡を作るには、モンスターの素材が不可欠だ。

ダンジョンに潜ればたくさんいるものの……それこそ求めている仕事をこなさせるには人型が望ましい。

そうなるとゴブリンなんかの人型モンスターが出るダンジョンを探すとしても……と、探すだけでも面倒になってくるのだ。


「まぁ私達は別にそこまでお金とか困ってるわけじゃないしね。そこらへん考えても仕方ないね」

『それもそうだ。ご主人の興味は金よりも魔術の研究なんかに向いているものな』

「そうさねー」


そんな話をしつつも、私は手を動かし杭を作っていく。

どれだけあればいいのかわからない分、それこそ今ある素材分全て杭にしてしまっても足りない可能性がある。

そんな考えが過るくらい、グリムのあの黒い靄は厄介なのだ。


魔力に関係するものは触れた瞬間にすべて靄へと変換されていってしまう。

それこそ、錬成魔術で作った槍なんかも靄に触れれば変換されてしまうし、防具なんかもこの世界で作られた物は少なからず魔力を帯びてしまう。

魔術師が近づけばそれだけで全身靄に代わってデッドエンドだろう。


だからこそ、こうやって魔力を使わない方法で加工したアイテムを使うしかない……と言っても。

相手は回復するし、今回で言えばホーネットという【魔力装】を使う相手もいるのだ。

かなり厳しい戦いになることは確かだ。


……まぁでも。こっちにもリックさんがいるわけだし。

人狼へと変わってしまった彼。一度死ぬまでは姿が戻らない……自らの固有魔術の弊害をリアルタイムで受け続けている魔術師だ。

その身体能力は人狼。そして人間の考える頭を持ち、技術もこの世界で磨いていった確かな物。


はっきり言って普通の相手ならば、リックだけで問題はないだろう。

それこそ、接近戦特化の巫女とかそういったものでない限りは。


「……っとと、もう変異終わったっぽい?」


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