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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
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次に繋げるために

どうもです、ここ最近頑張って更新できてる気がします。

約一年前の私は環境が違ったとは言え、こんなことをやってたんだなぁとしみじみ思います。



次の日、と言ってもやる事は変わりない。

それぞれに武器を作り、グリンゴッツが影の中で動きを確認しつつ統率魔術の訓練を行う。

それを4回ほど繰り返した後、私は傀儡4体の武器を再度確認した。


まずはキング。

これは狂猪の魔石を芯にした石の直剣。

刀身に【怒煙】を【刻印】し、これによって傷つけた部位をほぼ強制的に行動不能とさせる殺傷力はそこまで高くはない武器だ。

しかしその分、キングのタンク……前衛としての能力を活かせるのではないだろうか。


続いてエース。

彼には短剣と……完全に趣味に走った大振りな鎌を。

構成素材的には同じだが、その分傀儡内の攻撃役という役割を活かせるよう【影槍】や【怠惰】を鎌の方に【刻印】している。

魔力を流せばその場で発動させられる【影槍】は不意打ち用でも、中遠距離での主力火力にもなりえる。

また【怠惰】によって徐々に鈍っていく相手の首を、最終的に鎌で刎ねる……何ともかっこいいじゃないか。


短剣には【怠惰】のみにしてあり、あくまでメイン武器は鎌として扱わせる予定だ。

まぁグリンゴッツが何やら困惑していたが、そこは気にしないでいいだろう。

彼もきっとわかってくれる。


次はジャック。

彼はサポートを中心に行う中衛ということで、武器というよりは魔術行使の補助としてワンドを作製した。

本職の鍛冶屋には劣るものの、モンスターの魔石を使い魔術を使って【変異】させた素材を使えばそれなりに使えるものになるのではないだろうか、という考えの元作られたワンドには現在私が使える強化魔術が一通り【刻印】してあるため、ある一定までの強化ならばジャックだけで済ませる事は可能だ。


最後にクイーン。

傀儡チームの回復役には、RPGで僧侶が持ってるイメージのロッドを作った。

ただ一つ問題として、私は一切回復魔術を扱う事が出来ないため……クイーンのロッドにだけ【刻印】が行われていない。

もしかしたら回復魔術を扱う事が出来るようになる可能性もあるし、そこは今後の私に期待だ。そうでなくとも、クイーン自身が使える回復魔術を使えば微量ながらも回復はすることができる。貴重な回復役だ。


「とまぁ、こんなもんだけど……どうよグリンゴッツ。動きとかは別段問題ない?」

『あぁ、そうだな。動きにくそうだと思ったエースでさえ、指示を出してみるときちんと鎌を使ってこちらを攻撃してきた。受けもしっかりしていたし、連携を取れといった曖昧な指示でも一見問題ない動きをしていたから、そこまで心配する必要はないだろう』

「一見?細かい所で問題でも出た?」

『ん、なんというかだな。やはり練度というかレベルが足りないのか……どうしてもご主人達がいう初心者とあまり相違ない程度の実力しかないのだ。彼らは』


……あぁ、なるほど。そういう問題か。

傀儡も強化しなければ弱いまま、大抵は生前のステータスを少しだけ下げた状態で傀儡となるが……私の使役する傀儡は全て生前がゴブリン。つまりは比較的弱い部類にカテゴライズされるモンスターだ。

そのステータスはお世辞にも高いとは言えない。


だが、それでも安易に強化も出来ないというのが現状だ。

グリンゴッツの時は、彼自身が勝手に魔石を食らい強化されていった。だがそれだって、彼の役割がその時は明確に定まっていなかったからである。

現状、新しく増えた傀儡4体は明確にその成長の方向性が定まっている。

そこで他の方向性を持ったゴブリン上位種の魔石なんて食らわせたら、それこそ今作っていた武器類がほぼ意味なくなるだろう。


食わせるならば、それに特化したゴブリンの魔石を。

そう考えると……あの時の『妖光の館』のようなゴブリンが沢山出てくるダンジョンにでも潜ったほうが今後には良いのかもしれない。


「それについてはもう仕方ないね。近くにゴブリン主体のダンジョンはないわけだし……グリンゴッツみたいにするわけにはいかないしね」

『それもそうだ。……まぁある程度連携さえ取れれば、動きが初心者並みでも相手の足止めは出来る。そこを狙えば……』

「ジャイアントキリング、狙えるかもね」


まぁ、そんな簡単にはいかないのが今回の相手なのだろうが。

グリムは言わずもがな、やはりホーネットが怖い。

彼はほぼ不意打ちのような形で殺したのだ。それを真正面から戦わないといけない。

辛いといえば辛い……のかもしれないが、こちらにも新しい札があるのだ。

少しでも有利になるよう、準備を進めていこう。


「とりあえず、グリンゴッツは【チャック】の中に残ってる石材を杭みたいにナイフで加工しといて。私は出来るだけ石材とかの材料新しく買ってくるから」

『それは構わないが……その意味は?』

「……あぁ、そういえばあの頃はまだいなかったっけ。対戦相手のグリムが魔力に反応して塵に変えるっていう固有持ってるの。それ用の攻撃手段ね」

『成程。では統率魔術も借りようか。他の4体も使えばある程度数は用意できるだろう?』

「いいの?訓練とかは?」

『いや、いい。結局彼らは操られるだけの存在。私のように思考能力があるなら別だが……訓練といっても私の回避などの戦闘訓練を主に行っていたしな』


それもそうか、と納得しつつ部屋を後にした。

街へ出てみると、近いうちに決闘があるからかいつも以上に活気づいている。


もしよかったら、感想などよろしくお願いします~

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