表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
195/242

考えつつも手を動かして

前回更新日、アクセス数が久々に1万超えてて本当にありがたい限りです。

これからも皆さんよろしくお願いします!

感想などもよろしくお願いします~。


解散後、私は部屋へと戻りベッドに倒れこんで天井を見上げ考えていた。

戦争決闘は4日後。

とはいっても、私のやることは割と限られている。


まず第一に、私自身の魔術の行使精度の向上。

赤ずきんとクリスによる矯正、日頃からやっている【霧海】による練習に加え最近新しくダンジョンへと挑んだはいいが、その精度はまだデスぺナ前と比べると拙い。

それをどうにか決闘までに元に戻す必要がある。


2つ目として、統率魔術を使った新しい戦術の構築。

これに関しては決闘までにある程度考えておかないと、相方であるリックに迷惑が掛かってしまう。

自分の手札すら十全に使えない相方など、邪魔以外の何者でもないだろう。


この2つが私がこの4日間にやる必要のある事だ。

それ以外にもやることがないわけではないが……それでも優先すべきはこの2つだ。


「と、言っても……」


ちら、と天井から視線を逸らせばそこには自らの武器を手入れしているように見える傀儡達がいる。

最も、そういった指示を出しているからそういう行動をしているだけなのだが。

……この子らをつかっての戦術なんて、限られすぎててどうにもならないんだけど。


キング、クイーン、ジャック、エース。そして元から居るグリンゴッツ。

この5体の傀儡を使って戦闘をする場合、基本的にはキングを前衛、ジャック、エースを中衛に置き、クイーンを後衛、グリンゴッツを遊撃というポジションに置くというのが鉄板だ。

そも、そのポジションに特化しているからこそ、他のポジションに置いた所で役割をこなせない。

グリンゴッツだけは回復以外は出来なくはないが、だからこそ私と似たように遊撃というポジションの方が動きやすいだろう。


「便利な物があったらよかったんだけどね……っと」


【チャック】を開き、木材と石材を取り出す。

久々に、というわけではないがキング達用の簡易的な武具を作ろうと考えただけだ。

ダンジョン内ではとりあえずということで【遠隔装作】で作った剣などを持たせていたために、実際の武器はまだ持たせていないのだ。


それに武器というものは何処かが歪んでいると脆くなりやすい。

だからこそ精度を上げるのにも使えるだろうという考えもあったりする。

……まぁそう言っても、何を作るかだよね。キングは直剣でいいとして他をどうするかな。


キングは前衛……というか、イメージは重鎧を着た騎士だ。

鎚なんかでもいいのだが、やはり騎士といえば直剣のようなものだろう。

あとはキングでも持てるタワーシールドを持たせれば、キングの装備は十分だろう。

剣の方には【怒煙】を、タワーシールドの方には【怠惰】を【刻印】しておくことにする。

あくまでもキングは味方の盾としての役割を任せるつもりのため、攻撃能力はそこまでなくていい。

相手の足止めをメインにした方がいいだろう。


「グリンゴッツ、ちょっといい?」

『ん、なんだご主人』

「そっちのインベントリの中になんか魔石とか入ってない?使う予定ない奴」


グリンゴッツと私は普段使いとして【チャック】を普通のインベントリとして使っている。

その影響で、お互いが知らない間に入れた物が【チャック】内に入っていたりもするのだ。

普通にリスト化させて表示させれば内容物を確認することは可能だが、それよりも入れた本人に聞いた方が早いだろう。グリンゴッツは私と違ってAI、忘れる事はないだろうから。


『あぁ、それなら……これなんてどうだろうか』

「ん、狂猪の魔石か。うん、いいねありがと」

『役に立てたようで何より』


そう言いながら彼はキングとエースを連れ私の影へと沈んでいった。

深影魔術を使って、影内で戦闘訓練でも行うのだろう。

彼も私から借りれば統率魔術を使う事は可能だ。

私が指示を出す余裕がなくなったり等した時に、代わりに傀儡の指揮を行うのはグリンゴッツになる。

それの練習も兼ねているのではないだろうか。


「んー、ゴーレムとかホムンクルスとは違う所だよねぇ……。指示を出さないといけないっていう所でやっぱり面倒なんだろうなぁ、皆」


適当に狂猪の魔石を【変異】によって加工しつつ呟く。

形としては剣の芯に魔石、刃の部分を石材、柄を木材で作る予定だ。

最終的に滑りにくくするために柄の部分には包帯か何かを巻く予定ではあるが、自分で使うものではないため、そこらへんは適当で構わないだろう。


……傀儡を使う魔術師は少ない、らしい。

あくまでガビーロールや、掲示板などの外部の情報のみで確固たる情報ソースがないために言い切れないが、やはり人口的には少ないようだ。

周りを見てみても、傀儡を使っているのは私くらいしかいない。


少ない、というのはこの世界では大きなアドバンテージとなる。

というのも、調べれば多くの欠点や弱点が出てくるホムンクルスやゴーレムと違い、傀儡なんかはあまり情報自体が出てこない。

情報が出てこないというのは傀儡を使う際かなり面倒なのだが、それはそのまま相手が対策が練りづらいという意味でもある。

とは言っても、ある程度は生前のモンスターの能力をそのまま再現している傀儡も多いために、そこまで対策といった対策を取る必要もないのが大きな欠点の一つなのだが。


「よし、直剣はこれで完成っと。【刻印】は後ですればいいから……次はどうするかな」


そんなことを考えていながら手を動かしていたら、直剣が完成していた。

歪みがあるかどうかを確かめつつ、次に作る武器をどうするかを考えていく。

基本的には同じ構成で形や大きさだけを変えていく事にはなるが、持たせるものによって動きが変わってくるために、他はしっかり考えて作っていかねばならないだろう。


そうして、私の準備期間1日目は過ぎていったのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ