Who is Enemy?
凄い。私凄い。ここまで毎日投稿すごい。
まだ頑張ります。
もしよかったら感想なんかもよろしくお願いします。
ホーネット。
知ってるも何も、一度野試合というか……私が殺した相手だ。
それに加え、彼は恐らくだが私の別ゲーでのギルドメンバーの可能性もある。
……というか、私を指名してきたってことは確実に気付いた可能性が高いよねぇ。
以前戦った時とは違い成長はしているが、それは相手も同じ。
正直、不安しかない。彼の感知能力もさることながら、【魔力装】は元々彼の使っていた固有魔術だ。
私の方は【遠隔装作】などの主に遠距離対応ができる方向に成長している。
しかし彼の使っている【魔力装】は恐らく近距離対応に特化して成長しているのだろう。
「その様子だと知ってるっぽいね」
「あー……えっと、はい。別ゲーでの繋がりですね……というか私2人に指名されてるんです?」
「そうそう、大人気だねぇクロエちゃん。まぁだからクロエちゃんの試合は2対2で決定かな」
2対2。そういいつつも相手はグリムとホーネットという私を指名してきているのを考えると、私へ向くヘイトはかなりのものになるだろう。
どうしようか、とは思うがどうしようもないのも確かだ。
問題は誰が私とタッグを組んで、彼女らと戦ってくれるのかという所。
下手に知らないプレイヤーだった場合、連携が出来ずにいつものポテンシャルすら出せずにそのまま死ぬ可能性がある。
「あの、私のタッグ相手は誰になるんです?知らない人だと結構……その……」
「あぁ、そこらへんは安心して。知ってる相手だよ……というか、みんな一緒に開催日程発表していこうか」
赤ずきんはそう言いながら、インベントリ内から羊皮紙のようなものを取り出す。
恐らくそこに誰がいつ出場するかが書かれているのだろう。
少しだけ【魔力視】してみると、羊皮紙自体が魔術で保護か何かされているのか、全体的に濃い魔力を帯びており下手なことをすると手痛いしっぺ返しを食らいそうだというのが私でもわかる。
所謂呪い返しのようなものだろうか?そういったものがこのゲーム内にあるかは兎も角として、これをゲームマスターが用意したならばゲーム内で使えるものを使っての改竄は恐らく不可能だろう。
「まずクリスちゃん。君は第一試合ね。相手はシステ……ふむ、クリスちゃんは知ってるかな?」
「えぇ、知ってますよ。色々面倒だった人ですね……指名ですか?」
「うん、指名だね。何か恨みでも買った?」
「……うーん、多分?」
クリスは首を傾げているが、一度負けたからとかそんな理由で相手を恨む人もそれなりに居る。
闇討ちをする相手じゃなく、こうやって場を用意する相手でよかったなとは思うが。
それを言ったら私を指名してきた2人もそうなのだが。
まぁ一度勝っている相手ならばある程度は心配いらないだろう。
相手の固有魔術を1つ獲得しているというのもあるし、それを踏まえた上での新しい戦術も立てられるのだ。
以前よりもこちらが有利なのには変わりない。
「続いてクロエちゃんなんだけど……リックくんと一緒に第二試合ね。相手はさっき言った通り【童話の人物】のグリムとホーネットね」
「あぁ、リックさん。よろしくお願いします」
『……あぁ、よろしく。というか俺は音桜辺りに指名されると思ってたんだけど違ったんだな』
「音桜ちゃんは今回出場してないね。……まぁ、少しだけ気を付けておいて。路地裏で襲撃とかされないように警戒はしておいてね」
『了解です』
そういいながらも、彼は机に突っ伏したままその獣の耳をぴくぴくと動かしている。
普段よりも広範囲の音を聴きとれるのか、そうしているだけでも周囲の状況はある程度分かるようで、私が飲んでいたカップをテーブルに置く音にもぴくんと反応していた。
彼ならば一度、正体を知らない状態とはいえ今の人狼の状態でも一緒に戦っている。
ある程度はお互いの手の内もわかるし、私の傀儡を使った戦術に関しても事前に何をやるかだけを伝えておけば問題ないだろう。
前回よりも手数も多くできるだろうし、かなりサポートもしやすい。
普通の決闘ならば問題ないとは思うタッグ相手だが……相手が相手だ。
ホーネットが前衛、グリムが中後衛での戦闘として……恐らくどちらもこちらへと向かって攻撃をしてくるだろう。
グリムに関してはもしかしたらリックを無視してまでこちらへと攻撃してくる可能性も高い。
「ちょっと大変になると思うけど、頑張ってねリックさん」
『ある程度グリムについては聞いてはいるんだが……そんなに?』
「うん。そんなに。外見に騙されると驚いて酷い目遭うよ」
『マジかぁ……なんとかヘイト取れるようにちょっかい出してみる』
そう言ってもらえるだけでもやりやすい、と彼の耳をふにふにと触りながら礼を言う。
その様子を興味深そうにクリスが見ているが……リアルでの友人にしかわからないこともあるのだろう。
気にしていても仕方ない。
「で、他の試合はどうなってるんです?」
「んーっとね。第三試合が私と灰被りのタッグで、相手はガビーロールに……」
そのまま言葉を続けない赤ずきんの顔をみれば、少し複雑そうな顔をしている。
灰被りも自分の相手について知らないようで、首を傾げながら赤ずきんの持つ羊皮紙をのぞき込み……そして硬直した。
……何か予想外の相手でも書いてあったのだろうか。
「……赤ずきんさん?」
「あ、ああすまない。私達の相手はガビーロールとレンだ」