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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
192/242

カフェに行こう

今日も投稿です。

なんだか毎日投稿が出来てた時を思い出しますね。

少し今は時間があるので、頑張ります。

感想などももし良かったらよろしくお願いします。


次の日。

ログイン後、すぐに赤ずきんからの呼び出しがあり私は復帰後に訪れたカフェへと向かっていた。

何があったのか、と聞いてみれば決闘の開催日程が決まったとの事。


予想よりも大分早いな、という気持ちと共に本当にそれだけなのだろうかという考えも浮かび、正直足取りは重かった。

が、向かわなければどうにもならず、最悪赤ずきんか灰被り……果てはハロウなんかがこちらのいる場所までやってきて通達しそうなのでどちらにしても面倒事にはなるだろう。

それならば、比較的穏便に済むであろう方を選ぶのが人間というものだ。

……でも、なんで赤ずきんさんが連絡してきたんだろう。ハロウさんも私の連絡先知ってるはずなのに。


少しだけ気になる点を挙げるとしたらそこだ。

普通ならばこちらのプレイヤー代表であるハロウがこちらへと連絡するだろう。

他のプレイヤーが連絡を入れるのは、当人たちが連絡先をお互いに知らない場合に限られる……はずだ。

そういった通信関係に特化した固有魔術もあるかもしれないために、はっきりとは言えないが。


「まぁ、考えても仕方ないこともあるか。忙しかったかもしれないし」

「そうそう、忙しいんだよ。身内の中じゃハロウが一番ね」

「……」


ポンポンと頭を撫でてくる手を払いのけながら後ろを向くと、そこにはいつものにやけ面を晒した赤ずきんが灰被りと共に立っていた。

じと目で少し距離をとりながら向き直ると、少し頬をかきながら困った顔をする。


「おいおいクロエちゃん。そんな敵にあったみたいな反応しないでくれよ。いくら私でも少しは傷つくんだぜ?」

「不審者に対する真っ当な反応だと思います」

「え、私ってクロエちゃんの中では不審者カテゴリだったの?普通にショックなんだけども……」


しくしくと声に出しながら赤ずきんは地面に倒れこむ。大袈裟なリアクションだが、ショックを受けているのは本当なのだろう。

……少し正直に言いすぎたかな。

それはそれとして、頭を撫でられるまで接近に気付かなかったというのは私の落ち度だ。

気が抜けていたというのもあるが、普段は街中でも展開していた【霧海】は今日は展開していなかったというのもある。


「すいませんクロエさん。今日はハロウさんの代わりに決闘開催日程に対してお話しようと思いまして」

「やっぱりハロウさん忙しいので?」

「えぇ、今回の決闘以外にも事務作業や本来のコロッセウムでの決闘、リアルの方での仕事なんかも相まってかなり忙しいようで……」

「なるほど」


そんな話をしながら私たちはカフェへと向かって歩き出した。



-----------------------



「あぁ、やっときた。こっちですよー」

「ごめんねクリスちゃん。呼び出しておいて遅れちゃって」

「問題ないですよ、こっちもリック連れてくるのに手間取ってさっき着いた所なんで」


クリスとリックも赤ずきんに呼び出されていたようで、前に来た時と同じ席に座り私たちを待っていた。

テーブルにリックが突っ伏しているのが少し気になるが。


「……あの、リックさんはどうしたんです?」

「いやー、なんというか。やっぱりまだ人間の姿に戻ってないから街中に入るのも結構嫌みたいでね。今日も後で内容聞くから行かないって言ってたから、無理矢理連れてきたの」


そう言われリックの方へと視線を向ければ、軽く手を挙げ挨拶のような事はしてくれる。

人狼のような姿になったからか、恐らくは人間種よりも全体的にステータスが高いのだろう。

ただし、その姿のせいでモンスターに間違われ討伐されかける事も少なくないらしい。

その度に相手によっては返り討ちにするか……もしくは相手が諦めるまでその優秀なステータスを活かして逃げ回るらしいが。

そういった面倒事になりやすいであろう街中は、やはり行きたくない所なのだろう。


ここに連れてこられ、こうして項垂れているのは逃げられないというのもあるんだろうが……恐らくは話の内容が内容だから、というのもあるのだろう。

自ら出ると言った手前、初めから居ないなら兎も角として私や赤ずきん達がついてから逃げ出すというのも流石に悪いと思っているのだろう。

だからこそ、クリスの前とは言え一度は逃げ出した事を恥じて項垂れているんじゃないだろうか。


「……まぁ、1名話が出来る状態かは置いといて。今回は分かってる通り、決闘の開催日程が決まったのと、それぞれの相手が決まったからお知らせしようと思ってね」

「あ、もう決まったんですね」

「うん。抽選自体はすぐに行われたっぽいし、相手からの対戦相手の指名があったしね」


あぁ、と私が出場メンバーに選ばれた理由を思い出す、

恐らく私の相手は十中八九グリムだろう。彼女は私に執着しているし、この前の戦場でも私は彼女の前から逃げ出している。

その考えを肯定するように、赤ずきんはこちらを見ながら頷く。


「なんかわかってるっぽいけど、クロエちゃんの相手は【童話の人物(フェアリー)】のグリム。相手からの指名だね。ただ……」

「ただ?」

「もう1人クロエちゃんを指名してるプレイヤーがいるっぽいんだよね。ホーネットって名前に心当たりはある?」


思わず手で顔を覆ってしまった。


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