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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
186/242

遅くなりました。

少し長くなりそうだったので、ちょっと分割。


話は変わりますが、エクステラリンクとりあえず真ルートまでクリアしました。

……シャルル欲しいなぁ、とは思うけどあの設定じゃFGO無理かなぁ……


「あぁ、彼のことなら心配いらないさ。……といっても、君が知っている姿じゃないかもしれないんだが……」

「私が死んだ後に何かあったんです?それとも、今みたいな休戦状態に入ってから?」


そう聞くと、彼女らはバツが悪そうに顔を逸らす。

何かあるな、とは思いつつも自分の中に感じる魔力による繋がりによって彼自身が無事なのは分かっているため、深く聞かなくてもいいだろう。

しかし、恐らくは近くにいるというのに何故この場に出てきていないのか。それがわからない。

……とりあえずは、保留かな。問題としては。

この場にいるメンバーの表情を見る限り、何か事件に巻き込まれているだとか、そういったものではないのだろう。ならば、あとで本人(?)に会った時に直接聞けばいいだけだ。


「話す気はない、と」

「あー、いや。話してもいいんだけどね?そのー……うん、怒らないかい?」

「……私が怒るような事でもあったんですか?いや、そうやって聞くってことはあったんですよね?」

「あはー……クリスちゃんパス」

「ちょっ、あっもしかしてこの場に灰被りさんがいないのってコレ避けるためですか!?」


何やら押し付け合いが起きている。

反応したのが赤ずきん、クリスの二人ということは、恐らく動画で見たあの戦いの後に何かあったのだろう。

三人が圧倒したあの戦場。あの後何か起きるとは思えないが……。


「教えてくれないならそれはそれでいいです。グリンゴッツ呼び出せば済む話ではあるので」

「あー……んー……それはそれで不味いというかなんというか」

「とりあえず場所変えた方がいいじゃないですか?外出ましょう外。街の外のが色々できるでしょうし」


そんなこんなで、二人に連れられる形で私はついたばかりのカフェを出た。

一応、戦争云々に関しては参加する意志はあるとハロウに伝えたため、遅かれ早かれ誰が相手になるか等といった連絡がチャットか何かで飛んでくることだろう。



少し移動し、街の外。

近くにある森の中、それもある程度戦闘行動をとっても大丈夫なくらいに広がっている場所へと連れてこられた。具体的には大体教室一室分くらいの広さだろうか。

狭くはなく、かといって広すぎない。その程度の広場だ。


最近……というか、少し前の私ならばここでPKされるのではないかと疑い、いつでも2人に攻撃……もしくは目くらましか何かを用意しようとしていたことだろう。

今では【霧海】を自然に行使し、油断なく周囲に敵がいるかどうかの索敵、いつでも【影槍】など攻撃魔術及び、それに組み合わせる補助系の魔術などをいつでも発動させられるよう準備を着々と進められている。

成長を実感できる場面だった。……相手が仲間でなければ、中々誇れたのだが。


「おいおい、待って待ってクロエちゃん!流石にそんな戦闘前みたいな準備はやめてくれよ!」

「はて?とりあえず話をしてくれるんですよね。私は別に深く聞くつもりはなかったんですけど、話してくれるのなら聞かせていただきますよ。えぇ。あとこの【霧海】とかは周囲の索敵用なので」

「そう……?まぁアレだね。本題からいこうか」


一息。まるで自分を落ち着かせるように息を飲んだ赤ずきんの目には、いつもの人を小馬鹿にしたような笑みと共に少しの覚悟が垣間見える。


「今、グリンゴッツ君はちょっとしたダンジョンに1人きりで潜っているんだよ」

「……は?」


その発言は、私の想像していなかったものであった。

……グリンゴッツが、1人で?ダンジョンに?いや、そもそもどこのダンジョンに?なんで止めなかった?いや、なんで1人で彼は潜ってるんだ?

疑問はまるで泡のように複数湧いては消えていく。


「いやね。止めたんだよ。流石に危ないからってね?特にクロエちゃんがデスぺナで帰ってこれない間にそんな無謀なことするもんじゃないって」

「……聞かなかったんですか」

「そういうこと。『少し鍛えてくる。少し自惚れていた』って言ってね。……あぁ、一応潜ってるダンジョンに関しては、私が知っているダンジョンだし、1人きりとは言ったけど、後ろから気づかれないように灰被りちゃんに尾行してもらってるから、万が一ってのはないから安心してほしい。そこは流石に考えてるよ」


灰被りが先ほどの場に居なかった本当の理由がわかった。

クリスの方を見るも、彼女も彼女で呆れ顔で首を横に振る。恐らく彼女は止めた側なのだろう。


「……あぁ、一応言っておくとだね。君にはどこのダンジョンに潜っているかは教えないでほしいとお願いされてるんだ」

「なぜ?」

「恐らくは、見栄じゃないかな。虚栄って奴さ。NPCにしてはかなり出来た頭をしているけども、そういったこともあるんだろうね」


見栄、虚栄。そういったものが本当に存在するかは置いておくにしても、恐らく赤ずきんは嘘は言っていないのだろう。彼女の横に立っているクリスが彼女の発言に対して何も反応を示していないのがその証拠だ。

でも、だからと言って彼は私の仲間とも呼べる存在だ。場所を教えられないとは言えど、あとどれくらいで帰還するかくらいは教えてもらえるんじゃないだろうか。


「グリンゴッツが、ダンジョンを踏破する予定日数はどれくらいなんですか?」

「えっと、そうだね。あと1日まるまるくらいかな。それ以上は流石に彼も身体にも負担がかかりすぎるってことで、無理やりにでも回収する予定さ」


……恐らく、そのために灰被りさんが尾行しているんだろうなぁ。

彼女ならば、グリンゴッツを無力化し帰還するくらいのこと、敵の強さにもよるがすぐにやってのけるだろう。

能力の高さ的にも、バリエーション的にも、彼女が最適だったということか。


「まぁ、いいでしょう。とりあえず彼が戻ってきたら色々聞くことにします。……ところで、ここに連れてきた理由は?この話だけなら、ここまで移動する必要はないですよね?」


そう聞くと、赤ずきんはニヤリと笑う。

クリスはといえば、苦笑いをしている……つまりは、あまり私にとっては良くないことが待ち構えているのだろう。逃げ出そうか迷う。


「うん、ちょっとね。……クロエちゃん、今魔術上手く使えないでしょう?」

「……そうですけど」

「うん、荒療治になるけど……少し、矯正しようか!」


満面の笑みを浮かべた赤ずきんは、私にそういい放った。


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