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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
184/242

Re:

大変遅れました。最近色々とありすぎて、中々しっかりと書く時間を取れてなかった……。

あ、そんな流れでアレなのですが、新作も始めてます。↓

「カニバル先輩と魔女後輩」(https://ncode.syosetu.com/n1027es/)

カニバリストと女装大学生がぐだぐだーっと喋るだけのお話です。もしよかったら。


殺伐魔術の方もよろしくお願いしますー!


私、というよりも私達がとった行動は、極端ではあるがこういった場合には有効だと考えられるものだった。


「これ、下から見れたら色々ラッキーだね」

「……そういうこと、今言う?」

「言う言う。リーダーとか割と人気あるから明日にはスクショ出回っちゃうかもねー」


カツン、カツンと足音が響くがこんな状況では気にしてもしょうがないだろう。

周りを見渡しても私達よりも高い位置に存在するものは雲しかないのだから。

たまに鳥のような影も見えるが、映像だけなのかいつの間にか消えてしまう。

……ある意味これも、ゲーム内だからこそ出来る体験よね。


現在、私達は先ほどいた砂浜ではなく地上から100メートルほど上の空中に|立っている

《・・・・・》。

風魔術の応用によって、足元に風の足場を展開しその上を歩くようにして移動している。

この方法は元々の魔術の行使とは明確に用途が違うからなのか、消費魔力が非常に多い。

初心者が使うような魔術を使っているにも関わらず、その消費量は数倍にも膨れ上がっているのだ。


空中を移動するならば、魔術師らしく……といったらアレだが、箒などのアイテムを使えば空中浮遊は出来るのだ。魔力も消費するものの、私達が行っているこの方法よりはずっと少ない量でしかない。

そういった物もあるということで、一時期ある種のネタ……お遊びとして話題にはなったが切り捨てられた方法であった。


「まぁ、だからこそ皆この方法が思いつかないというか、この方法で攻められると弱いのよね」

「箒で飛ぶって言っても、せいぜい高度50メートルが限界ですしね。その点魔力は消費しますがこちらの方が自由に高度を設定できるからこそ奇襲性も高いと……」

「そゆことー」


そう言いながら、私達は相手の拠点……その直上へとたどり着く。

意外にあっさりここまで来れてしまい拍子抜けしたが、私達の足元では報告にあった迎撃用らしき固有魔術が発動しているのが分かる。

しかし近くにいる敵であるはずの私達を攻撃してこないのは……恐らくは自動索敵能力は持っていないのだろう。

行使者の認識範囲内に入らない限り、こちらが攻撃されることはないのではないだろうか。


といっても、感知系の魔術などを使われてしまえばすぐに居場所が露見してしまう位置でもある。

そこまで時間的な猶予はなかった。

だから、だ。


「じゃ、ここからはよろしくね。リセットボタンさん」

「了解です。……ちなみに投入戦力はどれくらいまでとかの制限ってあります?」

「全力で」

「……はーい」


心底嫌そうな声を出しながらも、リセットボタンは足場としている初級の風系魔術の行使をやめ、そのまま下へとおちていく。

ビックサンも私を一瞥した後、彼女を援護するためにそのまま降下していった。

イレギュラーさえ起きなければ彼女ら二人でこの砦自体は攻め落とせるだろう。


油断しない限りは問題ない。

そう判断を下せる程度には彼女ら二人は強いのだ。

だから私が援護を行う必要はない。上から戦場を観察して、二人が危なくなった所で颯爽と現れるヒーロー役でいいのだろう。




クロエ視点


『……と、ここまでの話にはついてこれてるかしら?クロエちゃん』

「えぇ、まぁ」


現在、私とハロウさんはリアルで通話しながら、通話ツールの画面共有機能を使って動画を見ていた。

というのも、私がそれぞれの国の戦争の現状を調べだした辺りでどこかから私の通話ツールのアカウントを発見してきた赤ずきんから連絡が来たのだ。

その本人は今風呂に行っていていないのだが。


「そこまではスレッドにあるんですよね。上空からドミネ軍の主戦力が降りてきた~って感じで」

『えぇ、それであってるわね。まぁ結果から言えば、そのまま二人が蹂躙して終わったのよ海岸戦は』

「海岸戦は?」

『えぇ、海岸戦は。その後にちょっとした会議があって今に至るというわけね』


会議。この場合、自国軍との会議ともとれるが……恐らくは違うのだろう。

自国軍の主戦力級のプレイヤーと話すだけならば、チャットを使えば事足りる。それをわざわざ『会議』と言うくらいだ。恐らくは特別に用意された戦闘禁止エリアか何かで相手側……ファルシ側のプレイヤーと何かしらの話でもしたのだろう。

事実、ハロウは私が予想していた内容をある程度なぞって話してくれる。


『ファルシ側のプレイヤー……といってもガビーロールくんや元々交流のあったプレイヤーとの会議だったからオフ会みたいなものだったのだけど。そこでちょっと魔術師らしく戦争の勝敗を決めないかっていう話になってね?』

「……ほう?」

『1対1、もしくは2対2での決闘を5ラウンド。これで勝ち星の多い方が戦争の勝者になるっていうのはどうかっていう案が出たのよ』

「……Oh」


戦争の勝敗を決闘で決める。それ自体は良いことだろう。

この世界に決闘システムといったものはコロッセウムくらいしか見たことがないが、恐らくはデスペナルティを喰らうレベルでの死闘を繰り広げるのだろう。

戦争の勝敗を決めるのだ。代表にそれくらいのペナルティがないと、他のプレイヤーに示しがつかない。……しかし、他にも何かしらの条件、あるいは制限があるような気がする。


「ちなみに、こちら側で出るプレイヤーは決まっているんです?」

『えぇ、1人以外は決まっているのよ。1人以外』

「……へぇ、ちなみにその1人ってなんで決まってないんです?」

『単純に返事を貰えていないというのが1つ。それに加えて彼女が今現在デスペナルティ中だからというのもある。つまりはこちらからアクションをとることが出来ないというわけだよ、クロエちゃん』

「あ、赤ずきんさんおかえりなさい」


と、ここで赤ずきんが帰ってきた。

所要時間にして5分ほどだろうか。烏の行水といっても過言ではないだろう。


『ただいま。いやぁ、急いで入ってきたけどなんとか話の本題には間に合ったようだね』

「あは、正直間に合ってほしくなかったんですが」

『そうかい?どうせ君断らないだろう?』

『ちょっと、赤ずきん。そんな風に言わないで。事情も話してないのに断らないだのなんだの決められるわけないじゃない』


私は何もない空中に視線を移動させる。

確かに頼み事をされたら断れないし、断って人間関係がギクシャクするのも嫌だなぁとどこか感じている自分がいるのだ。……まぁ、これは私だけじゃなく最近の若い人全体に言えることらしいのだが。

赤ずきんとハロウの痴話喧嘩のような会話を聞く限りでも、わかりやすい。恐らく本題とやらはそういった類の物なんだろう。


「あの、先に質問良いですか?」

『なんだいクロエちゃん。言ってみなよ、ここにはかわいい女の子の質問にはべらべら答えちゃうようなお姉さんしかいないんだぜ?』

「はは、どの口が言いますか。……まず思ったんですけど、なんで私なんですか?他にも候補がいるでしょう?」


何よりもまず先にこの疑問の答えを聞いておきたい。

私よりも優れたプレイヤーはいるというのに、なぜ彼女らはわざわざ私に頼もうとしているのか。

自分で言うのはあれだが、私はそこまで特徴的なプレイヤーではない……と思っている。


これまでの戦いでも、相手がこちらを嘗めていたりだとか偶々相性勝ちしたものが多い。

事実今回の戦争ではそれが通用せず死んだわけだし。

だからこそ問いたい。何故自分なのかと。何故他の適正のあるプレイヤーではなく私という中途半端なプレイヤーを選んだのかを。


『選んだ理由?簡単さ』

「簡単?」

『あぁ、シンプルすぎる理由だよ。指名されたんだよ君は。それも相手の二つ名ありからね』

「あー……」


思い当たる節がない、といえば嘘になるだろう。

というか1人確実に指名してきそうなプレイヤーがいる。


『そんなわけだから、さ。出ようぜクロエちゃん決闘』

『……もう。ごめんなさいねクロエさん。本当だったらもうちょっと分かりやすく説明したかったのだけど……そういうことなのよ』

「いえ、さっき話をちらっと聞いた時に予想出来てたことなんで……とりあえず詳しい話は私がデスぺナ明けたらで良いですか?その指名って奴もちゃんと守らないといけないわけじゃないんでしょう?」

『あぁ、そうだね。恐らく本人も通ったらいいな程度で言ってるとは思う。……じゃあとりあえず続きはゲーム内で、で良いかいハロウ?』


赤ずきんが話を振ると、ハロウは深いため息をついた後に若干先ほどよりも疲れた声で返事をした。

その後適当に戦争中の知り合いの話を聞いたりした後に通話を終了し、ベッドに倒れこむ。

毎度毎度、1プレイヤーには重たすぎる案件を持ってこられるものだ。私はそこまで偉いわけでも強いわけでもないのに。


「ふふっ……はぁーあ、体訛らないように他のVRゲームして動かさなきゃなぁ」


でも、最近それが楽しくなってきた自分がいた。

ちなみに、評価をしてくれるとそれを参考にして文章に手を加えたりだとかの修正が行いやすいので、もし良かったらしてくれると嬉しいです。

ちなみに評価は、この後書きの↓のほうにあります。スクロールしてみてくださいまし。

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[一言] >現在、私達は先ほどいた砂浜ではなく地上から100メートルほど上の空中に|立っている 《・・・・・》。 間に改行挟まってるのでルビになってないです
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