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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
182/242

呪いの渦にて

遅れました。

やっぱり環境変わると少し書く時間を確保しにくいですね。


もし良かったら、感想、評価、ご指摘などよろしくお願いします。


『チッ、面倒だ。カラマ!あんたはもう離脱しろ。あんなもん喰らいたくねぇだろ!』

「……いいのか?」

『任せろ、とは言わないが……まだお前が残ってた方がいいだろう。俺よりもお前のが汎用性が高いしな』


何やら会話をしているが、そんなこと関係なく私は【蠱毒】……固有魔術により強化され普段よりも一回り大きくなったソレを彼らに向かって行使する。

下にいるワニ人形の事はこちらに攻撃してくるまでは無視をして、もう目の前のプレイヤー二人を先に殺すことにした。

そちらの方が色々考えなくてもいいし、何より魔力を無駄に索敵に使うより攻撃に使った方が楽だろうだからだ。


しかし傭兵として国から派遣されるようなプレイヤーだ。

二人とも私の放った【蠱毒】をいなしながら、それぞれがそれぞれの目的に沿った動きをしていく。

カラマはこの場から去るように、チックTACはカラマを逃がすために私に向けて砲撃を。


「チッ」


ついつい出てしまった舌打ちと共に、結界魔術を適当に展開させその砲撃を防御しつつカラマの魔力を探る……が、既にカラマの姿はそこにはなく風のように消えてしまった。

……正直何をしに来たって感じだったけど、まぁこっちの使った魔術も魔術だしね。仕方ないか。


【コトリバコ】というのはそれだけ強力、というよりも面倒な魔術なのだ。

では何が面倒なのか?喰らうなら最悪死ぬだけではないのか?

いいや違うのだ。

【コトリバコ】という魔術は、喰らった後……死んだ後も作用する数少ない魔術の一つ。

効果としては簡単で、死後リスポーンした時に【呪い】という状態異常が解除不可の状態で付与されるのだ。

それも【コトリバコ】の性能次第で状態異常の維持時間が変わってくる。


今回発動した【コトリバコ】は私のストックを使い発動した『イッポウ』のため、性能自体は一番最低ではあるのだが……それでも【呪い】の維持時間は最低でもゲーム内時間で24時間は続く。


では【呪い】という状態異常はどういうものなのか?

基本的には【蠱毒】など呪術系の魔術によって付与されることの多いソレだが、効果としては普通にやっている分にはそこまで対処する必要はないほどのものだ。

効果としても、付与されてから解除されるまで様々な災厄が降りかかる、というものだ。


例えば、突然身体が火に包まれたり。

例えば、突然他人には見えない小さな蜘蛛が大量に這い寄ってきたり。

例えば、突然とてつもない飢餓感に襲われたり。


挙げたのは一部だが、そういったモノが状態異常継続中に次々に襲い掛かってくる。

普段そんなものがかかった場合、すぐに解除すれば問題ないのだが……【コトリバコ】で掛かる【呪い】はその解除ができない特別版。

だからこそ、面倒だといわれる。だからこそ、最悪だとも言われるのだ。


「面倒ね。……よし」


今も続く砲撃を【コトリバコ】によって防御する。

ある程度動きを制御することが出来るソレを私の前に持ってくれば結界魔術よりも確実な防御となる。

【コトリバコ】に触れた瞬間、チックTACの放つ大砲の弾達は塵となって消えていく。


MPポーションを取り出し、そのまま飲み干す。

生贄を捧げ発動する魔術ではあるが、魔力の継続消費量はかなり多い。

それもそれで、固有魔術よりかはまだ燃費がいいのだが。


指で指揮棒を振るように【コトリバコ】をチックTACの方へと向かわせる。

彼がどれだけ撃とうとも、触れた端から塵になる以上その行為に意味はない。

しかし彼はそれを無視しているのか、それとも【コトリバコ】の弱点を知っていたのかそのまま撃ち続け……そしてそのまま飲まれていった。

……ふぅ。ある意味相性勝ちしたようなものね。彼には悪いことしたかしら。

一つ、息を吐きつつ【コトリバコ】を消そうとした瞬間にそれはやってきた。


「ッ!【犬神】!」


骨となっている足を守るよう【犬神】を纏わりつかせ、その場から逃げるように走り出す。

本来ならば走り出した瞬間に崩れてもおかしくはない骨の足だが、【犬神】によって補助しているためすぐにどうにかなることはない。

しかし、そのまま継続して戦闘できる状態でもないのも確かだ。


私が元々居た位置にワニ人形が大口開けて砂中から飛び出してくる。

……オーナーであるチックTACが死んだのに動き続けてる……?

色々な考えが頭の中に駆け巡るが、なんにしてもこのワニ人形をどうにかしないといけないだろう。

奇襲をかけてきたワニ人形はガチンガチンと顎を開閉しながらも、こちらへじりじりと近づいてくる。


【コトリバコ】に巻き込み塵に変えてしまうのが一番楽な対処法なのだろうが……いかんせん【コトリバコ】の移動には時間がかかってしまう。

ゆっくりとした速度で近づいても、ワニ人形の速度に追いつけず無駄となるだろう。

一番はワニ人形の避けられない位置に【コトリバコ】を設置し、そこに誘導するといったものだが……しかしそれもそれで【コトリバコ】を新たに発動しなおした方が絶対的に早いし確実だろう。

ただ、それをするにも生贄と魔力が必要になってくる。


戦闘をする上でやってはいけないことは出し惜しみだと私は思っているが……それでもこの後カラマとの戦闘があるのもわかっているために、このワニ人形相手に高コストな魔術を使うのは避けたかった。

と、ここでだ。


『もしもーし!リーダー、大丈夫?!』

「ん、えぇ大丈夫よ。そっちも大丈夫かしら?」

『うん、遅くなったけどある程度終わらせたよ!そっちに飛べばいい?』

「来てくれるならいいけど……ただ、ちょっと近くに敵がいるから。それ対処するの手伝ってもらっていいかしら?」


【幻覚】によってこちらとはまた別の敵と戦っていたと思われるPTメンバーからの通話が入った。

彼女がいれば、ある程度は楽になるだろう。それに彼女と共に行動しているはずのもう一人のプレイヤーがいれば最悪私含めた三人だけでも砦攻めは出来るのだから。


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