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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
181/242

使ってしまおう

多分、これくらいの更新頻度まで落ちるかと思います。

申し訳ない。


もしよかったら感想、評価、ご指摘などよろしくお願いします。


言ってしまえば、この状況を覆すのは容易い。

今のように無駄に触媒を使わずに、骸骨の魔女と成り果て食らい尽くせばいいだけなのだから。

もちろん、それをすること自体は視野に入れている。

視野にいれてはいるが……実行するためのピースが足りないのだ。


具体的に言えば、骸骨の魔女へとなった後のデメリットへの対処法。

それをどうにかしない限りは、選択肢として用意はしていても選択する事はないだろう。


そもそも、骸骨の魔女へと成るためのデメリットは大きすぎる。

身体の半分がランダムに骸骨へと変化する、というのはどこが成ってもこの一対多の状況ではリスクが大きいのだ。


下半身が成れば、その場から動く事が難しくなる。

上半身が成れば、その後の活動自体が難しくなる。

それ以外の部分がなったとしても、相応のリスクを背負う事になるだろう。

だからこそ今回のPTメンバーの中には条件付きではあるが、強力な回復系の固有魔術を持つ者もスカウトしているのだ。

……でも、そのメンバーが助けに来てくれるかどうかも怪しいのよね。


覆せる必殺の一手がある。

しかしそれを選ぶにはリスクが大きすぎる。


「……まぁ、考えていても仕方ないか。使いましょう」


【蠱毒】により鎌鼬達を牽制しつつ、リスクを受け入れることを決めた。

自分でも対処できるよう一応はアイテムもある。元々私はソロ専のプレイヤーなのだ。

誰かと行動していないと対応できない札なんてあっても腐るだけ。それをどうにかソロでも使えるように対策するのは普通の事だ。

それでも結構な数のアイテムを消費するし、そのアイテム達も作るのに貴重なアイテムを使ったりとあまりコスパが良いとは言えないために普段は絶対に取らない方法なのだが。


「【さぁ、最後の宴を始めましょう】」

「おっと、マジかよ。本気ってわけか」


私はその言葉を唱えると共に、インベントリ内から再度新しい呪い瓶を取り出す。

……運が良いといいのだけど。一番は足がいいわ。

そんな私の考えが派生魔術の行使に影響したのかどうなのか。

下半身が骸骨へと変容していくのを感覚で感じる。


がしゃどくろが消え、チックTACからの砲撃から身を守る盾がなくなってしまったが問題はない。

派生魔術【バーバ・ヤーガ】によってブーストされる結界魔術ならば、少ないMPで最大限の効果を発揮してくれるだろう。

しかし、それはそれ。油断したら一気に殺される可能性がある敵の前で余裕綽々に行動など出来るわけもない。

出来るだけ冷静に、今まで通りに集中していかねばすぐに終わる。


「保険はあるのだけど、ねっ!」


固有魔術らしき何かを行使しようと魔力を高めているカラマに向かって呪い瓶を投げつける。

それに反応し、近くにいた鎌鼬たちが主人へ迫る明確な危険である呪い瓶を叩き落そうとするが、彼らが呪い瓶に触った瞬間にそれは起きる。


「なっ……」

「あら、そんな驚いてるだけでいいの?」


呪い瓶は鎌鼬らを吸い込むように黒い渦のようなものを発生させ、近くにいたものから順に取り込んでいく。

呪術【コトリバコ】。触媒とした呪いを渦のように発生させ、近くにいるものを吸い込み殺していく効果のある攻撃系の魔術だ。

元ネタは都市伝説やらなんやらと一時期有名になった女子供を対象にした呪いの箱……『子獲り箱』とも呼ばれるそれがなぜ渦のような形で発生するのかは分からないが、このWOAの【コトリバコ】には女性・子供のみ対象という制限はなく。

ただただ消費魔力と特殊な条件が一つだけ付くのみで行使出来てしまう、呪術カテゴリで取得できる魔術の中でも凶悪だと言われている魔術。


「これ……もしかして【コトリバコ】か!良いのか、お前!」

「あら、何のことかしら。それにまだそれは『イッポウ』程度の物だし、まだまだこちらとしては余裕があるのよ」


特殊な条件というのは簡単に言うならば、生贄だ。

行使時に生贄数を上限八まで決め、それを支払うだけこの魔術の効果が向上する。

ただし生贄として選択できるのは自分も含めたプレイヤーのみだ。

……といっても、私だけでも『サンポウ』までならいけるのだけど。


ただただ不意をつくだけならば、『イッポウ』で十分だ。

というか、そもそも『イッポウ』自体あまり使わない方がいいだろう、と言われるほどに強力な攻撃系魔術なのだ。


このWOAという世界には、固有魔術という魔術がある。

そのどれもが強力な効果を持ち、それでいて便利で千差万別な魔術(モノ)だ。

しかし、それに対抗出来るほどに強力な汎用魔術……普通に皆が条件さえ満たせば取得できる魔術も中にはある。

他のゲームでは所謂奥義などと呼ばれるものだが、ここではそんな呼び方はせず名前の通りに呼ぶ。

【コトリバコ】もその中の一つ。固有魔術に対抗できるほどに強力な汎用魔術だ。


もちろん相性もある。

【コトリバコ】は呪いを媒介にし、全てを吸い込む呪いの渦を発生させる魔術……ということになっているが、神の祝福といったような所謂『聖なるもの』にはめっぽう弱い。

禊術なんかを使えれば基本的に対処自体は出来るだろう。


しかし、対処が出来るからといって食らいたくない魔術もあるのだ。


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