視て焼いて
お久しぶりです。
ここ最近、突然物語が書けなくなってしまっていて、自分でもそんな状況になるのは初めてだったために戸惑いながら日々リハビリというか……再び書けるようになるために三題噺などをやりながら過ごしていました。
今日からまた徐々に前のペースを取り戻せるように頑張りながら、殺伐魔術を完結に持っていけるように頑張って、そして楽しんで書いていけたらなと思います。
待っていただいていた方、本当にありがとうございます。
状況を一旦整理しよう。
現在、私達ドミネ側のプレイヤーとガビーロールなどが所属する国家であるファルシ側プレイヤーでの戦争イベントが行われている。
身内である赤ずきんと灰被りはヴェールズからの傭兵として、ドミネ側の戦力として参加してくれているが、戦争イベント開始と共に別々のフィールドに飛ばされたのか分かれてしまった。
私はと言えば、海岸のようなフィールドへと周囲にいたPTメンバー、プレイヤーと共に飛ばされることとなった。
その先で待っていたのは、恐らくは迎撃系統にあたる協力な固有魔術を持つ魔術師や、チックTACなどの他の国家からの傭兵だった。
私、ハロウはといえば海岸に飛ばされたメンバーの中でリーダーという立場となっているが単独で迎撃系固有魔術を持つ相手側プレイヤーを殺すために相手の拠点へと向かって侵攻していたのだが、そこで傭兵たち二人に邪魔をされ今に至るというわけだ。
【蠱毒】を牽制として撃ちつつも、砂中に潜りこちらの様子を伺っているワニ人形を【魔力視】を使い探す。
生憎、私は座標攻撃が出来るような魔術を覚えているわけではないし、そもそれを覚えているPTメンバーには連絡しているが今だ救援は来ない。
恐らくはこの私というジョーカー対相手方の傭兵という舞台を邪魔されないようにするためにこの海岸にいる相手も頑張っているのだろう。
その証拠に、私にかかっている【幻覚】だ。
恐らくは固有魔術を使っているのだろうが、個別にそれぞれ【幻覚】をかけることが出来るならばPTメンバーを離れさせるなんて簡単だろう。
なにせ、見ている情報をある程度とはいえ弄ることができるのだ。
見ている風景を弄ることが出来るというのは、相手方の救援を分裂させ到着を遅らせるには十分すぎる結果を出すことが出来る。
何せ、それぞれの姿を見えないようにして違う風景を見せるだけで相手を混乱させることが可能なのだ。
「ハッハー!そんなもんかい『決闘王者』?」
「少しは静かにできないものかしら?掲示板ではある程度静かでしょう?」
カラマが飛ばしてくる符を自分から十分に離れた位置で燃やしながら、冷静に対処する。
符を使う魔術師というのは限られており、『天狗』か『神主』のどちらかとなる。
どちらにしても東洋系のクラスということで、少しばかり西洋系……例えば私の『高位呪魔女』とは魔術の行使の仕方が違ってくる。
東洋系……今挙げた『天狗』や『神主』、『巫女』や『キョンシー』といったアジア系由来のクラスがそれにあたる。
これらは魔術を行使するのに、『魔女』系統のように触媒のようなものが必要となる。
そう、例えば今カラマが攻撃に使っている符のようなもの。
あれらはそれぞれを術者と見立て、それらに魔力の経路を通すことによって効果を発揮するものだ。
基本的に符の色によって分けられ、赤なら火炎系の魔術、青なら水氷系の魔術という見た目でわかりやすいモノとなっており、対処もそれを見たうえで出来るという普段ではあまり使い道もないものだが、それは通常戦闘のみにおける話だ。
現在の戦闘は時間制限アリの高速戦闘だ。
そんな色を識別してる余裕なんてあるはずがない。
……全て符は燃やす。でも地雷もあるかもしれないから【魔力視】を切らさないように。
東洋系の魔術に使う符には、今挙げた弱点がありそれを補うサポートスキルもそれぞれ存在する。
それの中の一つが、【魔力時限】というものだ。
【魔力時限】をかけられたモノは破壊、破損などなんらかによって破損することにより、効果を発揮する魔道具と化す。
所謂、爆弾のように周りにダメージを与えるトラップとなるのだ。
それらが付与されているかを確かめるには、ただただ【魔力視】を使い魔力の質を見分けるだけとなる。
【魔力視】によって見分けるのにもかなりの習熟度がいる。
そもそも【魔力時限】というサポートスキルは【魔力視】によってパッと見判別がつかないようシステム側で魔力が偽装されている。
それを見分けられるようになるには、やはり場数を踏まねばそれは叶わない。
私はといえば、コロッセウムの決闘にて似たように【魔力時限】を使ってくるプレイヤーと何度か戦った事があったために拙いながらも見分ける事が出来る。
が、しかしだ。
そんな見分けるなどするよりも、正直な話目についた符を全て燃やしてしまえばどれが爆弾だろうがなんだろうが関係ないのだ。
「あんまりイラついても仕方ないぜ、『決闘王者』。ほら追加だ【鎌鼬】」
彼が符を再度取り出しこちらへと投げつけてくる……が、それは私よりも前方の地面へと突き刺さる。
一体何を、と思った直後それらの符がどこからともなく吹いた風を纏い、徐々に形どっていく。
「これは……イタチ?召喚魔術……とはまた違うようね」
「あぁ、違うさ!まぁ種は教えねえがな!!」
合計5体ほどの風で出来たイタチがこちらへと威嚇をする。
……さらに相手が増えてしまったわね、少し面倒。