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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
Tutorial 一歩目を踏み出そう。
18/242

作ったもの、その結果

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします

冒険者の街 サラ - PM


「おやぁ、くろえちゃんなーにやってんの?」

「あっ赤ずきんさん帰ってきたんですか」


【異次元錬成】に夢中になっていたら赤ずきん達が街から帰ってきていた。

私は説明しやすいように【チャック】を発動させながら話し始めた。


「あぁ、ちょっとだけ物作りをしていまして。これなんですけど」


【チャック】内からある短剣を取り出す。


「おや、クロエさんそれどうやって作ったんです?【変異】…じゃないですよね?」

「えぇ、固有魔術で変化させたものですね。この短剣は薬草の種と木製の短剣で作ったんですけど、レア度ユニークになったんですよね」


一応【鑑定】を発動させてもう一度確かめる。


-------------

樹薬種の短剣 レア:unique

 性質:Growing

 癒しの力を受け変化したソレは、相手にとって牙にも薬にも

 何者にもなる。

 使用中HPを徐々に回復する。

-------------


元々木材を簡易的にナイフの形に整えられていたソレは、現在では大きく形が異なる。

木で出来たハンティングナイフに、植物の蔦が絡みついているような見た目に変化しているのだ。


「おぉーっとこれは…クロエちゃん。これ本当に作ったのかい?固有魔術で?」

「そう言ってるじゃあないですか…」


赤ずきんが口調を戻し真顔で聞いてくる。

これは何かしら不味いことになったのだろうか。やはりレア度がunique…日本語で特有とかただ一つの、っていうのが悪いんだろうか。


「灰被りちゃん、これどう思う?」

「狙われますね確実に」

「そーうだよねー…まだ知られてないってのが救いかな?あーいや今私達に知られちゃったか……」


赤ずきん達が何やら話している。

こちらの手元にある短剣を見ながらの会話なので、確実に私に関係あるんだろうが詳しい話がよく分からない。

予想するに…この短剣が狙われる、って話だろうか。


「あっあっー…いいかいクロエちゃん。その固有魔術、絶対に他人に見られるところで使わないようにね?」

「んん?いや、それはまぁ…私の数少ない手の一つですしね」

「できればだけど、私達以外の【赤の十字軍】がいる時にも使わないでくれ。お姉さんからのお願いだ」


違った。【チャック】の方だった。

前の彼女らの話から考えるに、【チャック】を外…サバトメンバーがいる場所でも使ったら私の身が狙われるってことだろうか。

確かに【チャック】のアイテムボックス的能力は便利だし、【異次元錬成】に関しても便利だがそこまでのものなのだろうか


「こりゃあ分かってないね」

「こういうときVRって便利ですね……いいですかクロエさん。固有魔術の中には無制限にアイテムを持ち運べるようなものもあれば、何個も同時に【変異】と同様の効果をかけられるようなモノもあります。…が、それらを複数用いたとしてもレア度:uniqueなんて普通は作れないんですよ」

「そうなんです?」

「そうなんだよ。普通uniqueなんてレイドボスやイベントでの上位報酬くらいしか見たことないしね。……だからその魔術の効果を知った他プレイヤーが何をしてくるかが分からないし、国のNPCだって同様さ」


そいつは面倒だ。

今思えば一度アースラビットと戦った時に使ったが、アレはアレで少し危なかったのかもしれない。近くにPKプレイヤーが居なくて助かった、というところだろう。


「正直なことをいえば、この固有魔術ハズレの部類だと思ってたんですけど」

「当たりも当たり、大当たりさ。いや、PKから狙われやすいっていう点だけ見れば大外れなのかな?」

「はぁ…一応私が出来るだけ護衛に着くようにしますので、安心してくださいクロエさん」

「えっ、国に着いたら別行動しようかなって思ってたんですけど大丈夫ですか?」

「えっ」


元々、私はあまり複数人とのゲームプレイに慣れていないとのもあるが、WOAというゲームで味方とはいえ手の内を数多く晒すことになりそうな行動などはできるだけしたくはない。

そんな事を考えてはいるが、【チャック】を彼女らの目の前で発動している辺り、私がまだこのゲームに慣れていないのが分かるというものだ。


「本当にいいんですか…?」

「あー、出来れば身を守るための結界を張れるアイテムなんかを貰えると助かりますね」

「あぁ、いや、うん。クロエちゃんがソレでいいのなら幾らでも渡すけど…」


我ながらおかしいことを言っている自覚はある。

初心者が突然PKフィールドに降りたところで、すぐに殺されて終わりだ。

まぁ実際あまりサバトの拠点から出る気はないため、割と護衛の意味もないっていうのもあるのだが。


いや、サバトメンバーからの護衛、という面もあるのだろうか。

今の話を聞くとそれも必要になるときはあるんだろうし。


「一応、国に着いたら拠点からしばらく出るつもりはないんで、それに合わせてくれるのなら、それでもいいんですけども」

「ふむ。私はしばらくそれでも構いませんが、赤ずきんさんはどうします?」

「私かー…特にすることもないし、私も一緒に居ようかなぁ出来る限り」


こうして三人の引きこもりが誕生した。

いや私のせいで、他二人はとばっちりのようなものだが。


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