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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
176/242

話をしよう

もし良かったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします。


あるサバトのリーダーと隻腕の少女の対話



ところで話は変わるが、兵器を前にした人間にとれる選択肢について話していきたいと思う。

あぁ、待って待って。席を立たないで。ほら、お茶なんかを出してあげるから座って。

本筋の話に関係ないわけじゃあないし、君が聞いてくれないとこの話は成り立たないんだから頼むよ。


あぁ、じゃあ話していこうか。

といっても結構簡単な話でね?兵器を前にした人間にとれる選択肢なんて決まってるんだ。

降伏するか、否か。大きく分ければこの二つになる。

まぁ今回は本筋は戦争の話なのだから、降伏というのは存在しなかった選択肢さ。


では、否……降伏しなかった場合。兵器を前に立ち向かうと決めた場合。兵器を前にこんなものと鼻で笑った場合の話だ。

この場合、君ならどんな行動がとれるかな?

……あぁ、そういえば君は真正面からは戦わないんだったね。基本的には相手の死角に飛んでの奇襲メインの相手にこの質問は出題者側が悪かったとしか言いようがない。


まぁ簡単なんだよ、兵器を前にして降伏しない選択肢を選ぶってのはね。あの世界の、World of Abyssで遊んでいるプレイヤーに関しては。

だってそうだろう?私達含め、彼ら自身の身体があの世界では兵器のようなものなんだ。

兵器対非力な人間の図ではなく、兵器対兵器の真っ当な図が出来上がってしまうのさ。


あぁ、気づいたかな?

そうだよ、ここでいう兵器っていうのはWorld of Abyssのプレイヤーを指しているんだ。

これらの兵器には各兵器毎に特注の付属品が付けられている。しかも相手を殺すことでその種類を増やしていく悪食のような兵器さ。

それに対してどうやって対策をとるか?答えは簡単、同じ兵器をぶつけるのみ……っと。そうだね。それがどう今のこの戦闘の話に関係するのか、だよね。すまない、どうも話し始めると余計なことを話し始めてしまうみたいなんだ。


と、そうだね。

元の話はどういう選択肢をとることができるか、っていうものだ。

兵器を前にして降伏しないという選択肢を選んだあとは簡単だ。どうやってその兵器を壊してやるか。無力化するか。これに尽きる。

その方法は様々なんだが……そうだね。

今回見る限りだと、あの『兵器』を無力化するのは難しいだろう。破壊するしかない。


おや?なんだいその顔は。幾ら彼女でもあれを破壊するのは骨が折れるんじゃあないかって?

……ふふっ。答えは既に知っているというのに、君はやっぱり面白いねぇ。

まぁ、簡単ではないよ。彼女でもあの『兵器』を破壊しきるというのは。

でもそれは彼女が今ここまでの話の中で出した力までしか出さない場合さ。


あぁ、急かさないでおくれ。話を続けよう。



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ハロウ視点


……なにか固有魔術を使ってるとは思ったけど、まさかこんな隠し玉とはね。

私の目の前には空に浮く半透明の海賊船が突如無数に出現し、その砲門をこちらへとギチギチと定めていっていた。

チックTACと会敵した時と同じ、もしくはそれ以上の砲撃が来る予感に結界の準備をしつつ、がしゃどくろをその海賊船へと近づけていく。


基本的に私が相手にしてきたのは人間サイズの相手ばかりだ。

コロッセウムで戦う相手というのは、闘牛のようなモンスター相手のエンターテインメント以外ではプレイヤーばかり。

固有魔術で異形へと変化しない限りは人の範疇でしかない。

確かに異形へと変化する例も少なくはないのだ。巨大な西洋竜へと変化したプレイヤーもいれば、液体と化し物理攻撃が一切効かなくなったプレイヤーもいた。


しかし流石に無数の海賊船へと変化するプレイヤーは見たことがない。

というか、無機物に変化する固有魔術の存在など聞いたこともなかったのだ。

……恐らくは変化系固有魔術、それも群体系……?いや、でも、群体系ならもっと分かりやすく同じ形状の船があってもいいはず。どういうこと?


頭の中に疑問が駆け巡るが、それについて深く考えている時間はない。

私の派生魔術のように三人に分かれているわけでもない。数は……約三十。

ならば深いことは考えずそれら全てを破壊すればいいじゃないか。


「うん、それが一番手っ取り早いわね。……じゃあ必要なのは」


僅かな魔力の流れを感じ、咄嗟に目の前に全力で結界を張る。

直後爆発音が無数に聞こえ、そのまま結界へと衝撃を伝えてくる。

一撃一撃が必殺の砲撃が始まったのだ。

軽く舌打ちしつつ、そのまま【蠱毒】を海賊船の中でも小ぶりな一隻へと向かって放ってみる。

すると、船に触れるか触れないかというところでまるで何かに撃ち抜かれたかのように【蠱毒】が揺らぎ、そのまま消えてしまった。

……自動迎撃、ってところかしら。まだ詳しいものはわかってないけど、おそらくはそういった類のものと考えていいはず。


あぁ、なんて面倒な相手だと天を仰ぎ、私は頬を緩めた。


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