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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
175/242

海へ

もし良かったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします。


短いです。


話は変わるが、ヴァーチャルリアリティの世界でのアバター操作上の違和感などについての話をしたいと思う。

例えば、クロエ。

彼女は左腕を失い、現在は縫ぐるみの腕というなんともファンシーな状態となっているが、感覚としてはファンシーとは言い難い。


ゲーム設定で痛覚設定がデフォルトで切れているからいいものの、オンになっていた場合彼女が腕を失ったときの状況はかなり危ういものだ。

例えるならば、左腕全体を先の尖っていない針で刺され続けているようなもの。

そして現在はといえば、腕がある感覚があるというのに【魔力装】によって疑似神経を通さねば一切動かせないという状態。

ゲームの中とはいえ、不自由だろう。


他にも、ハロウが【バーバ・ヤーガ】にて下半身を骨へと変化させた時。

あの時なんかは動かせないというわけではなく、やろうと思えば動かせるのだ。

その直後に崩れてしまう、という結果を考えなければの話ではあるのだが。

そしてあぁいった骨と化したり、灰被りのように灰へと変化していくときに感じるのは、寒気だ。

変化していく部位に言いようのない寒気をアバター越しに感じることとなる。

それが嫌で、自らの固有魔術にそういった『自らの身体が変化する』という効果のものがあったとしても絶対に使わないというプレイヤーも多い。


例外としては、リックの【魔臭捜犬】のように身体を変化させるものの、寒気などの悪い感覚は感じないというものもしっかりと存在しているため、本当に固有魔術によるのだが。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



チックTAC視点


「……【我は宣言しよう、勝利すると】」


静かに、目を伏し身体から流れでた魔力を練り上げるようにかき集めていく。

イメージは大海原を。そこに浮かぶ自分の海賊船を。


「【眼前に見えるは大量の敵軍】【しかして此方は唯一つの海賊船のみ!】」


言葉を紡ぐ度に、少しずつ全身が独特の寒気に襲われ身震いしそうになる。

それを気力で抑えながら、言葉を続けイメージをし続ける。

ハロウ側から先ほどまで感じていた魔力が更に大きくなり始めたのを感じ、こちらの魔術行使に気付かれたと察するが、気にせずに行く。

どうせ、こちらに届きそうになる魔術などは【タイマー】が勝手に当たりにいってしまうのだから。


「【だからどうしたと言うのだ!】【此方が唯一つだから負けるというのか!!】【――ならばこうしよう】」


イメージの中の海賊船の周りに、無数の小型の船が出現する。

それらは自分の乗っている船によく似ており……まるでそのままサイズを縮小させたようなものだ。

よくよく見てみれば、船員達も自分たちとそっくりな顔つきをしている。


「【さぁ、数は互角に!力も互角に!】【再度、我は宣言する!】」


目を開ける。

すると、ハロウの居る結界が卵の殻のように割れ、中から巨大な髑髏……がしゃどくろが生れ出た。

肋骨の中にはハロウが一人入っており、こちらを睨むようにしてそのがしゃどくろを進軍させてくる。

……だが、これで発動する。一足遅かったな【決闘王者】。


「【無敵艦隊は沈まない(アルマダ)】!!」


直後、視界が一変する。

今までのFPS視点ではなく、TPS視点のように。

しかし視界の広さはTPSのそれではない。

視点の中心には先ほどまでイメージしていた海賊船が一隻。

しかしその周囲にはイメージしていない大小さまざまな28隻の船が出現する。


『さぁ、開戦だ野郎ども!我ら無敵艦隊は負けず!沈まず!その名に恥じず無敵である!!』


誰に、ではなく自分に向かって鼓舞するため声を張る。

そして曲の指揮をするかのように腕を動かし船を操作する。


【無敵艦隊は沈まない】。

自分のイメージした船を中心に、ある海戦がモチーフとなった28隻の船たちを召喚しそれらを自らの手で操作する【亡霊船団】の派生魔術だ。

すべての船が見えるよう、直上から見下ろしているような視点になり、アバターは消えてしまうのだが、船が一隻沈むたびに回復不可能なダメージを負う仕様となっている。


下手な動かし方をすれば直ぐにHPが切れ死んでしまう。

さらに、広い空間がなければ発動すらできない。

そんな派生魔術だが、破壊力は元となった【亡霊船団】の比ではない。


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