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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
Tutorial 一歩目を踏み出そう。
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冒険者の街、しかし引きこもり

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします

冒険者の街 サラ - PM


リアルの時間は12時過ぎ。リアルにて昼食をとってから今日一日はサラにいるということで、午後からは自由行動となった。

まぁ始まりの街と違って、この街はPK可能フィールドであるために、私はあまり宿から動くつもりはなかったが。


実際灰被りや赤ずきんに聞いたところ、PK可能な街を歩こうと思うならば防衛用の魔術の一つや二つはあるべきらしいし、事実彼女らは固有魔術などを使って結界を何重にも張っていた。

赤ずきんの弁では「いちおうこのへやにもけっかいをはっておいたよー」とのことだが、いまいち信用できないのは仕方ない。


「一人になったし、少しだけ錬成魔術の練習でも」

『まぁ私はいるんだがね』


あぁ、正確には一人ではなかった。

赤ずきんが、お姉さん口調で「そんなに心配ならジーニーを置いていくから、困ったら頼ると良いと思うよ」と言っていたのをすっかり忘れていた。


「いや忘れていないよ。うん。ところでジーニーってどういう存在なの?一応ここゲーム内だからAIとか?」

『そうだね、私はAIだ。赤ずきんの固有魔術によって煙という媒介に対して関係つけられたモノだね』


ジーニーは私が赤ずきんに渡した禁書をパラパラとめくりながらそう話す。

禁書耐性なんてなさそうだが、つらくはないのだろうか。


「ふーん…ところで禁書の方はどう?なんかわかった?」

『君は結構グイグイくるタイプなんだね、馬車の中ではそういう風には見えなかったから驚いたよ。禁書の方はある程度わかったね』

「どんな事がわかったの?」


禁書を一旦机に置き、ジーニーはこちらへ向き直り腕を組む。

何やら難しそうな顔をしているが、何なのだろうか。それほどその禍々しい中二病日記が可笑しいものだったのだろうか。


『なんというか、本当にこれ中二病日記でしかないね。なんでこれで魔術が使えてるのかが本当にわからない』

「それが分かってるから私も聞いたのに…」

『いや実に重要なことなんだよ。他の禁書で例を出すなら、タイトルにある魔術の事についての概要、禁書指定された理由となった魔術の概要など、魔術について書かれているはずなんだ。それがなぜこんなことに…』


ジーニーは少し肩を落としつつそう話す。

他の禁書を読んだことがないためにわからないのだが、他の禁書に関してはきちんと魔術に関しての記述がされているらしい。


「他の禁書も読んでみたいな、どれくらい違うんだろ」

『…あぁいうものは進んで読みに行くようなものではないよ?私が言うのもなんだがやめておいた方がいい』

「そう言うってことはある程度の数は読んだことがあるの?確か灰被りさんが言ってたけど、入手ルートが確立されてないんでしょ?」


灰被りと初めて出会った時にした会話を思い出す。

アレは今思いかえすと、我ながら悪い質問だった。相手が相手ならば追跡されて、森に出たところで殺されていたかもしれない。


『赤ずきんがどこからか持ってきては解析させられるからね。そのあと捨てているようだけども』

「ふーん……あとで聞いてみようかな、ありがとジーニー」


私が礼をいうと、彼は満足したのかまた禁書を読み進める。

それを横目で確認すると、私も自分の作業に移ることにする。



-----------------------



しばらく【武器創造】にて材木を短剣に変え続けるという、いわゆる習熟度稼ぎを行っていたのだが、若干作りすぎてしまったようで、私の目の前には両手で数えきれないほどの量の短剣が出来上がっていた。

途中から普通の短剣ではなく、投擲用…いわゆる投げナイフも作っていたために、これに関しては捨てるという選択肢は取りたくはない


「これ【チャック】の中に全部収納とかできないかな…やってみよう」


思考発動にて【チャック】を目の前に発動し、手間だが一つ一つ手作業で中に入れていく。

ほかのインパクトや目新しさから忘れてはいたが、そういえば【チャック】についてきちんと調べてはいなかった。

この機会に調べてしまうのも手かもしれない。


『固有魔術‐チャックの習熟度が500になりました。レベルが2へ上がり、チャックの派生魔術として【異次元錬成】を取得しました』


と、このタイミングで習熟度が貯まったようだ。

いつものように【鑑定】を発動し、詳細を確認する。


-------------

【固有魔術-チャック-異次元錬成】

 チャック内に入れたアイテム同士を錬成し、新たに別のアイテムとする。

 また、複数種類の錬成を同時進行できる。

 同時進行数は習熟度により変化する。

同時錬成可能数:3

-------------


中々便利なんじゃないだろうか。

固有魔術はプレイヤーの数だけ種類があるために、習熟度によって得られる特典は他の魔術のソレとは大きく異なる。

他の魔術…例えば錬成魔術なんかの【範囲変異】。アレは元々使っていた【変異】とはまた別の魔術となる。大元は同じだが、方向性が違うモノといった方が正しいだろうか。


だが、固有魔術はそうではない。

習熟度により得られる特典は、すべて元となった固有魔術に付属する形で効果が発揮される。

ゲーム的に言うのであれば他の魔術の習熟度特典はアビリティスキルが貰えて、固有魔術の習熟度特典はパッシヴスキルが貰える……という違いだ。

そのため、今回出現したログに関してもきちんと『派生魔術』という記述がされている。


ただ、今回【チャック】が獲得した派生魔術である【異次元錬成】は任意発動型のものらしい。

【チャック】内に存在するアイテムを最低2つ選択後、別アイテムへ錬成する…いわゆる合成みたいなものだろうか。

試してみる価値はありそうだ。


(赤ずきんさん達が宿に帰ってくるまでの間、色々試してみようかな)


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