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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
165/242

これは時間稼ぎの戦いだ

もし良かったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします。


「チッ出てきやがったか!」

「オラァ!【火炎-フレイムバレッド】!」


影から出てきた私を狙い、学生服の男は地面から槍を、カウボーイ風の男は名前の通りに炎の銃弾を指から撃ち出しこちらに当てようとしてくる。

しかし、出てきた瞬間に狙われるのはわかっていたことである。

槍の方には【逸話のある物語】で宝箱を召喚し盾代わりに。

銃弾の方は軌道上に【チャック】を開いた状態で設置することで対処し、転がりながら敵から離れつつ状況を確認する。


……やっぱり、まだ誰も帰ってきてはいないと。というかここに来てからどれくらい経っている……?

現状のグリンゴッツには時間を確認する術はなく、知識の中にある太陽の位置で大よその時間を図ろうにもここに来たときとあまり位置が変わっていないように思える。

下手すると、時間の経過自体はあるものの昼から夜といったように太陽の移動がない設定になっている可能性がある。


「おいおい、ホントに固有持ちかよ。おっさんの寝言じゃなかったわけだ」

「なっ、お前……」

「まぁまぁ。防御型2種類の固有か?あれ。ちょっとばかし面倒だな」


学生服は少しだけ笑いながら、どこかから取り出した両刃剣をこちらに向けて構える。

カウボーイも会話をしつつも指をそのままこちらに向けているため、魔術の発動準備はできているのだろう。

撃ってこないのは何かしらの余裕だろうか。


「あぁ、そうだ。言わなきゃいけないことがあるんだがー……」

『……』

「おっさんの固有に捉えられてない敵軍を見つけたら、まず降伏するか否かを聞いてこいってのを言われてるんだわ。……どうだ?お前、降伏する気は?」

『……ハッ』


鼻で笑う。

降伏だと?ふざけるんじゃあない。

正直な話、ご主人ならば助かるなら降伏しそうな勢いがあるがそのご主人がここにいない以上、私の意見を通させてもらう。

私の反応を見た学生服は一瞬呆気にとられたように呆けた顔をすると、すぐに獰猛な笑みを浮かべた。


「オーケーオーケー!じゃあ死んでくれ」

「【火炎-フレイムバレッド】!」


そういいながら学生服がこちらを斬りつけようと突っ込んでくる。

それに合わせてか、カウボーイが銃弾を撃ってくるがこちらはまぁいいだろう。軌道が直線のため避けやすいし、そもそも学生服が私の目の前から来ている以上確実に当たらない牽制だ。

その分私の移動範囲が狭まるという効果もあるのだが。


私はそのまま【魔力装】によって刃渡りを長くした護身石の短剣で学生服の剣を受ける。

そして自前の深影魔術によって、自らの影から【影槍】を発動。学生服の股下から脳天に向かって突き出すように射出させた。


「くっ」


学生服は短く声を漏らしながらも、魔力反応によって気づいたのかすぐに後ろへと飛ぶことによってそれを回避する。しかしそれこそが狙い。

【影槍】を3本追加で自分の影から射出しつつ、自分の背中側に【チャック】を配置する。

私が陰になって向こうからは【チャック】を見えないようにする工夫だ。

ご主人ならば【霧海】があるためそんな小細工をする必要もないのだが、現状私はその【霧海】が使えないためにこうするしかない。


学生服は3本の影槍を【変異】か何かによって創り出した土の壁で防ぎつつ、再度私を斬ろうと剣を構えなおす。

……なぜ、私が飛び出してきた時のように魔術で攻撃をしてこない?

防御のみに魔術を使い、攻撃には魔術を用いない。

時間にしては一瞬の攻防だが、それが少し気にかかる。


しかし、いくら疑問があるからといって考えるために手を緩めてはいけない。

少しだけ蚊帳の外にいたカウボーイから炎の銃弾だけでなく、氷や岩の銃弾が飛んでくるのを確認しつつ、余裕をもって【逸話のある物語】の宝箱を出現させて防いでいく。

複数の銃弾を喰らって宝箱は破壊されるが、それで問題はない。

攻撃用ではなく防御用と学生服のほうに認識させておいたほうが、後から隙をつきやすいからだ。


学生服は先ほどと同じように突っ込んでは来ないものの、何やら強化魔術を施しているようで、顔に禍々しい文様が浮かんできている。

強化魔術の中にそういった文様が出る種類の魔術はないはずなので、あれはおそらく固有魔術か何かだろう。

……しかし、あんな禍々しい文様が出るような固有。何かしらのデメリットがあるんじゃないだろうか。


少しだけ警戒しつつ、打てる手を打つしかないだろう。

【遠隔装作】によって5本ほど魔力の剣を作り、3本の【影槍】と共に射出する。

それと同時に樹薬種の短剣を取り出し、二刀流のようにして私も相手側へと突っ込んでいく。

護身石の短剣は【魔力装】によって刃渡りを長くはしているが、こちらはしていない。

用途が少し違うからだ。

カウボーイはその使ってくる魔術上、射線に立たなければ問題ないだろう。

問題は学生服。先ほどから見せている魔術が恐らくは【変異】と強化魔術系の固有のみ。

狙うならこちらからだ。


そうやって突っ込んだ私を見て、学生服は少しだけ笑った。


【逸話のある物語】によって出現させた宝箱でどうやって攻撃を防いでいるかといえば、攻撃をしてきた相手……今回でいえばカウボーイを対象に選択。そのまま発動するだけです。

そのままカウボーイに向かって進んでいくため、直線にしか進まない銃弾に当たりそのまま相殺されるという感じですね。


文章力が低くすいません。

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