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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
162/242

彼は

もしよかったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします。


どこに突っ込もうか迷ったんですが、ここに突っ込むことにしました。


さっきまで居たはずの草原フィールド。

その現状はといえば、白い何かによって視界が封じられたスクリーンショットとともに、掲示板内でその惨状が語られている。

書いているのは……ファルシ側のプレイヤーだろうか?


「……灰のような何か?」


曰く、身体以外の物が全て灰に代わっていくとのこと。

曰く、骸骨の兵隊が狼の耳としっぽをつけて軍団で襲い掛かってくるとのこと。

曰く、四角いキューブに囲まれたが大爆発するとのこと。


他にもドミネ側の魔術師が行ったと思われる

地形は大きく変化しており、平原とはいえない有様になっているようだった。

……これ、2人は想像つくけど他は誰だ?

まぁ私の知っている人間なんてそこまで多くはないため、考えたところで意味がないだろう。


「うん、一応はドミネ側が有利そうだね。私が居たところで仕方ないだろうし……しばらくは他のゲームでもしてデスペナルティ終わるの待つかな」


そういいながら、私はベッドに倒れこむ。

……あぁ、そういえば。グリンゴッツとは結局合流できなかったなぁ。彼、私が消えたらどうなるんだろ。ログアウトしたら私と一緒に消えてるっぽいけど。一緒に消えてるのかな。

気分転換しようにも、頭に過ぎってしまうのはここ最近ずっとこのゲームをやっていたからだろう。


「はぁ……やっぱ寝よう」


そして私はそのまま意識を手放した。



-----------------------



グリンゴッツ視点


『クソッご主人だけでなく皆までも捕らわれてしまった!』


ご主人と、その仲間たちが捕まってしまってから数舜。

私はすぐに地に伏せ自身を目立たぬようにしていた。

……魔力は送られてきている。ということはご主人は致命的な状況ではないということ。ならば……。


と、ここでだ。

ザッザッと足音が聞こえてきたため、すぐに力を抜く。

呼吸をしていないため、息を浅くする必要もない。


「ヒヒッ、これでこの辺にいた奴は収容かぁ?」

「あぁ。不意打ちしたとはいえ漏れがなかったのは助かったぜ。面倒な仕事が一つ減るからな」

「中にゃうちの【童話の人物(フェアリー)】や【水精巫女】。あとはあの帽子屋もいたんだっけかぁ?」


カウボーイのような姿をした男と、学生服を着た男が適当に歩いているようで、こちらには気付いてはいないようだった。

恐らく【魔力視】も使っていないのだろう。

使われていたら、魔力で動いている私なんてすぐに見つかっているだろうから。


「そうだな。まぁとりあえず戻るか。仕事はしたしな」

「ヒヒッ。まぁ一応【魔力視】でもして確認しとくかぁ?」

「いや、いいだろう。罠があった所でお前の固有で跳んで戻るんだ。それにここにあったところで本陣には関係ないだろう」

「それもそうかぁ。じゃあ先に跳ばすから受け身はしっかりしろよぉ?」


……このまま、何もせずに逃がしてもいいものか?

正直な話、相手は油断しきっている。

罠があったとしても自分たちには関係ないと思い、私のような使い魔がいる可能性を考えていない。

ならば。ならば片方だけでも狩った方がいいのではないか?


今飛び出すのは流石に無謀だろう。

先に跳ばすという言葉から、恐らく彼らがこちらの本陣まで一瞬で到達した固有魔術は1人ずつにしか効果を発揮しないタイプの固有魔術なのだろう。

……せめて、片方が跳んだ瞬間を狙ったほうがいいだろう。


出来るだけ最低限の動きで、音を出さないように彼らへと近づいていく。

スニークアクションを練習したりした覚えがないが、問題なくできているのは恐らくゴブリンアサシンの魔石を喰い、取り込んだためだろう。

経験値として取り込む、つまりはそのモンスターの経験を取り込むということ。

暗殺者(アサシン)の名を持つ同族の経験を取り込んだのだ。これくらいはできるだろう。


「じゃあ飛ばすぞぉ。【跳ぶ鳥跡を残す(ジャンプボード)】」


カウボーイ風の男が固有魔術を発動させ、学生服の男が跳んでいく。

……今だッ!


「じゃあ俺もこのまま――」

『――その命、もらい受ける』


背中側から2本の短剣を突き立てるようにして飛びかかる。

男は私の声でやっと存在に気付いたのか、慌ててその場から前に前転するようにして避けると、こちらへと指を向けながらこう言った。


「なっななな、なんだぁお前!さっきまでどこにもっ!」

『【遠隔装作】、【逸話のある物語(フェイクストーリー) - シンデレラ】』


無論、こちらには聞く気は全くない。

というか会話するような余裕は全くないのだ。


【遠隔装作】によって作られた7本の剣と、少し小さめの宝箱はそれぞれ男へと向かって飛んでいく。

このまま終わってくれればいいのだが、そんなわけにもいかないだろう。

私も走り、少し離れてしまった男との距離を再び詰めにかかる。


「くっくそがぁ!固有魔術ってことはプレイヤーかぁ!?何が漏れが無いだよぉ!」


そういいつつ、こちらへ指を向け火の弾を放ってきた。

私の見た目がぬいぐるみやマスコットのようだから、火が効くとでも思ったのだろう。

しかし、私を狙う前に回避したほうがいいだろう。


魔力の剣と宝箱が、カウボーイ風の男へと到達する。


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