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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
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嘘を語り真実を否定する

もし良かったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします。


クリス視点


「あぁ!もう!!成型(ビルド)!」


落下しつつ、私は起動文を叫ぶ。

すると私と地面の間に2メートル四方ほどの立方体の魔力の塊が現れる。

大体地面と立方体の間は2mほどあるかないかくらいだろう。


固有魔術【連鎖する(リンク)立方爆弾(キューブ)】。

リックと共に行動するようになる前に私が手に入れていた固有魔術。

効果は簡単。立方体の魔力で出来た爆弾を好きな場所に作ることが出来るというもの。


私はそのまま立方体の上に落下し、地面にて私が落ちてくるのを待っていたシステは若干悲しそうな顔をしていた。

……くぅ、あんまり固有魔術は使いたくないから使ってなかったのに。というかこっちは発動できるんだね、イチかバチかだったけど助かったかな?


「……ふむ、お嬢さん。それはどういうものなのかな?」

「え、バカなの?教えるとでも?」

「そうですよね……では」


システはレイピアを構えなおし、足に力を入れるように体勢を低くする。

私は新たに30センチ四方ほどの【連鎖する立方爆弾】を周囲に複数出現させ、彼の攻撃に備える。

……こっちのは消されない。ってことは、何かしらの条件があるってこと?魔力の塊を霧散させるってわけじゃあないみたいだし。


ダッ、と彼がこちらへと跳躍しこちらへと攻撃を仕掛けようとしてくるが、予想はしていたため、目視で避ける。


「起爆」

「っ!わた――」


そしてそのまま1つの立方爆弾を飛んできたシステへと近づかせ爆破させる。

ドゴォ!という爆音と共に目の前で爆発が起きるため、少しだけ私もダメージを食らうがそんなもの気にしていられない。


……ここで、やったか!とかいうとフラグになるんだろうけど、これは言いたくなるなぁ。

そんなことを思いつつ、足場にしていた立方爆弾から飛び降り距離をとる。

今のだけで殺せているのならば、こんな戦争に参加なんてしていないだろう。


「ふぅー……酷いなぁ、危ない危ない」

「ほーら、やっぱり」


タンッと私が先ほどまで足場にしていた立方爆弾の上にシステが着地する。

その瞬間に爆破させるが、これも恐らく意味がないのだろう。


「固有魔術、とみたほうがよさそうだけど……ダメージがないってのが少し気味が悪いな」

「これも辛いんですよ?一々結構魔力使うんですから」

「そう?なら続けてたら魔力切れになって気絶してくれるのかしら」


そんなことを言いながら、私は更に小さい立方爆弾を出現させる。

同時出現数は5.それを周囲に漂わせながらシステの動きを見る。

空中からゆっくりと降りてくるその姿は優雅だが、至近距離で爆発を食らって傷1つなく風に乗って降りてくる姿は恐怖を感じる。


……思考発動って言っても、何かしらの単語や条件があるはず。例えば……なんだ?

システの立ち振る舞いを見る。

会話を思い出す。


「……そういえば、貴方嘘が嫌いなのかしら」

「えぇ、『嘘』は真実を隠してしまいますから。皆が皆、真実を話していればすれ違いなんてものも発生しないのだから」

「ふぅん、そう。嘘ねぇ……」


そういえば、先ほど私が弓矢を射った時も嘘がどうたら言っていたような気がする。

確か……『そんな魔力の矢なんて、そんな現実感のないもの『嘘っぱち』ですよね』だったか。

そして、私が攻撃する前にしていた詠唱。

真実という単語が含まれていた。


……彼が嘘と断定したものが消されている、と考えたほうがいいのかな?でもそれじゃあなんで立方爆弾を消さない?制限があるってこと?

私の考えが正しいのであれば、結界系の固有魔術じゃないだろうか。


ならばどうするべきか。

恐らく、『嘘』とされたものが消えているのであれば、既にこちらの『魔力の矢』と『鉄杭』が消えているのだろう。

だからこそ、先ほどから【頭上の林檎は撃ち抜かれる】を使おうとしても矢が霧散してしまうし、元々壁に突き刺して足場としていた鉄の杭が消えてしまった、そう考えるべきだろう。


ただ、それ以外の理由も考えておくことにしよう。

断定してしまうと、それ以外の考えが浮かばなくなり自分の視界が狭くなってしまう。

それは戦いの中では致命的だ。


「何やら、一つの答えにたどり着いたようですね?」

「どうかしらね。生徒が聞いたところで答えてはくれないんでしょう?センセ」

「えぇ、私はどちらかというと、背中で語るようなタイプらしいので。直接語りませんよ、頑張って自力で真実を探してください」


そう言いながらシステは強化されているのであろうその足で、こちらへと突っ込んでくる。

私は5つの立方爆弾を前方に移動させつつ、その弾丸のような突進を迎え撃つ。

まだまだ戦いは続く。


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