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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
148/242

戦場へ

もしよかったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします。


ハロウが転送されてきたと同時に運営メッセージが出現する。


『戦争フィールドへ転送を開始します。3分間お待ちください』

「おっと、一応みんなPT登録はしてあるけれど近くにいようか。適当に転送されても困るからね」

「了解です。……リックさんたちは起こします?」

「んー。一応こっちの会話は聞こえてるはずだから、大丈夫だとは思うよ。ねぇ?」


と赤ずきんが寝ているように見える二人に対して語りかける。

すると、だ。


〈大丈夫ですよー〉

〈問題ナシ!すいません、結構落ち着いてきました〉


とPTチャットにて返事が返ってきた。

……ふむ、やっぱり寝ていても周囲の状況が確認できるようにこちらの会話は聞こえているのか。

まぁ通りだろう。寝たり気絶したらプレイヤーの意識も落ちてしまうゲームなんて売り出されるはずもない。


「そろそろ開始だ。死なないようにね」

「えぇ。死んだら戦果的にもしょっぱいでしょうからね」

「はは、そういうことじゃあないんだけど……まぁそうだね、戦果も重要さ」


と、ここでチャット欄に新しい通知が届いた。

見ればチャット欄に新たに『軍チャット』というものが作られていた。




>>運営

 「 ここはドミネ軍専用チャットです。PTリーダーとして事前登録されたプレイヤーのみが発言できる特殊チャットとなっています。

  登録されていない他のドミネ軍PTメンバーは閲覧のみが可能となります。

  PTに属していないプレイヤーに関しては発言に制限を掛けさせていただいています。

  制限に関しては公式ヘルプをご確認ください。 」


>>ハロウ

 「 テステス。見えてるかしら。一応音声入力、思考入力にも対応してるからPTリーダーさんたちは戦場で逐一戦況をここに書き込むようにしてね。

  リーダーが死亡した場合は、副リーダーとして登録されてるメンバーが発言できるようになるから、そこは心配しなくていいからね。 」




「これは……戦況確認用のチャット?」

「そうだね。一応PTリーダーとして申請しに行った時に事前説明は受けてたんだけども。あぁ、一応副リーダーは灰被りちゃんを登録してあるから、私が死ぬようなことがあったら灰被りちゃんの指示に従って行動してね」

「〈〈了解〉〉」


と、ここで私たちの体に光のエフェクトが掛かり始める。

周りを見れば既に転送が始まっているようで、どこかに飛んでいくようにしてプレイヤー達が転送されていっている。

そして、私たちもすぐに戦争フィールドへと転送された。



-----------------------



戦争エリア・3 -平原-


私たちが転送されたのは一面平原のだだっ広いフィールドが広がるエリアだった。

クリスとリックは転送される際にデバフが強制解除されたのか、起きた状態で転送されてきていた。

周囲には私たちのパーティ以外にも大体20人ほどのプレイヤーが転送されてきているようだ。


「……ん、これは複数エリア制なのかな?」

「複数エリア制っていうと、あれですか。全員が全員同じ場所で戦うわけじゃなく、何組かに分かれて中規模戦争を行うってことですか?」

「多分そうだろうねぇ……いや、とりあえず話してる場合じゃあないね。戦闘準備だ」


赤ずきんが前方を見つつ、【童話語り】に使用する巨大な魔導書を出現させる。

私もそちらへと視線を向けるとある程度遠くの位置……恐らくはこのゲームに存在するどの魔術でも届かないであろう程の距離に相手プレイヤーの姿が確認できた。

……大体、1㎞くらい?いや、でもこれ少しだけ地面が歪んで見えてるし……。

もしかしたら敵影確認できるように、運営側が特殊な結界でも設置しているのかもしれない。


とりあえず私は【霧海】を展開し、影毒ノ牙を引き抜いておく。

ファルシ側の主要プレイヤーの情報はミーティングにて貰っているが、もしかしたら一般プレイヤーの中に、私のように距離を無視して飛んでこれるような近距離特化の人がいる可能性がないわけじゃないのだ。

周囲の状況を確認できるようにしておくことは悪いことじゃない。


「ヒヒッ。これくらいの距離ならやっぱり」

「跳んできた方が早いよなぁ!?【笑う(ライズ)世界は(・イン)置いて行こう(・ムンド)】!」

「っ!各員戦闘準――――」


赤ずきんが叫ぶように指示を出そうとしたのだが……その声は遮られた。

私の視界は白く染まり、【霧海】でも周囲がしっかりと感知することができない。

……いや、違う?感知できないんじゃなくて、周囲から魔力反応が常時してるからまともに感知できなくなっちゃってる?


周囲を見渡すと、そこは白い正方形の広い空間が広がっていた。

そしてその空間の丁度私の反対側には、1人の少女が立っている。

どこかで見たことのあるその少女は、私の顔を見ると喜んだように顔を歪ませ、黒い靄を纏いながらこう言った。


「久しぶり、お姉さん。……今度はしっかり挽肉になるまですり潰してやるから覚悟しろクソガキがァ!!」

「【童話の人物(フェアリー)】……グリムさん」


いつぞやの地下での戦いの続きが、今ここで開始される。


PTチャット内での会話は〈〉で表記しようと思います。

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