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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半

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その装備の詳細は?2

もしよかったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします


「……とまぁ。これでアルカの方の説明は終わりだ」

「ありがとう、ございました」


どうせ魔術スロットの試し打ちをするということで、そのまま試射場で話を進めることになった。

まぁこちらの方が広いし、何かがあったら対処しやすいため私としてもこっちの方がありがたい。


「で、次は……」

「あぁ。妖混狼呑(ようこんろうどん)だな」


名前すらも大きく変わってしまった軽鎧の方だ。

影狼の大皮を使い、深影魔術との親和性が増したそれは装着するだけで、装備者にケモ耳属性を付与するというトンデモ装備に変化していた。


M-51:アルカを外してみると、元の無衣屠蝕(むいとしょく)から変わってる点もある程度見られる。

例えば、影狼の大皮を使ったために所々……例えば鎧の留め具なんかに若干狼の皮が使われていたり。

他にも全体的な色合いが黒に近くなっている。

……改めて見直してみると、黒いコートに黒い鎧、それに顔半分とはいえ包帯巻いてるってかなり不審者に近いんじゃ。


もしかして、コロッセウムで試合を見たときに周りが少しざわついていたのは、あからあさまに不審者にしか見えない私のせいなんだろうか。


「だ、大丈夫か?」

「あぁ、はい……今更ながらに自分の姿を再認識しただけなので大丈夫です」

「そうか……?ゴホン。まぁとりあえず妖混狼呑に関していうことは少ないっちゃ少ない。基本性能で変わったのはほぼほぼアルカの時に説明した所だからな」

「あぁ、それなんですけど、1つ質問いいですか?」

「?なんだ?」


ちょっとだけ気になっていたことを聞くことにした。

というか、これは元々無衣屠蝕の時からの疑問で、聞く時間がなかっただけの疑問なのだが。


「えーっと無衣屠蝕の時からもそうなんですけど、この被ダメージ効果の【拘束】っていうのはどこから来てるんです?」

「あぁ、それか……」


そう、【拘束】についてだ。

他の【怠惰】に関しては、元々作る際に使ってもらった精霊鉱を【怠惰】によって変異させていた為、それが影響だとわかる。

だが、【拘束】についてはこちらとしては思い当たる節がないのだ。


「こっちとしてもなんとも言えねぇってのが本音なんだが……」

「どういうことです?」

「こういう武器防具を作る【鍛冶】ってぇのはな、まぁある程度まで習熟度を上げちまうと、あるパッシヴスキルを取得すんのさ」

「……あぁ、なんか読めてきました」


そうか?とグリルクロスは一笑いしつつ、こう続ける。


「それが【神腕】っていうもんでな。名前は神とか入ってるがなぁ単純なもんで。作った装備に一定の確率で追加効果が付くってもんなんだよ」

「あぁ、それで」


予想通りの答えだった。

よくある話だ。それもファンタジー系のゲームなんかだと特にだ。

鍛冶の道を突き進んでいたら、いつの間にか変な魔剣聖剣と呼ばれる類の武器や、聖鎧や呪いの防具と言われるものまで作り上げてしまう職人たち。

それをある程度まで再現したのが、グリルクロスの言うパッシヴスキルの【神腕】というものなんだろう。


しかし、【鍛冶】……鍛冶魔術とでもいえばいいのだろうか。

確か一番初めに説明を受けた気がするが、土精族はそれに特化していたはずだ。

……もしかして、特化してる魔術を極めれば似たようなパッシヴスキルが手に入るのかな?

可能性としてはなくはない。

但し確かめる術がないのだ。私の種族である人族(ヒューマン)は何かの魔術に特化しているわけではないのだから。


「で、【拘束】もそれによって付いちまったもんだ。ホントだったら前に渡すときに言っておくべきだったんだが……すまん、すっかり忘れとった」

「いや、大丈夫ですよ。あの時は私も急いでましたし、その後も話す時間もなかったですしね」

「そう言ってもらえるなら助かる。……でだ。次は魔術スロットの話をしていくか」


と、グリルクロスはそう言いながら2つの木人形を引っ張り出してくる。

確かこの妖混狼呑には2つの魔術が装填されていたはずだからだろう。


「まず1つ目は【影槍】……っていっても、拾ってきた素材からして詳細は知ってるだろう。だからどうやって起動するかだけ教えるぞ」

「了解です」

「設定したアクションは、『右手の中指と親指で指を1回鳴らす』だ。木人形の正面に立ってやってみな」


言われた通りに移動し、そこで中指と親指で指を鳴らしてみる。

すると、体の少し前の空中……大体胸より少し低い位置だろうか。

その辺りから突然に影の槍が出現し、前方へと飛んでいき木人形へと直撃した。


威力的には普通に使うより少しだけ弱くなっているようだが……鍔迫り合いなんかになった際や、意表を突くために……と色々な場面で使えるだろう。


「いいか?じゃあ次は【氷楼】のほうだ」

「そっちはちょっと知らないので詳細をお願いします……」

「あぁ、了解した。……といっても、俺も種族的に使えるわけじゃあねぇんだがな。簡単に言えば氷の檻を出現させる魔術だ。大きさは任意で変えられるようになってる。コツがいるがな。……っと、起動アクションは『対象を見つつ右足を1回踏み鳴らす』にした。左腕も左腕だからな」


グリルクロスのその言葉に頷きつつ、先ほど【影槍】を食らっていない木人形を見つつ右足でタン、と軽く音を鳴らしてみる。

すると、だ。

私の見ていた木人形を中心に、人ひとりが入りそうなくらいの大きさの氷の檻が出現し、木人形を閉じ込めた。

言うなれば……そう。展開した箱を元に戻すかのように出現したのだ。


「これは……割と使えそうですね……」

「はっはっは、そう言ってもらえて何よりだ」


グリルクロスは豪快に笑う。

やはり彼に装備を頼んで正解だった。


「あぁ、定期的に魔力を注ぎ込んでやらないと、燃料切れになって動かなくなっちまうからそこは注意だ。一応オプションから魔力残量が表示できる設定があったはずだから、それをやっておくといい」

「了解です。ありがとうございました」

「いやいや、こちらこそだ。もしよかったらこれからも贔屓に頼むぜ」


そう言って彼は笑う。

最後に一礼し、グリンゴッツと共に工房を後にした。


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