その装備の詳細は?
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一応活動報告などにも投稿しているのですが、一番早く投稿状況を知りたい人はTwitterのアカウントがあるので、そちらをば。ゲームのスクショや空中リプなど多めですが。
Twitter→Bloody_Hameln
「まずはその狼耳の説明だが……」
「はい」
「とりあえず、影狼の大皮を素材に使った影響である、というのは分かってるよな?」
「それくらいは……というか、それくらいしか原因が思いつきませんし」
とりあえず、ということで再び椅子に座りグリルクロスに装備の説明を受けている。
といっても、まずはこの狼耳の説明からにはなるのだが。
「あぁ。下手に弄ろうとすると、逆に装備の方を内側から喰われちまう心配もあったからな。出来るだけ自然な形で組み込んではみたんだが……」
「蓋を開けてみたら、これが出てきたってことですね」
「そういうことだ……」
グリルクロスは疲れたように項垂れる。
まぁ仕方ないだろう。誰もこんな状態の装備が作りあがるとは思わない。
作成者がわからないことを私がわかるはずもないし。
狼耳はどうやら任意で動かすことができるらしく、それ自体に特殊な効果はないがちょっと特殊な感覚があり少しだけ楽しい。
拡張聴覚、といったわけでもないため今までと何も変わらないのだ。
「まぁあんまり変わらないのでこちらとしては問題ないです、次行きましょう次」
「おっおう、そうだな。次だが……そうだな、M-51:アルカのほうにするか」
グリルクロスが私の着けている軍用コートに目を向ける。
時折裾のほうが勝手に靡いているのは、恐らくだが気のせいではないのだろう。
「【鑑定】してみたら装備時の効果とかが少し変わってましたね」
「あぁ、嬢ちゃんが持ってきた素材を混ぜた影響で、元々あった効果は少し薄れた形になってる。それに加えて素材の特徴が出た感じだな」
素材の特徴……。
そういえば、M-51:アルカのほうに使ってもらったのは【箱造り】の討伐報酬である変異したローブだったか。
【箱造り】の魔力のおかげか、その所為か、モンスターでも生き物でもないのに時折動くようになってしまったローブを素材として使ったために、今ではM-51:アルカも時折少しだけ動くようになったりしている。
恐らくだが、M-51:アルカの被ダメージ時効果に関してもその影響が出ているんじゃないだろうか。
……影狼とは違って、色んな所に影響与えてきてるなぁ。
これからはダンジョン攻略も増えるだろうし、少しだけボス討伐報酬を軽率に武器や防具に使うのは止したほうがいいかもしれない。
ある意味で、これはボスたちの呪いの装備といってもいいかもしれない。
実害は出てはいないが、まぁまぁ戦闘中に影響する可能性があるのだから。
「魔術スロットに入れたのは岩石魔術の【粉石】って魔術だ。どれ、使って見せてやる」
「おぉー」
グリルクロスと共に工房裏にある試射場のような場所へと移動する。
試し打ちようの木人形などが置いてある場所で、意外に広い。
そして外ではあるが、【魔力視】をしてみると何やら結界が張られているのがわかる。
一応【霧海】を薄く展開し、グリルクロスが使うであろう魔術を細かく観察できる環境を作り出しておいた。
「……ん?あぁ、結界か。こりゃああれだ。自分の工房やら住居を作る際には必ず勝手についてくるもんで、運営曰くプライベート空間を作り出すための認識阻害結界だそうだ」
「あー、外から見られないように、ってことですかね」
「そういうこった。外から見ようとすると、結界の効果によって人がいることすら認識できなくなるらしい」
……地味に強力な結界だ。というか【霧海】の上位互換なんじゃ……。
まぁこちらは任意で範囲を広げられたり、拡張性が高いために一概に上位互換とは言いがたいのだが。
「よし、じゃあ始めるぞ。【岩石-粉石】」
グリルクロスが複数いる木人形のうち1体に対して魔術を使う。
すると……表面にうっすらと黄色い膜のようなものが張られたように見える。
「よし、少し離れてろよ、危ねぇぞ」
「それってどういう……」
キョトンとしている私を置いておいて、グリルクロスは岩石魔術で作り出した手のひら大の石を、【粉石】をかけた木人形へとぽーんと投げる。
すると、だ。
ドカン!と石が触れた瞬間に、木人形が爆発した。
「ちょ、えぇ!?」
「はっはっは!これが【粉石】の効果よ!簡単に言やぁ爆発反応装甲って所か!」
「いや、いやいや!あれじゃあ私死んじゃいますって!!」
「あぁ、その心配はない。大丈夫だ」
グリルクロスは顎で爆発した木人形のほうを指す。
徐々に煙が晴れていき、木人形が在った位置が見えるようになり。
そこには無傷の木人形が何事もなかったかのように立っていた。
「なんで!?」
「はっはっは、こういうとこを見るとまだ経験が浅いってのが分かるなぁ。【粉石】は危害を加えたものに対してのみ効果を示すタイプの魔術でな。爆発しても、使用者には爆風も熱も、ダメージも何もかも影響しない」
「……知ってた?グリンゴッツ」
『……一応、私はこのWOAという世界のAIだから』
グリンゴッツが気まずそうに視線を逸らす。
どうやら驚いたのは私だけだったらしい。
がっくりと肩を落としながら、グリルクロスへ続きを促したのだった。