表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・後半
141/242

受け取りに来た、はずが。

もしよかったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします。


2日間お休みをいただきました。

その間何やっていたかといえば……まぁ、家族と過ごしてゆっくりしていましたのです。

それはさておき。

この話から3章後半となります。少しだけ間が空いたので、3章前半の最後のほうを読み返しておくとすんなり入れるかもしれません。


「やっほーグリルクロスさん、出来てますー?」

「おうおう、元気だな嬢ちゃん。待っててくれ、今最後の仕上げしてるからよ」


翌日。

私は朝イチでログインし、グリルクロスがログインしているのを確認してから、彼の工房を訪れていた。

中に入ると、彼は何やらウィンドウを操作しながら設計図らしきものとにらめっこしていたため、少し煩くしてしまったかと反省しつつ、その辺に出されていた椅子に座り作業が終わるのを待つ。


グリンゴッツを頭に乗せた状態のままなので、彼を降ろしたほうがいいだろうかとか考えつつも、現在頭の上で寝ている彼を起こすのは忍びないな、と思ってしまう。

この前から頭に乗せて移動しているが、重みを感じないためこちらも苦じゃないのだ。


「っと、待たせたな」

「いえいえ、こっちが勝手に来ただけなので。……で、出来ました?」

「あぁ出来たぞ。とりあえず渡してから説明しよう」


トレード画面が出現し、今回渡していたローブと鎧がこちらへと返ってくる。

名前が変わっているようで、一応それぞれ元の名前の面影はあるが、今までのような装備ではないのだろうというのがわかる。


-------------

M-51:アルカ レア:unique

装備時効果:【怠惰Lv1】の付与、隠蔽状態時に発見されにくくなる

被ダメージ時効果:魔術スロットに装填されている魔術を用い、自動反撃

 大罪魔術により変容させられた布を主に使い作られた軍用パーカーが、さらに変化した姿。

 意志はなく、モンスターではないが、時折勝手に動くことがある。


魔術スロット:岩石魔術【粉石】(1)

-------------


-------------

妖混狼呑(ようこんろうどん) レア:unique

装備時効果:【怠惰Lv2】の付与、軽度の結界発生

被ダメージ効果:ダメージを与えた相手に【怠惰Lv1】、【拘束Lv1】の付与。

 大罪魔術により変容させられた精霊鉱を使い作られた軽鎧に、影狼の力を落とし込んだ代物。

 下手に力を使おうとすれば、鎧はその身を滅ぼすだろう。

 深影魔術、大罪魔術との親和性が高い。


魔術スロット:深影魔術【影槍】(1)、氷結魔術【氷楼】(2)

-------------


とりあえず両方とも装備してみる。

M-51:アルカは元々の軍用パーカーという外見は崩さずに、全体的に色合いが黒寄りになっている。

妖混狼呑のほうはといえば……。


「あの、グリルクロスさん」

「……俺は悪くない」

「……」


基本的には元の無衣屠蝕(むいとしょく)から変わらない。

所々に影狼の大皮を使ったらしき跡があるくらいだ。

しかし、1つ問題があった。


「なんで、装備したら、犬耳が付くんですか」

「おいおい、違うぞ。犬耳じゃなく狼耳だ」

「そんなのどっちだっていいんですよ……えぇ……?」


そう、鎧の一部という扱いで私の頭には狼耳のカチューシャが装着されていた。

しかも、無駄に高性能らしくぴくぴくと私の感情に合わせて動いているようだった。


『あー……ご主人?』

「グリンゴッツ、何も言わないで」

「俺は似合ってると、思うぞ……うん……」


気不味い雰囲気が流れる工房の中に、新しい声が聞こえてくる。


「あ、あはっ、あはは、クロエちゃんなにそれ!なにそれー!」

「えっちょっ」

「あーもう、赤ずきんさん、待ってください」


わっしゃわっしゃと撫でられる。

頭にいたグリンゴッツはいつの間にか降ろされているようで、声的に赤ずきんと灰被りがやってきたのだろう。

灰被りから教えてもらった場所だし、そも恐らくだが私を呼びに来たとか何かだろうし。


わっしゃわっしゃと撫でられ続けながら、もうなんでもいいかと半分されるがままになっていると、クリスとリックが工房の中へと入ってきたらしくそのまま狼耳を触られる。


「うわぁ、うわぁ、ふっさふさ!」

「お、おぉ……本物触ったことねぇけど、すげぇな……」

『ご、ご主人……?大丈夫か……?』

「あの、そろそろいいですかね……」


流石にそのままだと話も何も進まないため、一旦離れてもらう。

グリルクロスのほうを見てみれば申し訳なさそうに笑っていたため、一応大丈夫だから心配しなくていいと身振りだけで伝えておいた。


「で、赤ずきんさんたちはあれですか。私を呼びに来たとかですか?」

「あぁ、うん、そうだよ。ふふっ。そしたらこんなね。かわいいなぁもう」

「一応、今日は事前ミーティングの予定でしたので。全員が早めにインしてるなら、すぐに終わらせてまた自由行動にしてしまおうということだったんですけど……」

「それでこうなった、と……」


赤ずきんは再び私に対し手を伸ばし、わしゃわしゃと頭を撫でている。

そんなに気に入ったのだろうか?


「あーすいません、まだグリルクロスさんとの話終わってないんで、少しだけ外してもらえると嬉しいんですけど……」

「おや、そうだったのかい?ならそうだね、工房の前で待ってるから終わったら呼んでくれ」

「はい、そうしますね……」


そういって、赤ずきんたちは工房の外へと歩いていった。

少し乱れた装備を整えつつ、グリルクロスへと向き直る。


「で、釈明は?」

「申し訳ねぇ……」


話はまだ、時間がかかりそうだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ