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ある、台風の日に

もしよかったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします


「あはー……VRの世界でも日差しはあったかいって感じるんだねぇ、グリンゴッツ」

『すまない、私は外の世界を知らないから詳しくは言えないが……そうだな。あったかい』


私とグリンゴッツは、完全にオフということで宿の部屋にてぐだぐだしていた。

本当はどこかにでもいこうかなと思っていたのだが、最近忙しすぎるなとも思いインはしているが宿の部屋にいるのだ。


それなら現実でもいいのではないか?と思うだろうが、そうじゃあない。

何せ、現実では現在絶賛台風が来ていて外は大荒れ状態なのだ。


そんな状態で日差しも何もないが、やっぱり仮想でもいいから太陽が見たいと思ったのもある。

人間、太陽の光を浴びないとやはり卑屈になるもので。

若干私もいつも以上にネガティブというか、その方向に傾きかけていたってのもあるために。


「あはー……」

『いやな、大体その気持ちは理解できるんだがなご主人。だからと言ってだらけすぎではないだろうか』

「いいんだよう。一応ちょくちょく買ってきてた材木とか石材とかを【異次元錬成】で加工してるし」


【チャック】内の素材を錬成しているため一応ゲーム内に来ている理由もある。

最近使っていないだけで、結構ここら辺は使い道が多いために隙を見て加工しておく必要があるのだ。


材木は主に芯として。

石材は材木で作った芯を中心に槍を形成させる。


こうして出来上がった石の槍は、適当に戦闘で使い潰される。

回収できるものは後から回収しているが、その多くは砕かれたり私自身の魔術の余波で破壊されてしまったりしているために、消費量は割と多い。


そんなものを何故使っているのかと言われれば……。

幾つか理由はあるが、やはり一番の理由は手数を増やすためだろう。


「魔術があんまり効かない敵とかもいるし、こういうのは準備しておくだけでも違うんだよ」

『そういう、ものなのか……?』

「そういうものだよ。グリンゴッツは体験したことないだろうからアレだけどね」


館の支配者はそれに当てはまる相手だった。

今のように【影槍】や【魔力装】といった、魔力を使っての攻撃手段を当時メインにして戦っていなかったというのもあるが、それでもあの時は手数が多ければもっともっとスムーズに殺せていたとは思うのだ。


そのために、今後そういう場面が来たとき同じような状況にならないように。

事前にできる限りの準備はしておきたいな、と思っている。

それが役に立つかどうかは、まぁ私次第なところはあるのだが。


「それにだよ、グリンゴッツ。見えてないかもだけど、今固有魔術他にも使ってるんだからね?」

『ほう……?』

「【過ぎた薬は猛毒に】を口の中で発動させて、その状態異常を【逸話のある物語】の人魚姫で消すっていうのを延々と繰り返してるんだ」

『……方法はあれだが、習熟度上げもしていると』

「そゆこと」


流石に喋りながらではやれないが、口の中に弱い毒を出現させそれを飲み干す。

するといくら行使者だろうが、その毒には掛かってしまう。


それを利用し、【逸話のある物語】を使って毒を解除し両方の習熟度を上げる、という傍から見てもわからない方法で鍛錬はしているのだ。

まぁ意味があるか、と言われればまだわからないが。


【逸話のある物語】はともかくとして、そろそろ【過ぎた薬は猛毒に】の派生魔術が欲しいのだ。

あとから手に入れたはずの【魔力装】の派生魔術を既に手に入れている現状、割と使っていなかったことを後悔はしている。

……でも毒とかあんまり使わないんだよね。スタイル的にも【怒煙】使えばいいやって思うところあるし。


そう、現状ではあまり使う場面もないのが問題なのだ。

毒といえば様々なものがある。

だが、それら全てに共通することは、どう相手に摂取させるかという問題だ。


幾ら毒性が強かろうが、摂取されなければ意味がない。

幾らそれが世界を滅ぼすほどの力を秘めていようが、誰も使わなければそれを発揮できない道具のように。

さながら、セーフクラスのオブジェクトのようなものなのだ。


一番摂取させやすい形は何かと考えれば、まぁ無難にいけば気体状の毒だろうなとは思う。

しかしそれを使う場合、確実にパーティ単位での行動はできないのだ。

私やグリンゴッツはまだ【逸話のある物語】があるからいいものの、私たち以外のメンバーに関しては何も知らない状態で致命的な毒に掛かる可能性もあるのだ。


毒の扱いが難しいというのは現実も仮想空間もあまり変わらない。

だからこそなのだろう。

私の周りのプレイヤーでも、あまり毒を使っているプレイヤーも多くない。

というか1人だけだ。


「そういえば、リセットボタンさんってどこにいるんだろう。今」


窓から空を見上げつつ、呟く。

積極的に会いたいというわけではないが、知り合いなのだから一応その動向は気になるものなのだ。

こちらの空は、青い。


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