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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・前半
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戦闘後、街へ

もしよかったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします。


「皆おつかれさまー!ごめんね、意外と手間取った」

「お疲れさまでーす」


戦闘終了後、運営メッセージへの返事は一旦保留にしておきつつ、主に赤ずきんたちが休憩していた。

影の世界からは出ているものの、一応ダンジョン内ということでモンスターがいる可能性もあるため、私と灰被りの休憩していた組は周囲警戒を買って出た。

とはいっても、私の【霧海】を辺り一帯に広げておけば、近づいてくるものは基本的に感知できるため形だけなのだが。


しかし、今回は本当にあっさりと終わった。

前回の『妖光の館』のボスである【箱造り】と比べてしまうと何だが、あれと比べると言ってしまえば楽だった。


本格的なパーティ戦闘は初めてだったために、今回その恩恵が割とわかりやすかったのだろう。

まぁ、今回の戦争イベント以外ではパーティを組むということ自体しないだろうが。


「あ、そういえば討伐報酬は開けた?意外とあぁいうボスからの報酬って高く売れるからオークション用に確保しておくといいよ」

「あ、そうなんですか。……じゃあ開けますか」


手に入れた【ダンジョンマスターボックス】をインベントリ内から取り出し、開封する。

すると、中からは大きい黒い狼の皮が出現した。


-------------

影狼の大皮 レア:Rare

【群影狼】の皮。

影の魔力が凝縮されており、下手に魔術触媒にしようとすると逆に飲まれてしまう。

-------------


【箱造り】のときのように装備ではなく、素材のようだ。

恐らく深影魔術を使う場合、触媒としてかなり質の良い物なのだろう。

あとでグリルクロスのところに行くときに持っていって、使えるかどうかを聞いてみよう。


「おや、クロエちゃんは素材だったのかい?いろいろと使えるじゃないか」

「そうですねぇ、あとで装備更新しに行く予定なんで丁度いいかもです」

「ほーう……」


何やら赤ずきんが怪しい目で見てきているが、よくわからないためスルーする。

常人である私に、変人である赤ずきんの考えはわからないのだ。

……そういえば、魔石も結構貯まってるんだっけ。これも使えるのかな。


前回の『妖光の館』でのモンスター殲滅と、今回の『静謐な村』の攻略で魔石が結構な量貯まっているのだ。

死蔵させておくにはもったいないものも多いだろうし。


「さて、と。じゃあ戻ろうか。そのあとは明日まで自由行動にしよう」

「「「はーい」」」


運営メッセージのYESをタップし、瞬間視界がホワイトアウトする。

それも束の間、レギンの街……それもコロッセウムの前に私たちは転移してきたようだった。

どうやらレギンが近い場合、ここに転移するようだ。



-----------------------



赤ずきんたちと軽く別れの言葉を交わした後、私は灰被りから教えてもらっていたグリルクロスのいる工房へと向かった。

レギンの街並みには合わぬ、ファンタジーな工房が立ち並んでいる職人街へとたどり着く。


「えーっと……あぁ、あそこかな?」


一つだけ、見た目が新しい鍛冶工房が発見できる。

前回彼と会っていたのはテセウスの店だったので、こういう場所に来るのは初めてだった。

少しだけ緊張するが、移動するのにあれだからということで頭の上に乗っけているグリンゴッツが急かすためそのまま入ることにした。


「すいませーん……」

「ん?あぁ、ちょっと待ってくれい!」


工房の奥から、知っている声が聞こえてくる。

しばらくすると作業がひと段落ついたのか、中からよく知る顔が出てきて……私の顔を見るなり驚いたかのような顔をする。


「どもです」

「おいおい嬢ちゃんじゃあねぇか。どこに行ったのかと思ったらドミネに居たのか」

「えぇ、コロッセウムに挑もうと思ってたので。……と、本題に行きましょうか」

「あぁ、そうだな。その頭のやつも説明してくれるんだよな?」

「もちろん」


工房の奥へと招待され、そこにあった椅子に腰かける。

グリルクロスはインベントリ内から木製の机を取り出し、私との間に置いたのだった。

筆記用具も取り出しているので、これからする話がどういうものなのかわかっているようだ。


「で、だ。色々と話を進める前に、一つ謝罪させて貰えねぇか?」

「……と、いうと?」

「リセットボタンの件だ。あれは元はといえば作製に参加させちまった俺がわりぃ。腕が確かだからってことで、裏の確認を怠っちまったんだ。申し訳なかった」


……あぁ、なんだそういうことか。

彼が謝罪することなんてあっただろうかと思ったが、そういう話ならこちらがいうべきことは決まっている。


「あぁ、あれならこちらとしては問題ないですよ……あぁでも、そうですね。もし何かしらの形で返そうっていうならば一つ提案があるんですけど」

「?なんだ?」

「今回依頼する装備をできる限り最高の品質で作ってくれますか?」

「は?……あぁ、あぁ、くくっ……ハハハ!そういうことか!良いだろう!やらせてくれ!」


彼は笑いながら私の提案を快諾する。

やはり彼とはいい関係をこれからも続けていけそうだ。


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