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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・前半
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戦闘中のひと時を

もし良かったら感想、ご指摘、評価などよろしくお願いします


灰被りが来てくれたおかげでこちらの状況が一変した。

それこそ、私が何もしなくとも彼女1人いればシャドウウルフが全て片付いたレベルで。


私はありがたくMPポーションを飲みつつ、状況の再確認をする。

どうやら残党狩りが終わったのか、グリンゴッツもこちらへ移動して来て周囲の警戒をしてくれている。


ボスの方はというと……これがまた、私たちが必要ない程に赤ずきんたちがボスを圧倒していた。

正しくは、赤ずきんは動かずにリックとクリスが、だが。


【魔力視】してみると、赤ずきんから魔力の線が彼らとボスに対して伸びている事から、何らかの支援や妨害を行なっているのだろう。

側から見ればサボっているようにしか見えないのは仕方ないが。


と、そんなことを考えていると狩りが終わったのか、灰被りがこちらへと近付いてきた。


「お疲れ様です」

「お疲れ様ですー、助かりました」

「いえ、こちらこそ。……状況は?」

「手を出さなくとも安定して攻めてますよ、どうします?」


そう言うと、彼女は少し考える風に明後日の方向を見つつ、こう言った。


「じゃあ私達は休んでおきましょう。これからまた召喚されないとは限りませんし、その時の為に余力があるかないかでは違います」

「了解です」


そんなわけで、状況確認しながらだが私達は一旦休憩する事になった。

すぐに動けるように立ちながらにはなるが、休めるのはありがたい。

思えば、灰被りとこうして2人で話しながら、というのは随分と久し振りに感じた。


前回はいつだったか、と考えてみるとシスイに着いた日が最後だったような気がする。


「クロエさんは随分ともう戦えるようになりましたね」

「そうです?……周りに比べると、ほんと器用貧乏というかなんというかって感じな気がするんですけど」

「いえ、いえ。世辞とかではなく。私たちが同行していた時と比べたら本当に。幾つか固有魔術も取得してるようですし」


あの頃から比べると、確かに増えた。

【過ぎた薬は猛毒に】、【魔力装】、そして新たに手に入れた【逸話のある物語】。


新たに手に入れた【逸話のある物語】はまだ使っていないが、他の2つはちょくちょく使うし、今回もかなり助かっている。

そろそろ【過ぎた薬は猛毒に】の方も派生魔術か何かを覚えてくれると助かるというのが本音なのだが。


「あは、色々ありまして。今ではグリンゴッツみたいな子も出来ましたし」

「良いですね、楽しんでいるようで何よりです」


2人で笑い合う。

戦闘中、というか他のパーティメンバーが頑張っている裏でサボって何やっているんだと言われたらおしまいだが、この時間は捨てがたい。

というか、最近殺伐とし過ぎた時間が多かったのだ。

戦争が終わったら、少し何処かでゆっくりするのも良いかもしれない。


「いやぁ、でも灰被りさんがあんな戦い方するとは」

「?……あぁ、これですか?」


タン、と彼女が軽く足を鳴らすと1本の細い氷の茨が出現する。

先程みたモノより細いが、これはただ見せる為だけに出したものなのだろう。


「そうですそうです。モーション登録で魔術を発動してるんです?」

「似たようなものですね。ブーツの方に事前にセットした魔術スロットから呼び出してるんですよ。何て言えば分かりやすいかな……あぁ、そうそう。銃と銃弾みたいなものです」

「魔術は使い切りではないですよね?」

「そうですね、使い切りではないです。これの他にスロットだけでも3種類、内部の魔術だけでも10種類は超えた量があります」


中々に多い。

様々な状況に対応出来るように、という事だろうか。

恐らく火炎魔術などと言った属性系の魔術は一通り揃えてあるのだろう。


「はぁーすごい……。面白そうだし私も使ってみたいです」

「ふふ、確かレギンに作ってるプレイヤーが居たはずですよ。最近ヴェールズから移ってきたとかなんとか」

「へぇ、それは丁度良いですね。名前は?」

「グリルクロスという土精族のプレイヤーですね、知ってます?」


ズッコケそうになった。

知っているも何も、私の装備を担当したメインプレイヤーだ。

しかし、彼の名前をここで聞くことになるとは思わなかった。

それを彼女に伝えると、流石にこの偶然には驚いたようだった。


「あは、世間って狭いですねぇ……」

「そうですね……見たところ装備も更新出来そうですし、一回会いに行ってはどうです?」

「そうしますか。……と、そろそろかな?」


【霧海】で状況確認していたと言っても、直接目で見ていたわけではない。

ちら、とそちらに目を向けるとボスが地に伏す直前だった。


私と灰被りは互いに視線を交差させ、赤ずきんたちの方へと近づいて行った。


『【群影狼】が討伐されました。討伐報酬として、戦闘参加者に対し報酬が配布されました』


『おめでとうございます!『静謐な村』を踏破しました!近くの街へ戻る事が出来ますがどうしますか?YES/NO』


これにて、『静謐な村』の攻略が終了した。


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