表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・前半
132/242

影と霧の踊りを

もしよかったら感想、ご指摘などよろしくお願いします


私たちパーティの目の前にはボスと思われる巨大な影狼。

そして周囲には今まさに湧いてきたシャドウウルフたちが数十匹。


「赤ずきんさん、ボスは任せます!」

「おっと了解!じゃあ灰被りちゃんはクロエちゃんの方に援護で!他2人はこっちね!」

「「「了解!」」」


灰被りがこちらへと寄ってくる。

彼女の手には何やら刃が波状になった短剣があった。

魔力を纏っているのが分かるため、何かしらの魔術で強化などを行なっているのだろう。


私は取り敢えずで、【遠隔装作】で作った直剣14本をそのままシャドウウルフ達へと投げつけてみる。

ゴッ、ガッと剣にしては鈍い音が鳴りながらも、少なからず数は減らせるようだ。

……やっぱり、【遠隔装作】で作ったのは威力が低くなってる?バランス取るためかな。


「グリンゴッツ!灰被りさんと一緒に行動して!取り敢えず【魔力装】以外は大丈夫ね!」

『!了解した!』


グリンゴッツに指示を出し、取り敢えず近くへと来させる。

見ていない間に、独自で何体か屠っていたようだ。ありがたい。


灰被りとグリンゴッツには私とは反対側のシャドウウルフを狩ってもらうことにする。

何故こちら側にグリンゴッツを付けていないのか?過剰戦力では?と思うかもしれないが、それは分かってやっている事だ。

一方に戦力を偏らせる事によって、殲滅速度を引き上げる。


だが、これには1つだけ明確な問題点が存在する。

今回で言う私のポジションの戦力が少ない側が、応援が来るまで耐えなければならないと言う点だ。


「まぁ、と言っても」


【霧海】を広く展開し、シャドウウルフ達の存在する位置を感知しておく。

その頭上辺りから、【遠隔装作】にて槍を作成。限界まで数を作り14本。

14匹の頭上に槍が作成された形となった。


彼らはそれに気付いたらしく、逃げようとしていたが任意で動かす事が可能なこの魔術から逃げられるわけもなく。


「なんとかするしかないんだけどね」


私は魔力で出来た槍を勢い良く、彼らの頭へと突き下ろした。

幾ら威力が低かろうが、幾ら切れ味が鈍かろうが急所を捉えてしまえば関係がないだろう。


ガリガリガリガリと硬いものを削るような音を立てながら槍が彼らの頭に下され続け、次第にパキュッと言う音を立てる。


「Grr……」

「おっと危ない」


魔力か何かを嗅ぎ分けたのか、私へとシャドウウルフ達が集中して攻撃を開始した。

確認してみれば、グリンゴッツは【霧海】と【魔力装】以外は全て持って行っているらしい。


右手に小回りの効く短剣、左腕に擬似神経を通しそれらに応戦する。

わざと左腕を噛ませ、短剣でとどめを刺す。

それ以外は【霧海】でどこから来るかを感知しているため、躱す。

これを繰り返していく。


人間ではなく、相手がモンスターだからこそ出来るルーチンワークのような戦法だが、これで良い。

私の今の役目は殲滅ではなく、時間稼ぎなのだから、こっちの方がやりやすいのだ。


「と言っても、魔力の消費が激しいんだけども」


避けれない程の数のシャドウウルフがいっぺんに襲ってきた場合は、【魔力装】を全身鎧のように展開し無理矢理に防ぐ。

ダメージを受けないことが重要なのだ。見た目もへったくれもない。


魔力の鎧によって攻撃を弾きつつ、近くにいるシャドウウルフの頭を突き刺し数を減らしておく。

ちら、と灰被りたちのほうを見てみると半分ほどは狩り終わっているようだが、いかんせん数が多く時間がかかっているようだ。


「仕方なし仕方なしってことで!」


近場にいる狼が幾らか減った所で、一度【魔力装】を解きMPポーションを2本飲む。

どこかで回復を入れておかないと、こちらが魔力切れで動けなくなってしまう。

そうなったら戦線は崩壊、ボスを削っている赤ずきんたちの方へシャドウウルフたちが殺到し、そのままこちらのパーティは壊滅することだろう。


少し私の立場が重いように感じるが、今までも似たようなものだ。

館の支配者に比べれば大したことではない。


「おっと、横を通り抜けようとしないの」


回復する私を見て好機と思ったのか、何匹か横を通り抜けようとする。

彼らには初めの何匹かと同じように【遠隔装作】にて槍を頭にお見舞いし、永遠に動きを止めてもらう。

【霧海】にて動きを把握しているためか、そういう出し抜こうとする動きは防ぐことが可能だった。


MPポーションを飲み終わり、また【魔力装】を再度短剣と疑似神経を展開、戦いを再開する。

作業には違いないが、遊びを入れる隙はないくらいには厳しい状況。

しかし、こういった状況のほうがゲームをしているという実感が沸いてくる。


「グリンゴッツ、ちょっと大罪魔術返してもらうよ」


聞こえているかもわからないが、グリンゴッツが持って行っていた大罪魔術をこちらへと返してもらい、こちらの動きの強化に使う。

【怒煙】を左腕に付与、【怠惰】を近づいてくるシャドウウルフへ片っ端からかけていく。

一度で【怠惰】にかかり、動きが鈍るものもいれば抵抗しこちらへと牙をむいてくるものもいる。


そんな相手に対しては、【怒煙】にて動きを止めそのまま蹴飛ばしておく。

数を直接減らすよりも、こちらのほうがいいかもしれない。

数は減らないが動けない敵を増やしていく。


魔術が飛んでくる可能性はあるが、それに関しては察せるし簡単に防げるレベルだ。

まだまだ私とシャドウウルフ達の戦闘は続く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ