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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
Tutorial 一歩目を踏み出そう。
13/242

準備しつつ、二度あることは…

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします。

あと、最近なんだかたくさんの人に読んでいただけているようで。

ありがとうございます。まだ拙い文章ですが、頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いします。

始まりの街 - AM


あの後、不思議の館の中を調べたが特に魔術的な触媒になりそうなものもなく、長居する意味もほぼなかったために街へ戻ってきた。


館内で戦闘中に色々考えていたが、やはり始まりの街は出ることにする。

PKされる可能性も高くなるが、その分こちらもPKできる可能性があるしどこかのサバトの傘下に入れば、サバトメンバーに守ってもらうことも可能だ。

しかし今の私には知り合いが偏りすぎているのだ。


私のWOAにて会話をしたプレイヤーはたった二人。

【赤の十字軍】所属の赤ずきんと灰被りのみだ。

別に【赤の十字軍】に入ること自体は別に問題じゃあない。ただ、顔見知りと言ってもフレンド登録をしたわけじゃあないし、今もこの街にあの二人がいるかもわからない。


「……一回宿出て、必要になりそうな備品を買いにいこう」


気分転換もかねて、私は街に繰り出すことにした。

今日は何かしら、良いことが起こりそうな気がするのだ。



-----------------------



「やーあくろえちゃーんまたあったねぇー」

「アッドウモ」


都合がいいというかなんというか。

街にて必要な備品を買い歩いていると、灰被りを連れた赤ずきんに声をかけられた。


「ぼうよみだぁねぇ。いろいろかってるみたいだけど、まちをでるのかな?」

「えぇ。このままこの街に留まる意味もあまりないかと思いまして」

「ふむ、クロエさん。サバトには入っているので?」


答えはNOだ。

灰被りからの問いに対し、私が肩をすくめて頭を横に振ると赤ずきんはパァと顔を明るくした。


「じゃあくろえちゃん、うちのさばとにはいらない??」

「ちょっと赤ずきんさん、勝手な事を」

「だいじょーぶだいじょーぶ、はいかぶりちゃんはだまっててー」

「えっちょっとちょっと、待ってください赤ずきんさん。私としては入れてもらえるなら、願ってもないんですが、突然すぎて色々と…」


本当突然すぎて色々ちょっと待ってほしい。

流石に何か裏があるんじゃないか、と少し警戒する。


「いやいやぁ、くろえちゃんにもめりっとがあるとおもうよーぅ?たとえばぁー」


と言いつつ赤ずきんはこちらへ近寄り、耳元で


(貴女の持ってる禁書についても、色々と教えられるからね)

「……」


と囁いてきた。

禁書を所持しているとは赤ずきんには話してはいない。というか普段の口調から、彼女がマイペースな性格をしていると考えていたのだが。

おそらく、【鑑定】系…いや出会った時のあの魔術だろう。それを使って見破られたと考えるべきだ。問題なのはこっちの固有魔術…【チャック】内に入れていたはずの禁書を所持していると看破されたことだ。


警戒レベルをもう一段回上げた方がいいかもしれない。

この街の中でPKされることはゲームのルール上ないのだが、街を出た瞬間にやられるという可能性もある。


「赤ずきんさん。クロエさんが警戒してるんで、ちょっとは自重してください。怪しまれてますよ」

「えぇー…ってほんとだぁー。ごめんねぇあくいはないんだよ」

「いや、別にいいですけど…灰被りさん。いつもこうなので?」


何故か身体をくねらせ始めた赤ずきんから視線を外し、灰被りへ話しかける。

灰被りはやれやれといった様子で、横目で赤ずきんをみつつ、


「まぁ…そうですね。あと一応補足しておきますと、赤ずきんさんが言ったであろう内容は善意100%です。私も同じように勧誘されたので」

「はぁ…」


意外と灰被りはアレなのかもしれない。


「…ちなみになんですが、サバトに入る場合って何かしらのノルマとかあったりするのでは?」

「あーいや、うちの場合ノルマというか、私達が行っているような巡回に関しては、サバトの中でも上層部にしか課せられてないんですよ。自分で上層部っていうのもアレなんですけど」

「ふむ…それは実力的な意味で、ですよね?」

「その通りです。PKをさせないために巡回しているのに、そのPKに負けるような実力じゃあ意味がないですからね。その分、新人の修練には力を入れて巡回メンバーを増やそうとしているわけです」

「成程」


自分たちのサバトでは初心者に対してのサポートもすると。

それ自体は初心者側からすればありがたい話だが、一つ確認したいことがある。


「一応聞きたいんですけど、サバトを抜ける場合って何かあるんですか?レアアイテムを寄付したりーだとか」

「いえ、特に無いですよ。ただ抜ける前にサバトリーダーと面談してもらいますが」

「面談…それだけなんですか。意外ですね」

「まぁそうですね。基本(・・)はそれで終わりです」


…?

すこし気になるが、面談だけならばある程度利用させてもらうのも悪くないかもしれない。

戦術に関しては、まだ私の対人における立ち回りが確立してないのもあって、特に秘密にしたいことはない。

禁書に関してと固有魔術の詳細に関してくらいか。まぁいいだろう。


「で、どぉーする?くろえちゃん」

「あー、はい。参加させてください」

「クロエさん……私が言うのもなんですけど、いいんですか?」

「大丈夫です。一応考えての結論なんで」


秘密にすることはあれど、オンラインゲームでぼっちになりたくはない…というのも理由の一つにはなっている。

いつまでも一人で悶々と考えていても答えが出なかったりするしね。


「ならいいですが…では赤ずきんさん。お願いします」

「ほいさっさー!」


赤ずきんが空中で何かを弄るように指を動かすと、ログが出現した。


『赤ずきん から フレンド申請が来ました 承認しますか?』


迷わずYES。そしてその直後にまたログが出現する。


『赤ずきん より サバト【赤の十字軍】 に 招待されました 承認しますか?』


これにもYES。これで私は【赤の十字軍】に所属した、ということになるのだろう。


「これからよろしくねぇくろえちゃん」

「はい、よろしくお願いしますね。赤ずきんさん、灰被りさん」

「あぁ、そうそう。これサバトメンバー用の装飾品のスカーフと、私達の拠点がある街への地図になります。一応今回は私達も戻る途中になるので、道を説明しながらになりますが、次回から迷わないようにってことです」


灰被りからアイテムが手渡される。

スカーフに関しては、赤ずきんの頭巾と同じように少女の横顔と林檎と狼を象ったマークが入っているものだ。


「ありがとうございます。お二人はこれから出発ですか?」

「いんやぁ、わたしたちはあといちにちいるから、そのときにくろえちゃんもいっしょにいこうかぁ」

「そうですね、クロエさんも急に今日出発すると言われても準備中だったでしょうし……明日、初期ログイン地点で集合でどうです?時間は午後で」

「あーそうですね、時間も場所も問題ないです。じゃあそういうことで今日は解散しましょうか」


その後、少しだけ会話をした後私達は解散した。

宿に帰り、荷物をある程度まとめ大事なものを【チャック】に収納する。

環境が変わる前は緊張するものだ。今日はこのままログアウトすることにしよう。


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