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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・前半
123/242

久々に

もしよかったら感想、ご指摘などよろしくお願いします


戦争イベント。

国家間で好感度のようなものが一定値以下まで下がる事で起こるイベントらしい。

本格的な戦争イベントはこれが初らしく、ドミネとファルシが戦争することになるとは……と多くのプレイヤーが不思議に思っていたようだ。


私もそう思う。

戦争をおっ始めるなら、ドミネとお隣の宗教国家であるユディスではないかとよく噂されていたのを私でも何度か聴いている。


しかし現実は何が起こるか分からない。

ファルシからの刺客は送り続けられているそうだが、首都にいた私が全く姿を見ていないことから、首都に辿り着く前に誰かしらに潰されて来ていたのだろう。


「はぁー、しっかし戦争ねぇ」

「もう、そんな風にため息つかないの。……でもまぁ、大変なことになってきたわね」

「あはー、お二人も参加するとは聞いてなかったから驚きましたよ」


そんな中、戦争参加プレイヤーに関しては説明があるとしてコロッセウムへと集められていた。結構参加プレイヤーは多く、日中の大通りのような賑やかさだ。

どうやら、いくら擬似的なものとはいえ勝敗が掛かっているモノだからということで、キチンと部隊分けするらしい。

アホな事するなー、と思いつつその場でボーッとしていたら、知り合いであるリックとクリスに出会ったのだ。


ちなみにグリンゴッツは宿の部屋で【チャック】と共に待機中だ。


「でも私たちが言うのもアレだけど、プレイヤーを固めて団体行動ーとかこのゲームでやるもんじゃないわよね」

「まぁ確かにそうだな。一応今回に限っては戦争中の特殊ルールで同じ国のプレイヤーに攻撃してもFFはないようだが」

「それにしたって、普通情報が大切なこのゲームで見知らぬ誰かとPT組むのはハードル高いですよー」


私がそう言うと、2人揃ってため息をついた。

まるでお前にだけは言われたくない、とでも言いたげな様子である。心外な。


「しかし、実際の所戦況って今どうなってるんでしょうかね」

「戦争状態になってから結構経ってるしなー。出来るなら有利な方が勿論いいんだが」


何やらコロッセウムの来賓席あたりに誰か代表っぽい人が出てきたのは見えるが、こっちからすると小さくて見えたもんじゃあない。

適当に雑談しながら、待っているとだ。


「おっ、クロエちゃーん」

「……は?なんでいるんです?」


大きく手を振って近付いてくる赤い人物が1人。

赤ずきんだ。


「はは、相変わらずだねぇ。当然今回はドミネ側に雇われたからだよ。宜しくね」

「そんなだから周りから金の亡者とか言われるんですよ」

「えっ、私ドミネでそんな風に言われてるの」


そうやって話していると、こちらを興味深そうに見ている2人が話しかけてきた。


「あの、クロエさん……その人は……?」

「あぁ、ごめんなさい。この人は【赤の十字軍】のサバトリーダーの赤ずきんさん。前にお世話になってた人です」

「私は今でもお世話したいと思ってるけどね。っとと、宜しく2人とも。とりあえずこの戦場では味方さ」

「よ、よろしくですー……」


2人も元はヴェールズから来ただけあってサバトの名前だけで彼女の所属、運営するサバトがどんな所かは知っているらしい。

目を見開いて赤ずきんと私を交互に見ているのは、本当に面白い。


「で、赤ずきんさん。傭兵って言ってもハロウさん辺りに呼ばれたんじゃ?」

「そっちに行かなくても良いのかって?はは、別に問題ないよ。寧ろ彼女からこっちに寄越されたくらいさ」

「……あぁ、灰被りさんがいれば円滑に話は進みますもんね」


あははー、と赤ずきんが明後日の方向を向く。

ある意味彼女がいつも通りというのは、私的には雰囲気が少しだけ緩くなるため現状大歓迎だ。

……赤ずきんさんと灰被りさんが味方。ということは彼女達が身内っていうテセウスさんとかはファルシ側に行ってる感じかな。


「おっ、なんか始まるみたいだ」


と、ここでリックが何かに気付いたらしく、来賓席の方向を指さす。

他の周りのプレイヤー達も気づいたようで、徐々に徐々にみな来賓席のほうへと意識を集中させる。


集まった皆が来賓席へ視線を向けると、ある人物がそこから声をあげた。


『やぁ、みんな。今日は集まってくれてありがとう』

「おや……ハロウじゃないか。あの子あぁいうのはあんまりやらない子なんだけど」

「あれじゃないですか?三人になるやつ。あれで指示出してるとか」

「あぁありそう」


赤ずきんと適当に話しながら、彼女の話を聞く。


『今日は初となる大規模戦争イベントに向けて、その説明とそれに伴ったチーム分けをしていきたいなと考えている』


一息。


『では今回のイベントについて説明をしていこう』


ハロウはいつもとは違う口調でありながら、今回の大規模戦争イベントについて説明していく。

恐らくこの中にいる何人かは視点録画なりなんなりをしているはずなので、今ここでメモを取らずとも問題はないのだが……。まぁほかにすることもないので、要点だけを抜き出してメモしておく。


大体、ハロウの話をまとめるとこうだ。

・開始時間になると、参加表明しているログイン中のプレイヤーは全員特別なフィールドへ飛ばされる。

・その特別フィールドでは、時間の流れが通常の3倍となっており、内部で3日経つと勝敗に問わず特別フィールドは消え、プレイヤーたちは通常ワールドへと戻される。

・大規模戦争の勝利条件は、相手の砦の機能停止。何をもって機能停止とするかは説明されていない。


とのこと。

残りのルールに関しては、参加表明したプレイヤーに対して運営からメッセージが飛んでくるらしいので、そちらを参照してほしいとのこと。

……現在の戦争状態とは違って、直接的な内容だな。


話を聞いて、私はそう思った。

今までは大半は重要施設を落とすだけだったのに対し、今回の大規模戦争は戦場が用意され、そちらで戦えと事前に言われている。

これはある意味大変なことになりそうだ、と天を仰いだ。


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