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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・前半

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堕としていこう

もしよかったら感想、ご指摘などよろしくお願いします


今週は少しアメリカのほうで幼女と魔女裁判を解決しないといけないので、土日は1話ずつです。


【影槍】を絡みつかせた【箱造り】を徐々に穴の底へと沈めていきつつ、【怠惰】をかけていく。

【箱造り】はこちらへと氷塊なんかを撃ってくるが近くにいるグリンゴッツによって、その全てを防がれている。

あとこちらが気を付けなければならないのは、この有利になった状況すら幻術で見せられているかもしれない、ということだ。


「グリンゴッツ、どう?」

『今のところは問題なしだ』

「なら良し。このままこっちは掛け続けるからよろしく」


幻術かどうかなんてこちらには気付く術は今のところない。

ならば今捕まえている【箱造り】を何とかするしかない。


少しずつ【箱造り】の身体に群青色の靄が纏わりついていく。

耐性を突破して【怠惰】に掛かり始めたのだろう。

その証拠に、先ほどから【影槍】に対する抵抗が少しずつだが小さくなっていってるのがわかる。


「あは、これで終わりかい【箱造り】」

「ほざきおるわ。まだまだこれからに決まっとる」

「終わってくれてもいいんだけどねぇ」


MPポーションを取り出し、飲み干しながら魔術の操作を継続して行う。

現状、私は動くことはできない。それほどまでに慎重に【影槍】などを行使しているのだ。


少しでも相手を傷つけてしまえば、恐らくだがその瞬間あの自動発動型の障壁がこちらの【影槍】を断ち切ってしまうんじゃないか。そう考えているのだ。

確証は全くもってない。というよりもこれはただの勘に基づいた行動だ。

問題ないのならば、そのまま叩き落している。


ただし、一応相手はボスなのだ。

それならば少しばかり慎重すぎるくらいがちょうどいい。


『固有魔術ー魔力装の習熟度が1000になりました。レベルが2へと上がり、魔力装の派生魔術として【遠隔装作】を取得しました』

……ここでか。


どうやら、習熟度というのは自分の配下となるものに魔術を使わせていても貯まっていくらしい。

しかし【遠隔装作】。名前の音からすれば【魔力装】にて作ったものを遠くから動かせるように聞こえるが……そもそも【魔力装】自体手で触れていないと魔力の供給の問題ですぐに形が崩れてしまうものだったはずだが……?


「いや、今は戦闘中だ。確かめるのはあとにしよう」


気付けば、【箱造り】の身体は穴の半分ほどまで降ろすことができた。

【怠惰】による靄も機能しているらしく、今ではほぼ抵抗もなく言葉すら紡がない。

私は穴には近づかずに【霧海】によって確認しているため、近づいた瞬間に撃たれる……ということもない。


「グリンゴッツ、一応そろそろ【変異】返してもらうよ」

『あぁ、【魔力装】はそのままで?』

「うん、そのままで。盾は継続して作っといて」


軽い指示を出しながら、私は【範囲変異】を使う。

先ほどは穴を掘ったが、今回は穴を閉じるために。

多少地面側が薄くなってしまうが、地面側から土や石を引っ張ってきて無理やりに穴を埋めてやる。


……【範囲変異】というよりかは、【範囲移動】だなぁ。

一応歩く程度では崩れないとは思うが、強い衝撃を加えるとそのまま全体的に崩れてしまうのではないだろうか?


「……終わったかな?」

『もう少し待ってみよう。一応まだ【影槍】は解いていないのだろう?』

「うん、そりゃ怖いしね。ただ流石に穴埋めちゃったから自然消滅はしていくだろうけど」


再度MPポーションを飲みながら、一応足元を警戒する。

いつ何が来ても問題ないように。

穴に落とすという行為を今回のダンジョン攻略では常套句のように使ってきたが、それだけ普通に殺すよりも不意を突けるというものなのだ。


相手がプレイヤーならばまだしも、相手がモンスターならば特にそう。

本能?AI?そのままに突っ込んでくる相手に対して、その道中に罠を張るというのは当然で、ただの槍が飛び出したり炎が噴き出たりなんかする罠よりも、落とし穴はより拘束性も高い。

ダメージを与えたいのならば、穴の底に竹槍のような何かを配置しておけばいいだけなのだから。


私は【変異】にて、足元に石のコップを作り出す。

そこに【過ぎた薬は猛毒に】で作った液体状の毒を注いでおき、それも確認しながら警戒することにした。

地面からの振動を確認するためだ。


「……」

『……』


ただただ時間が過ぎていく。

【影槍】は消滅し、おそらく耐性的にも【怠惰】も既に解けているだろう。

しかし、地面から這い出てくる様子はなくどこかしら掘っているような振動も、毒で満たしたコップには伝わっていない。


【魔力視】をしようとも、透過できるわけではないために地面の下の魔力反応なんて見えるはずもなく。

つまりは、現在気を抜くことはできないが、有体に言って暇だった。


「グリンゴッツ、自前の魔力あとどれくらい?」

『ほぼすっからかん……少しずつご主人から供給されている魔力を変換して貯めている状態だ』

「あー。この消費はそういうことか。【白霧結界】だけじゃ考えられないくらいの速度で減っていってたから」


MPポーションをまたも飲みながら魔力残量を確認しておく。

大体残り半分くらいだろうか。この後戦闘があるならば、確実に心もとない。

MPポーションの残りもあと4本。街に帰ったら買い足すべきだろう。


「さぁーって、そろそろ死んでくれ【箱造り】。私はもう飽きたよ」


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