第3階層
もしよかったら感想、ご指摘などよろしくお願いします
本日も2話投稿です。
こちらは1話目です。
他にもいろいろと話を聞いたあと、赤ずきんたちとの通話を切る。
目の前にいる子鬼のマスコットのような彼は、私の傀儡が上位種か亜種かに変化したものらしい。
確かに【鑑定】をかけてみると、それが間違いではないことが分かる。
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【傀儡】ゴブリン人形
種族:キラーマスコット 主人:クロエ
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詳細なことはきちんとした場所できちんとした術でとの話だったため、名前と種族、主人くらいしかわからないが、それでも十分だ。
種族のところがゴブリンとは違うものとなっている。
ガビーロールの話によれば、ここの種族についても元にしたモンスターと同じになるはずのため、ゴブリンじゃない時点で何か別のものに変化しているということなのだろう。
「ねぇ、ゴブリン人形……でいいのかな?」
『あぁ、呼び名はそれで構わない。呼びにくいということだったら、ご主人が新たに私に名前を付けてくれても構わないのだが』
新しい呼び名。
確かにこのままゴブリン人形と呼ぶには、彼の見た目はゴブリンではないだろう。
明らかにデフォルメされているぬいぐるみか、マスコットのようにしか見えないのだから。
「じゃあそうだね……適当に、グリンゴッツというのは?」
『ふむ、有名なファンタジーから持ってきたか。良いだろう、今日から私はグリンゴッツだ。よろしくご主人』
「うん、よろしく」
とりあえず名前は決まった。
では、もう一つ。気になっていたことがあるのだ。
「で、さ。グリンゴッツ。聞きたい事があるんだけどいいかな?」
『なんなりと』
「ありがと。……君、さっき【影槍】使ってたよね。あれって?食べたっていうゴブリンアサシンの魔石の効果?」
『それに関しては、ご主人との繋がりを通してご主人の魔術を使わせてもらっただけのこと。魔術というのは、知識。設計図のようなものなのだ。それを知っていればあとは材料があれば作れてしまう。そうだろう?』
そう、なのだろうか。
グリンゴッツの話は簡単だ。設計図があって材料があるのなら、組み立ては楽だと。
彼はそれをやっただけなのだと。
設計図、つまり魔術の知識は私との魔術的な繋がりから。
材料、ここでいうなら魔力は自身の核となっている魔石から。
そして【影槍】という完成品を作り出す。
……できるのだろうか。いや、正直私は知識不足が目立ちすぎている。ここで出来るか否かを考えるよりは受け入れてしまったほうがいいのではないか?
「そう……。ならそうだね。次の階層からちょっと連携とってみようか」
『了解した。ご主人がいうならそうしよう』
「っと、とりあえず私は解体しちゃうから……あっちの穴の中にもう一体のボスの死体があると思うからとってきてもらってもいい?」
『あぁ、では行ってくる』
シュッと明らかに私よりも早い速度で駆けていく。
彼は前衛型なのだろう。純後衛ではない私の立ち回りだが、ああいう前衛タイプの味方がいると、戦術を組み立てやすいのは確かだろう。
【変異】を使い、魔術師のボスを解体する。
見た目はゴブリンだが、ボスとしてここに据えられていたモンスターだ。使えるものは多いのだろう。
皮、魔石、骨、あとは一応目玉を回収しておく。
少ししてグリンゴッツが持ってきた斧の方のボスも解体する。
こちらは、皮と魔石だけでいいだろう。
「よし、とりあえず解体は終わり。魔力も問題ないしこのまま行こうか」
グリンゴッツは軽くうなずき、私についてきてくれるようだ。
かなり見た目の変わってしまった仲間とともに、いつの間にか出現していた階段を下りていく。
そろそろ、このゴブリン祭りに決着がつくといいのだが。
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妖光の館 - 3F
そこは、階層というにはあまりにも狭くあまりにも異様だった。
扉が一つ存在する以外には何もない。
その扉も扉で、大きく。まるで階層ボスの部屋に繋がる扉のようだった。
「……これって」
『あぁ、そういうことだろう』
つまりだ。
第3階層はボス戦のみの階層なのではないか。
……ダンジョンでボス戦のみって、メタ的な考えならここがラストなんじゃないだろうか。
一応、自分の状態を改めて確認する。
魔力、良し。装備、良し。
アイテムに関しても、MPポーションは余っているし、【影化】を使って影の世界へ潜ったときに【爆裂槍】や【分裂槍】を使うための石材、木材もある程度予備はある。
「強化魔術つかっておくかな、グリンゴッツは自分で使えると思うけど、何か使ってほしいものとかあったりする?」
『いや、特には。ありがとうご主人』
……本当に、人と話しているような錯覚に陥るなぁ。ジーニーの時もそうだったけど。
とりあえず、【禁書行使】を使い強化を施す。
今回は私が前で戦うわけじゃないため、【憤怒】と【視界強化】に関しては使わないでおく。
危なくなったら使うために、準備はしておくけども。
「さぁ、行こうか」
そして私は扉を開き、部屋の中へと入った。