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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
Tutorial 一歩目を踏み出そう。
11/242

探索しつつ、初見

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします

始まりの森 - AM


ワーウルフのいた辺りへ到着した。

ここに着くまでモンスターに遭遇はしなかったが、運が良かったのかモンスターが近づいてこなかったのかはわからない。


「さてと、この辺りでモンスター探しつつ、魔術の練習もしていこうかな」


錬成魔術のような、手元のアイテムに対して変化を与える【変異】などを使えば習熟度をある程度まで上げられるけど、例えば…鑑定魔術。

あれなんかは新しいアイテムや魔術を【鑑定】しないと習熟度を上げることはできない。


「【強化-身体強化】【禁書行使-第一章-痛覚軽減】発動」


自身にバフをかけておく。【禁書行使】を使うのは、禁書カテゴリの習熟度上げ用で特に意味はない。

目的地を決めずに、のんびり歩きながら魔術を使っていく。

一応、目ぼしいものがないか周りを見渡しながらにはなるが。


「…ん?なんだろうアレ」


少し歩いていると、光の柱…ゲームのイベントポイント?のようなものがある。

今まで見たことはないものだ。

触れないように近づいて確認してみる。


「『不思議な館への誘い』…ってなんだろうこれ。イベントっぽいんだけど」


ある程度力を付けたといっても、まだ初めの戦闘の時の反省は忘れたわけじゃあない。

一応、昨日作った短剣をインベントリから取り出しておく。


「一応かけなおしておくか。【強化-身体強化】発動」


【痛覚軽減】に関してはかけなおしはしない。戦闘中の痛覚は姿の見えない敵に対して優秀なセンサーともなる。

それに対し、【身体強化】は身体…肉体に対してブーストをかけるもの。聴覚や嗅覚なんかの感覚器官の強化にもなるのが先ほどから歩いていて分かった。


「じゃあ突入しましょーう」

目の前の光に触れる。瞬間、視界が白く染まった。



-----------------------



不思議な館 - F1


視界が回復するとそこは森ではなく、どこか古い洋館の一室のようだ。

周囲には…とりあえずはモンスターはいないようだ。アイテムに関しても目ぼしいものはないようだが。

周りをキョロキョロ見渡していると、部屋のドアの近くの床に何か書かれた紙が落ちているのが分かった。


「…『シンス公爵家へようこそいらっしゃいました。自由に御寛ぎを』かぁ。いやでも、たぶんここイベントフィールドみたいなもんだよねぇ」


MMORPGで昔よくあった手法。

ストーリークエストやイベントでは、専用のフィールドへ移動しクエストが終わるまで元のフィールドまで戻れないって感じだったはず。


今回のイベント?は、シンス公爵家へ招かれたよ!でも何かが起こるよ!解決してね!って所なんだろう。


「考えてても仕方ないか。武器は…よかったあった。バフも大丈夫。よしいこうかな」


移動されてから身の回りを確認するのは、昔やっていたTRPGでクローズドシナリオをよく好んでいたからだろうか。

紙を一応インベントリ…いや、【チャック】の方に入れておき、部屋を出る。


扉を開くとそこは、どうやらエントランスのようだった。

先ほどいた場所はプレイヤーのための準備室だったのだろう。振り返ると通ってきた扉はすでになく、そこは壁へと変わっていた。しかし、


『生き残れ』


壁にはそう書かれていた。

その文字を確認した瞬間に、視界に映るHPの下に『残り時間 1:30:00』とログが出現する。


「……あー、そうかこれ」


壁の方を向いている私の後方から、大きな何かが近づいてくる音が聞こえてくる。

おそるおそる振り向いて、癖になってきた【鑑定】を発動してしまう。


「初心者殺し系の意地悪いイベントだったかぁー」


-------------

シンス公爵家主人

 状態:死霊化

    巨大化

    身体強化

-------------


10mくらいあるゾンビがそこにはいた。


まだ【身体強化】の残り時間は残っている。

武器もある。ワーウルフと戦った時とは魔術の習熟度も違う。


巨大ゾンビはこちらが振り返って視認されたことが分かると、叫びながらこちらへ走ってくる。まだ7mほどあるが、すぐに接敵するだろう。


「すぅー……戦闘開始だね」


その言葉と共に、横に飛びつつ思考発動で【範囲変異】を発動させる。

落とし穴を作るためだ。ただし、今回は単純に足止め用の底が浅いもの。大きさ重視だ。


手元にある短剣は【怠惰】が付与されているが、近接戦闘をするにはやはり心もとない。

それに、長物である槍を使うには室内という館というフィールドはいただけない。

槌に関しても、正直周りを気にしないで戦えるほど便利な武器ではない。


「あー!こういうときに自分の使える武器の種類が恨めしく思えるなぁー!」


巨大ゾンビが落とし穴に片足を突っ込み、少しだけ動きが一瞬止まる。

その隙にエントランスから見える階段へ走る。死ぬ気で走る。


「ァアアァア!!!」

「ゾンビになってもあんなふうに叫びたくはなーいね!」


走りつつ考える。

今手元の武器は大きいダメージを与えられそうなものは、特にはない。いや、まだ試したことのない手が一つあった。

使えるかどうかはともかく、切れる手は切るべきだろう。


階段を駆け上がりつつ、私は叫ぶ。


「【禁書行使-第一章-】――」


巨大ゾンビはその身体にかけられた身体強化の効果で、幾分か想像上のゾンビよりも機敏な動きでこちらへ迫ってくる。


「――【召喚-棚-第一章一節】発動ッ!!」


そして、禁書の魔術が発動する。


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