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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・前半

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巨大な扉の先に

もしよかったら感想、ご指摘などよろしくお願いします


「魔力回復良し、準備も大丈夫。よし、行こう」


万全の状態で挑みたかったため、周囲を警戒しつつMPポーションを新しく飲み休憩を入れた。

ゴブリン人形については狩りを続行させているためこちらに来ることは基本無いが、もしかしたら報告のために一度こちらへ近づいてくる可能性はある。

その場合は、改めてボスとの戦闘用に指示を出せばいい。

右手に護身石の短剣、左手はフリーにしておいて偽腕からいつでも【魔力装】で武器や防具を創れるようにしておく。


ギィィ……と大きい扉を押し中へと入った。



-----------------------



その部屋は、広いというよりかは別の用途で作られているように見える。

円形のフィールド、観客席、そして私の入ってきた扉とは反対方向……つまり真正面に見える大きな扉。

どこかで見たことあるような、と思い返しすぐにそれが何なのかわかる。


「闘技場……」


そして、真正面の扉がギィィ……と開き何者かが入場してくる。

その見た目は、普通のゴブリンを一回り大きくしたようなモンスターだった。

モンスターは、片手に斧をもち、両腕と両足にまるで囚人のような鎖をつけている。

恐らく彼がこの第2階層のボスなのだろう。


「ガァアアアアア!!!」

「……あは、元気なゴブリンさん」


どこからか、カーンッと小気味いい音がしたと思ったら、こちらへボスが突っ込んでくる。

彼我の距離は大体20メートルほど。ただし、動いていなければすぐに詰められてしまう距離だ。

戦闘開始だ。


「【チャック】二重発動、連結(リンク)


私は自分の足元と、頭上10メートルほどの位置に【チャック】を発動し一度空中に逃げることにした。

空中は戦士などにとっては逃げ場のない場所となるが、このゲームの魔術師にそんなもの関係はない。

【霧海】を発動し、次いで【身体強化】にて足を重点的に強化する。


「ギァ!ギアァ!!」

「はは、卑怯って?なら飛んでおいでよ」


そして【範囲変異】にて下の地面を垂直に盛り上がらせ自分の足場とする。

大体1メートル四方くらいの大きさの足場だ。

ボスが足元にいるのが見えるが、このまま手を止めるわけにはいかない。

インベントリ内から2冊、禁書を取り出しそれを空中に投げる。


「【禁書行使-召喚-棚】発動、展開(オープン)【強化魔術一節】、【禁書行使-強化魔術一節-身体強化】及び【視界強化】、【禁書行使-第四章-憤怒】発動っと」


やはりこれ、一度ショートカットか何かを考えたほうがいいかもしれない。

空中に投げた【第一章】と【第四章】が光り、禁書がたくさん入った棚が召喚される。

そこから1冊の禁書【強化魔術一節】が飛び出し私に強化魔術を付与、次いで【第四章】にて【憤怒】を付与した。

禁書を空中に投げたのは、気分だ。良い子は絶対に真似したらいけない。ゲームだから良いものの、現実でやると本がダメになる。


空中に投げた禁書を【チャック】で回収し、ボスへと向き直る。


「……あれ?いナイ?」

「ギヒッ」

「ッ!」


背中側から笑い声が聞こえた。

咄嗟に【魔力装】を盾の形状にして背中に展開する。

ガキン!という音とともに、何かを弾いたような音がしたため振り返ってみると、そこには空中に浮きながらこちらへ満面の笑みで攻撃を加えていたボスの姿があった。


「嘘ォ……【霧海】発動シてるのニ、感知されナイとか……」

「グヒャァ!!!」

「危なイ危ナい。退避ー」


私はそのまま慌てて【範囲変異】で作り出した足場を下へ下げるように元の地面へと戻す。

見れば、ボスがいたであろう地面にはくっきりと足跡が付いている。

おそらく、ここから跳んできたのだろう。……いや信じられないが。


ボスはそのまま落下してくるが、それを待つ私ではない。

【爆裂槍】、【分裂槍】、【影槍】をそれぞれ5本ずつ展開し、射出する。


「グヒャッギヒヒヒ」

「あは、君結構笑ウんだネ」


そのほぼ全てを斧で砕きつつ、全身を槍の破片や、分裂した細い槍、影の槍で貫かれながらもこちらへ落下してくるため、またも【チャック】で距離をとる。

見れば、ボスの全身から黒い靄が立ち上がっているのが分かる。

どこかで見たような、というよりも現在自分からも立ち上がっている靄だ。


「【憤怒】……この場合ハ【第四章】ノ【狂化】?」


どちらにしても、ステータス面が大幅に強化されているのは間違いないだろう。

前回【憤怒】を使っていたシンス公爵家夫人を倒したときは、彼女が魔術師寄りの後衛系モンスターだったから接近戦で何とか出来ただけのこと。

明らかに前衛系のこのボスに対して、以前のように突っ込んで力押しは分が悪いだろう。


「さテ、どウスるかな」


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