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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・前半
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巨大な猪、子鬼を乗せて

もし良かったら感想、ご指摘よろしくお願いお願いします


「【白霧結界】の中でも、感知能力は変わらないか。でも結構魔力は持ってかれてるね、これ」


視界は真っ白い霧で阻まれているが、元々の【霧海】が持っている感知能力は失われず、現在ゴブリンライダーが手当たり次第に猪に攻撃させているのが分かる。

それらに当たっては一たまりもないため、一応避けてはいる。


また、【白霧結界】を維持するのに【五里霧】までとは言わないものの、かなり多めに魔力が消費されていっているため、早めに処理してしまいたい。


「このままじゃ当てづらいよね、暴れてるし」


槍を当てようにも、暴れられていたら目測を誤って外してしまったり、急所以外に当たってしまう可能性がある。

急所以外に当たった場合が一番危険だ。

何故か?自分の居場所がバレてしまう可能性があるからだ。


「【白霧結界】のお陰で隠れられてるっていう状態にはなってるけど、それが結界内に居ればずっと続くのか、攻撃が当たれば認識阻害系のデバフが解けるのか分からないし」


実験は常に、悪い場合を想定してやった方が良いだろう。

ならば、確実に急所を狙う必要がある。

但しこの場合、猪のみの急所で良い。


騎手であるゴブリンライダーは後に回しても問題ないのだ。

騎手が戦場で脅威となるのは、その移動速度と駆る獣の力故だ。


確かに、騎手も強いかもしれない。

だがそれは、地に降りてしまえば幾らでもいる兵の1人に過ぎなくなる。

……とまぁ、希望観測的に考えてみたけど。これで降りたら超強化!みたいなモンスターだったら笑えるね。


苦笑いしつつ、考える。

どうすれば、あの巨大な猪の急所を貫くことが出来るのか。


「よし、決めた。これもイメージで行けると良いな……【深影-影槍】」


直ぐには射出せず、5本ほど待機させておく。

形は今までのような槍を模した形ではなく、一見細長い布の様な形をさせている。

イメージしたのは、漫画でよくある布を使った槍術だ。


実際出来るかはさておき、ここはゲーム内。

ある程度はシステムがアシストしてくれるだろう。


「さて、一斉射出。縛り上げる形でぐるぐるといこう」


影の布(槍)は私の影から伸びながら、巨大猪に対し巻きついていく。

が、問題が1つ発生した。


「ピギィ!!!」

「ぐっ、うぉおお……意外と消費魔力多いなぁ……!!」


貫くための槍を、無理矢理に形を変え束縛する為のものとして使っているからだろうか。

通常使用時の【影槍】よりも消費魔力は多く、巨大猪を抑え込むために維持する魔力も多い。


これは次からは考え直した方がいいかもしれない。


「【爆裂槍】5本射出」

「!?……ッ」


【爆裂槍】を縛られた巨大猪の頭に射出し、刺さった瞬間に爆破する。

見るも無残な状態になった巨大猪が抵抗せず、横に倒れていくため、力尽きたのだろう。


【影槍】を解除し、そのまま慌てて潰されないよう降りてきているゴブリンライダーに接近する。


「これで終わりっ」

「ギッ?!」


何かしらの結界や障壁を張っている可能性も考えて、【魔力装】にて刃渡りを伸ばした護身石の短剣でゴブリンライダーの首を掻っ切る。


何にも防がれることはなく、そのまま首が飛んでいった。


「ふぅ……【白霧結界】解除。戦闘終了っと」


周囲には【霧海】に何も感知されないため、一応安全な場所なのだろうと考える。

そのまま解体までしてしまおう。


MPポーションをインベントリから取り出しつつ、巨大猪の方へ近付いて手で触れる。

先程まではきちんと見えていなかったのもあり、サイズ感もイマイチ分からなかったが……こうして見てみると、かなり大きい。


「あは、肉食だったら食べられちゃうくらい大きいなぁ」


MPポーションを飲みながら、ぽんぽんと巨大猪を叩く。

中々に良い毛並みで、ずっと触っていたいと思うほどだ。


「さて、ゆっくりしてたいけどそうもいかないからね。【変異】」


そのまま巨大猪を解体し、肉と魔石、骨と皮に分ける。


-------------

狂猪の魔石 レア:Normal

狂気に侵された巨大な猪の心臓部。

魔術的触媒として初心者が利用するのに適しているとされている。

-------------


「あぁ、あの猪の名前って狂猪っていうんだ」


見た目は真っ赤で綺麗なのだが、これが狂気に侵されたということなのだろうか。

他の魔石をあまり見たことがないため、情報が少なすぎるのが問題か。

骨なんかも使えそうだし、道具を作る練習に使ってみようかと思う。


さて、次だ。

ゴブリンライダーに関しては、特に欲しいものはあまり無いため魔石とそれ以外に分ける。

おそらく【鑑定】すれば、火の力をーとか書いてあるのだろうが、確かめなくとも分かっていることのため別に良い。


「じゃ【チャック】」


解体したものを、とりあえず仕舞うために大きめの【チャック】を発動させ、全部入れてしまう。

さて、少し急いだため周りから何かが寄ってくる前に解体は出来た。

MPポーションも飲みつつ行ったため、ある程度魔力も回復した。


「……さて、これからが本題なのかな」


先程から見えていた、本題。

ここで【白霧結界】を使ってまでゴブリンライダー達を仕留めた理由。


階層ボスの部屋へ繋がる、巨大な扉が私の目の前にあった。


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