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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・前半
104/242

考えながら進んでいこう

もしよかったら感想、ご指摘などよろしくお願いします


妖光の館 - 2F


「ゴブリンアサシン、ねぇ……」


外套ゴブリンと呼んでいたモンスターを解体し、得られた魔石を【鑑定】にかけてみた結果、ゴブリンアサシンというモンスターの魔石であることが分かった。


-------------

ゴブリンアサシンの魔石 レア:Normal

ゴブリンの上位種であるゴブリンアサシンの心臓部。

加工することによって簡易的な深影魔術を使うことができる道具が作成可能

-------------


恐らく、普通のプレイヤーはこういう風に魔石を手に入れ、武器や道具に加工して習熟度を溜めて魔術を習得したりするのだろう。

私はまだ、そういう風に魔術を覚えたことはないためどういう風に習得するのかイマイチ想像できないのだが。


「とりあえずこの魔石は集めておくかな」


ゴブリンアサシンの素材を使った傀儡を作るのも考えたが、既にゴブリン人形がいる。

彼は普通に魔石を食わせて強化しているし、今も感じている魔術的な経路(パス)から消費されて行っている魔力量を考えると、ゴブリン人形のほうがコスパ的にも良さそうだからだ。


「……そういえば、同じ種類の魔石とは言うけど、上位種の魔石ってどうなるんだろう」


ガビーロールはそこに関しては特に何も言っていなかった。

モンスターの上位種、というのはその多くは生きる環境によって身体や戦い方などを変化させた者らが種族として定着したものだ。

ゴブリンアサシンの例で言えば、暗い場所での狩りの成功率や生存率を上げるために深影魔術である【影化】を覚えたのだろう。


恐らく、纏っていた外套に関しても潜伏状態時に見つかりにくくなるような効果があったりするのではないだろうか。


「意外と、こういうところは考えられていそうだなぁ。このゲーム」


まぁ設定が練られていたとしても、動き的にはやはり人間には敵わないレベルで拙いため、そこまで脅威ではないのだが。

複数いたとしても【影化】で逃げようとしても、私にとっては関係がないのが一番の理由だろう。

複数いても【霧海】で動きは感知し把握することができる。【影化】で遠くへ逃げようとしても【チャック】で距離を詰めることができる。


「相性がいいってやつだろうね」


戦闘時もそうだが、移動時もそうだ。

先ほど言った【霧海】での感知によって、彼らが隠れていても襲い掛かってくる前に位置を把握できる。

分かっている位置からの襲撃なんて失敗する以外にないのだから。


「あ、そうだ。考えてたこととは少し違うけどー……」


【霧海】を操作し、探索用に範囲を感知ぎりぎりまで広げていた霧を、自分の身体に纏わりつかせるように移動させる。

見た目的には真っ白な人型の何かにしか見えないが、自分からすると様々な身体の動きを感知することができる。


「一応、これで【霧海】の形状変化をしながら移動できるし、習熟度も多く溜まるんじゃないかな……」


館を歩いていく。

さて、特に目指す場所はないわけだが、どうしようか。

やはり先ほどと同じように階層ボスを倒して下に向かったほうがいいだろう。

モンスターを殺すにしても、まずこのゴブリン祭りとなっている原因を突き止める必要があるし、やはり他のプレイヤーがいないのも気になるわけで。


「どっちの方向にいこうかな……」

現在私は、目の前に壁、左右に道とT字路のような場所にいる。

右は廃墟というにはまだ状態が良い通路が、左には廃墟然とした通路が見える。


廃墟のような館を歩くのは、少し面倒ではある。

風景は割と好きなのだが、やはり瓦礫などがあるために歩きにくいのだ。

というか、この状態だと走れない。下手に走ると瓦礫に足が引っかかって倒れかねない。


「うん、右の方に行こうかな」


ある程度まだ状態がいい右の通路へと進んでいく。

護身石の短剣を持ってはいるが、やはり習熟度貯めの為に感知範囲をいつも以上に狭めているために、いつも以上に周囲を警戒しないといけない。

特に【影化】をして影に潜んでいるゴブリンアサシンは怖い。


一応【魔力視】で、【影化】により影の世界へと行くための入り口は魔力を纏っているためにわからなくはないのだが、複数ある場合どこから出てくるのかがわからないために警戒はしておかないといけないのだ。

……さっきの戦闘で影の世界は繋がってるの分かってるし、距離感も普通の世界とは違うっぽいから下手にそっちで移動できないしなぁ。


行き過ぎて、突然ボス部屋に出る可能性もあるのだ。

そんなリスクは犯したくはない。


「ギーギィ」

「ギッギッ」

「おぉ、感知しなくても声出して教えてくれるなんて、優しいね」


そんなことを考えていると、前方からボロボロの錆びた剣を持ったゴブリンと、弓を持ったゴブリンが現れた。

【魔力視】にて、彼らの影に影の世界への入り口があるのが分かるためおそらく追加でゴブリンアサシンが2匹いるのだろう。


丁度いい。【影槍】を試したいなとも思っていたのだ。

数が多いのならその分実験もできるというもの。


「戦闘開始っと」


流石に戦闘中に背後の様子がわからないのは怖いため、【霧海】を戦闘用に周囲に展開する。

これで準備は完了、さぁ実験していこう。


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