2/5
予感
過去を思い出しながら帰り道を歩いていると、電話が鳴る。
「……もしもし?」
「お兄ちゃん!さっきの!」
び、びっくりした、妹か。驚かさないでくれよ……
「あーうん、すごかったなあれ。気持ちよかった。ホームランってあんな感じなんだな」
呑気に、そんな事を電話で口にする。
「……」
……んん?
「『気持ちよかった』じゃない!何やってるの!あんな大きな隕石……もしかしたら潰されてたかも知れないんだよ?」
「……あれは長年の勘でいけると思ったんだ。実際に跳ね返せたし、俺達の故郷も守れたしいいだろ?」
「長年ってまだ全然生きてないでしょ……もう、本当にお兄ちゃんはトラブル体質だね」
正直実感無いんだがな……死にかけた事なんて本当にあの火事ぐらいだ。
「まあまあ大丈夫だよ。それじゃ――」
「じゃない!実はお母さんに言われてたんだよ、次何かお兄ちゃんがやらかしたら……」
何か、何か凄く悪い予感が。
「私が住んでる場所、『魔法都市』に移り住ませろって!」
……うん、悪い予感は当たるとは、この事か。
「お兄ちゃん?おにいちゃーん!」
俺は放心ながら、静かな帰り道を行くのだった。