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リルディ王国。
それは三大大国のひとつである。
自然が豊かなリルディ王国は、優れた魔導師や精霊使いを数多く輩出することで有名だ。
リルディ王国の国立学院を卒業した魔導師、精霊使いは就職口に困ることはないと言われるほど。
そんなリルディ王国には三人の王子と二人の王女がいる。
第一王子、ルキ・アディル・リルディ。
彼は父親譲りの金髪に母親譲りの紫の瞳の青年だ。
その顔はとても整っているため、彼の心を射止めようとする貴族の令嬢はあとをたたない。
ルキは優れた魔導師でもあり、その力は王国で五本の指に入るほど。
第二王子、ユースタス・クレイディル・リルディ。
こちらは父親にそっくりな少年だ。
金髪に碧眼という、おとぎ話の王子のような容姿である。
が、その見かけによらず武術に秀でている。
外見からは想像もつかないほど力が強い。
第三王子、ディオラス・ファディル・リルディ。
母親譲りの銀髪に父親譲りの碧眼の儚げな美少年である。
しかし、腹の中は真っ黒な精霊使い。
闇の大精霊ノワールを従えている。
第一王女、リルファルティア・ユーファ・リルディ。
リルディ王家、ひいてはリルディ王国の掌中の珠。
母親であるクシャイア王妃にそっくりなリルファルティアは兄弟たちや両親、国民から愛されている。
光の魔法が得意で少々天然なところもあるが、そこがまた可愛いと評判だ。
そして第二王女、ルヴィエラーニャ・シェラファ・リルディ。
両親とも先祖とも似つかぬ紫紺の髪に金の瞳の王女はその≪異質さ≫から毛嫌いされ、厭われている。