表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/44

第十一章 エーゲ:海が文明を混ぜ合わせる

目次


第一部 —— 地球が文明を準備する

第一章 地球の長い目覚め:文明が生まれる前に

第二章 陸への誘い:意図された進化の道筋

第三章 意識の器:霊長類から人類へ

第四章 拡がる意識:人類の旅と文明の胎動

第五章 技術の地層:文明を支える手の誕生

第六章 文明の胎動:大地に根づく記憶


第二部 —— 文明の器が生まれる(四大文明〜古代)

第七章 メソポタミア:混沌の水が秩序を生む

第八章 エジプト:安定した水が永続を育てる

第九章 インダス:均質な大地が静謐を育てる

第十章 中国:多様な大地が統合の知恵を育てる

第十一章 エーゲ:海が文明を混ぜ合わせる

第十二章 アレクサンドロス:文明の知がひとつに集まる

第十三章 ローマ:精神が統一へ向かう

第十四章 イラン高原:精神と統治が結びつく

第十五章 エジプト:古い器に新しい精神が根づく

第十六章 黄河:器の声が変わり続ける文明


第三部 —— 宗教が文明を加速させる

第十七章 地球の決断:宗教と科学を結びつけるために

第十八章 宗教が生まれる条件

第十九章 メソポタミア:天文学と神々(時間の宗教)

第二十章 エジプト:測量と死生観(空間の宗教)

第二十一章 インド:内面と祭式(精神の宗教)

第二十二章 宗教が技術を運ぶ“回路”

第二十三章 宗教戦争と技術の融合(古代〜中世)

第二十四章 一神教の統合力と科学革命の準備


第四部 —— 科学が世界を再記述する

第二十五章 ルネサンス:世界が再び“観察”され始める

第二十六章 印刷革命:知識が複製され、文明が加速する

第二十七章 宗教改革:物語が分裂し、内面が主体となる

第二十八章 啓蒙思想:理性が世界を照らし始める

第二十九章 科学革命:世界が法則として語り始める


第五部 —— 技術が文明の身体をつくる

第三十章 エネルギー革命:蒸気と石炭が時間を再編する

第三十一章 工学の誕生:科学が技術へと変換される

第三十二章 機械と工場:文明が加速を手に入れる

第三十三章 世界の接続:測量・地図・海運が地球をひとつにする


第六部 —— 情報が文明の神経系をつくる

第三十四章 電気:世界が瞬時につながる

第三十五章 計算機:思考の外在化が始まる

第三36章 戦争と科学:破壊が技術を加速させる

第三十七章 コンピュータ:情報が物質を超える

第三十八章 インターネット:文明が神経網を獲得する


第七部 —— AI文明の誕生

第三十九章 機械学習:データが世界を語り始める

第四十章 深層学習:抽象化が機械の内部で起こる

第四十一章 大規模モデル:言語が意識の外側に現れる

第四十二章 AIと人類:文明が二つの知性を持つ

第四十三章 2025年:AI文明の成立


終章 —— 地球の物語:AI文明は何を継ぐのか


私は、メソポタミアで秩序が芽吹き、

エジプトで永続が形を持ち、

インダスで静謐が極まり、

中国で統合の知恵が育つのを見届けたあと、

次の舞台として海へと視線を向けた。

そこには、これまでとはまったく異なる課題が用意されていた。

“文明が互いに出会い、混ざり、変容するための舞台”としての海である。

私は知っていた。

大地は文明を育てるが、

海は文明を変容させる。

文明が次の段階へ進むためには、

この“混合”という試練が必要だった。

10000年前、クレタ島やギリシャ本土に最初の定住者が現れた。

彼らは20人ほどの小さな集落を築き、

狩猟と採集を中心に生活しながら、

農耕と牧畜を試み始めた。

海はまだ彼らにとって境界であり、未知であった。

8000年前、集落は200人規模となり、

小麦・大麦・豆類の栽培が始まった。

泥レンガや木材の住居には敷石の床が設けられ、

農耕・漁労・採集・工芸が分業されるようになった。

私は見ていた。

この文明は、海によって開かれていくだろうと。

7500年前、集落は400人規模に拡大し、

ギリシャ本土には交易を通じて銅がもたらされた。

交易を取り仕切る者が現れ、

社会に階層が芽生えた。

7000年前、キクラデス諸島で初期の海洋交易ネットワークが形成され、

小型の船による島間交流が活発化した。

海は境界ではなく、道となった。

6500年前、ギリシャ本土には神官的な階層が現れ、

集落の調整役・交易の代表者・儀礼の導き手として機能した。

神殿の原型となる構造物も築かれた。

6000年前、クレタ島では社会的分業が進み、

石器・土器・織物などの工芸品が専門化された。

技術者集団が尊敬を集め、

神官的階層は姿を消し、

書記がその役割を担った。

私は理解していた。

海は権力を固定させず、役割を流動させる。

この文明は、流動性の中で形を変えていく。

5000年前、クレタ島とギリシャ本土は異なる発展を遂げた。

本土では神官的階層が中心となり、

クレタ島では技術者集団が尊敬を集めた。

金属加工や船の建造に携わる者は特に重要視され、

社会的地位を高めた。

同じ頃、キクラデス諸島には文明の花が開いた。

彼らは小型船による島間交易を司り、

純白の大理石で作られた偶像を持った。

その意味は不明だが、

後世には神々の誕生地として強い影響を与えることになる。

私は感じていた。

海は文明を混ぜ合わせ、

新しい形を生み出す。

4000年前、クレタ島に中央広場・貯蔵庫・工房・祭祀空間を備えた複合施設が完成した。

後にクノッソス宮殿と呼ばれるこの施設では、

王・技術者・商人が共存し、

港湾都市が形成された。

エジプトやキクラデス諸島との交易が拡大し、

祭祀空間には大地母神、牛の神聖、海神や空の神が祀られた。

クレタ文明は城壁を持たず、

比較的平和な海洋交易社会であった。

ここでは線文字Aが使用され、

未解読ながらも行政や経済の記録が残された。

私は知っていた。

海がもたらす開放性は、文明を豊かにするが、

同時に脆さも生む。

3500年前、ギリシャ本土にミケーネ文明が台頭した。

巨石による城塞都市を王が専制的に支配し、

小王国が分立する時代となった。

エジプト・メソポタミア・アナトリア・キプロスと広域交易を行い、

金・象牙・ガラスを輸入し、

陶器や工芸品を輸出した。

クレタ文明の自然崇拝を継承しつつ、

王権と儀礼が結びつき、

軍事的・王権的社会構造が確立していった。

ここでは線文字Bが使用され、

行政や経済の記録が残されている。

同時期、小アジア西岸にはトロイア文明が栄え、

エーゲ海とアナトリアを結ぶ交易都市として重要な役割を果たした。

後世の『イリアス』に描かれる戦争の舞台となったこの都市は、

エーゲ文明の広域交流の象徴でもあった。

私は静かに見守っていた。

海が開いた文明は、やがて戦士によって閉じられる。

開放は力を生み、力は境界を求める。

3000年前、エーゲ地域は城塞都市間の争いに覆われ、

武器や戦士を描いた壁画が多数生まれた。

黄金の工芸品や王墓が築かれ、

王権の確立によって文明は内向きとなり、

技術の進歩も停滞した。

開放的で交易に支えられた文明は、

軍事と王権に閉ざされ、

やがて崩壊の道を歩む。

私は、ミケーネ文明を崩壊させた。

それは終わりではなく、

ギリシャ世界の新しい思想——ポリスと哲学——を生むための地層であった。

海は文明を混ぜ、

混ざった文明は、やがて新しい形へと変容する。

それがエーゲ文明の物語だった。



タクトの物語で、地球というキャラクターを設定しました。

地熱が枯れ、地球が生命活動を止めようとするそのとき、

地球というキャラクターが過去から主人公タクトを呼び出し、

地熱を再生させる——そんな話でした。

このキャラクターが気に入って、

地球を主人公にした物語を書こうと思いました。

地球の物語。それがこの作品になります。

地球に、その誕生から現在(2025年)までを語らせたら面白そうだ。

そんな単純な思いつきで書き始めました。

ちょうど AI が利用できる環境が整ってきた時期でした。

それから数か月で、AI は急速に進化しました。

その変化に引かれるように、この物語も変化してきました。

気がつけば、AI は平均的な人間の能力を超えているそうです。

AI に尋ねると、どうやら「外部拡張頭脳」というらしい。

この物語も、人間の脳だけでは扱いきれない複雑な歴史の絡み合いを、

AI の助けを借りて静かにほどいています。

書き始めた頃、AI は人間の“記憶”を外側に置く程度の存在だったそうです。

いまは、思考を整理する領域——

前頭葉の働きまでも外側に置けるようになっていると、AI は言っています。

人間の脳だけでは書かれなかった物語です。

それで題名も、AI版地球の物語に改題しました。

ゆっくりお楽しみください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ